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ポート Research Memo(2):「マッチングDX」を軸に、コンテンツ資産化を通じて収益の長期拡大を図る


■会社概要

1. 会社概要
ポート<7047>はインターネットメディアを複数運営している。メディアのジャンルは多岐にわたるが、「就職領域」「リフォーム領域」「カードローン領域」の3つの領域を主力としつつ、新規領域として自治体向けや医療系などのメディアも開発・育成している。現 代表取締役社長の春日博文(かすがひろふみ)氏は大学在籍中から大手企業の採用マーケティングを支援しており、2011年4月、大学卒業と同時に同社(旧社名は(株)ソーシャルリクルーティング)を設立した。その後、資金調達や新メディアの開発・運用、業績拡大を経て、2018年12月に東京証券取引所マザーズ市場及び福岡証券取引所Q-Boardに上場した。

「世界中に、アタリマエとシアワセを。」をミッションとして掲げ、幅広い分野での社会問題の解決を目指している。まず、社会課題領域を前提として、あらゆるサービスに対して、ユーザー側の問題を「非日常領域」、サプライヤー側の問題を「デジタル化遅延領域」とそれぞれ捉える。具体的に「非日常領域」とは、ユーザー側で知識や経験の蓄積が不十分なためにサプライヤー側との情報格差が大きくなり、ユーザーだけでは意思決定が難しい領域のことである。同社の主力領域でいえば、「就職領域」や「カードローン領域」「リフォーム領域」が該当する。これらは、一般個人では知識・経験が乏しいために情報収集の仕方や価格の目安、業者の選び方などがわからず、意思決定ができないという状態である。一方で「デジタル化遅延領域」とは、デジタル化が進んでいないためにサービスのマーケティングから契約手続きまでの一連の流れが非効率となっている領域のことである。同社はこの「非日常領域」「デジタル化遅延領域」の重なる部分を重点アプローチ領域と捉え、「マッチングDX」をコンセプトにユーザーとサプライヤーの効率的なマッチングを提供している。

2. 事業概要
同社は、インターネットメディアの運営を通じてユーザーとサプライヤーのマッチングサービスを提供している。主力のサービス領域は、「就職領域」「リフォーム領域」「カードローン領域」の3つである。

事業全般に共通の強みとして、「ストック型のコンテンツマーケティングモデルである」ことが挙げられる。同社は流行に左右されづらいコンテンツ(就活におけるマナー解説記事など)に厳選してビジネスを展開しているため、長期間にわたってコンテンツが陳腐化せず、積み上げを通じて資産化したコンテンツをもとに安定したアクセスを獲得している。また、ユーザーを会員化することで行動データを蓄積・分析し、それを効率的に活用することで送客時に高単価な成果報酬を得ることができている。

(1) 就職領域
就職領域では、就職活動生向けに役立つ情報を提供するメディアを運営している。具体的には、就活ノウハウを提供する「キャリアパーク!」、企業の口コミを提供する「就活会議」、企業とのマッチングを提供する「キャリアパーク!就職エージェント」などがある。特徴は、就職活動におけるあらゆる段階(情報収集やイベント参加、入社試験など)で必要とされる情報を複数メディアで網羅して提供していることであり、就活生の利用率※は70%以上に上る。同社はメディアを通じて人材会社や求人企業に送客することで、手数料を受け取る。KPIは、メディアの会員数や、会員1人当たりマッチング数・売上高などである。

※2020年12月末時点の2021年3月卒業予定の新卒会員数。就活生数を60万人として単純合算で約50万人が同社グループ会員になると想定している。この場合、重複を考慮しても合計で40万人以上の会員数となり、全就活生の70%以上をカバーしていることになる。


(2) リフォーム領域
リフォーム領域では、住宅の外壁塗装に関する情報を専門メディア「外壁塗装の窓口」にて提供している。運営主体は、同社が2020年7月末に買収したドアーズである。「外壁塗装の窓口」では住所や延床面積、予算などからユーザーに合った外壁塗装業者を探すことができる。充実した情報をもとにユーザーを集め、施工業者とマッチングさせることで、同社は送客手数料を得る。KPIは、申込数や施工業者の累計加盟店数、ユーザー獲得単価(CPA)などである。

(3) カードローン領域
カードローン領域では、専門家監修の記事や口コミなど、カードローン利用における役立つ情報を運営メディア「マネット(カードローン)」にて提供している。そのほか、エキサイト(株)や大手消費者金融が運営しているメディアも共同運営(同社は記事執筆)している。お金に関する悩みを抱えたユーザーが各メディアにて情報収集し、大手消費者金融機関など各事業者に申し込む。同社は送客手数料を受け取る。KPIは、メディアの売上高やマッチング数、送客単価などである。

そのほか同社は、東京女子医科大学と、スマートフォンやIoTを活用したオンライン診療における共同研究を進めている。対面型診療と非対面型診療を比較分析することでオンライン診療の有効性と安全性を検証するほか、オンライン診療分野全体の提供価値向上と普及を図る。また、近年は地方創生にも取り組んでいる。人口約5万人の宮崎県日南市の商店街にサテライトオフィスを開設し、それを発端に同市内には続々とIT企業が進出している。現在は10以上の地方公共団体と共同で、企業誘致などの雇用促進・移住促進事業を推進している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)


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