ジェネパ Research Memo(5):EC需要増加・ECサポート事業案件増加で、2020年10月期は大幅増収増益
1. 2020年10月期の連結決算業績概要
ジェネレーションパス<3195>は、2020年12月15日に2020年10月期の連結決算業績を発表した。売上高12,597百万円(前期比30.3%増)、営業利益244百万円(同1,128.5%増)、経常利益220百万円(同616.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益112百万円(同873.3%増)であった。前期比で大幅増収増益となり、売上高・営業利益ともに過去最高を達成した。特に主力事業であるECマーケティング事業において、コロナ禍によりEC需要・テレワーク需要の増加、及び、ECサポート事業での案件増加により過去最高売上高を達成した。また、年初計画比でも、売上高・各利益指標とも目標達成した。
増収要因として、既存のECマーケティング事業でPV(ページビュー)数、受注件数、パートナー企業数、取扱商品数などがいずれも堅調な伸びで事業拡大に貢献した。特に、3月以降はコロナ禍による外出自粛が叫ばれ、それに伴いEC需要・テレワーク需要が急増したことが寄与している。商品企画関連事業については中国子会社及び国内既存事業は通年で好調に推移したが、Genepa Vietnamは立ち上げ期にコロナ禍の影響により受注減と納期遅れが生じた。その他事業では、メディア事業が好調に推移した。
増益要因としては、商品企画関連事業においてはGenepa Vietnamでの納品期ずれや立ち上げ先行費用などでセグメント利益が足踏みしたものの、ECマーケティング事業の大幅拡大により連結ベースの各利益指標は大幅増加となった。
同社の属するEC市場においては、更なる宅配料金の値上げ等の不安もあるなか国内外ともに個人消費者の購買状況は引き続き上昇傾向にある。特に今回のコロナ禍に伴い、外出自粛による巣ごもり生活の拡大によりEC需要が急増している。コロナ禍の先行きは不透明ながらもEC需要拡大の流れは続くと見られ、業績は基本的に拡大基調である。同社もマーケットニーズに沿ったECマーケティング事業の展開を推進し、既存及び新規のモールでの「EPO」を推進・強化するといった販売サイトのリニューアルや各種集客と売上拡大策を実施しており、基本的に増収傾向である。
販管費全体では前期比で622百万円の増加、売上高比では同1.3ポイント減となった。販管費が増加した要因は、倉庫管理費などの荷造包装費や売上増に伴うロイヤリティ、販売促進費のポイント付与分などの増加などによるものとなっている。一方で、売上高比で微減となったのは、広告宣伝費がマーケティングデータを活用して抑制できたこと、人件費がシステム化の推進で抑制されたこと、またM&A関連費用が前期比で効率化できたことなどによるものである。
2. セグメント別業績
同社の事業ドメインは、1) ECマーケティング事業、2)商品企画関連事業、3)その他(システム受託開発等)の3カテゴリーである。
(1) ECマーケティング事業
「リコメン堂」及び大手ECモールへの出店による商材の販売で、同社の売上高の約8割を占める中核事業である。PV数、商品数は拡大しており今後も同社の成長の主力となると見られる。2020年10月期は、コロナ禍の影響により従来からの主力商品である新しい生活様式に向けたインテリア関係に加え、ウイルス感染予防用の日用雑貨、リモートワーク関連商品も好調に推移した。また、EC化率の高まりからECサポート事業の需要も増加しており、子会社のカンナートにおけるECサポート案件等の売上を大きく伸長させたことなどにより、カンナートの売上高は過去最高の決算を達成した。利益面においては、引き続き送料値上げの影響を自社で吸収している状況ではあるものの、各種利益改善の取り組みの効果が出始めたことに加えEC需要の高まりによる売上増の影響、ECサポート案件の増加の影響等により、前期を大きく上回る水準で落着した。
また、ECマーケティング事業のノウハウやビッグデータを活用したECサポート事業については、ファミリーマートとの業務提携に伴い、新規EC事業の運用・保守等を推進している。その結果、ECマーケティング事業としては、売上高は9,901百万円(前期比29.9%増)、セグメント利益は424百万円(同184.6%増)となった。なお、2019年7月に開始した新規EC事業「Kaema」については、2020年10月期ではあまり大きな実績は出ていないもようだが、2021年10月期以降での大幅な収益拡大施策を提携先と協議中とのことである。
(2) 商品企画関連事業
2015年2月にスタートした事業である。ECマーケティング事業で培ったマーケティング手法「EPO」とMIS(Marketing Information System)の分析データから、売れ筋となる見込み商材を、試作品から商品試験等のテストを行い開発していく事業である。商材や取引社数などの拡大により、事業開始後5年で同社の売上高の約20%を占めるまでになっている。
2020年10月期においては、青島新綻紡貿易における寝具の売上が大幅に伸長したこと等により前期比で売上高は大幅増収となった。しかし、コロナ禍の影響で、Genepa Vietnamの立ち上げ期の生産遅延や米国・欧州向けメイン商材の納期調整で出荷遅延となったことと先行投資負担などで、利益は減少となった。この結果、商品企画関連事業の売上高は2,594百万円(前期比29.3%増)、セグメント利益は84百万円(同22.2%減)となった。
(3) その他
「その他」は、連結子会社であるトリプルダブルが行うソフトウェアの受託開発、システム開発事業、メディア事業(ECマーケティングデータを活用したメディア関連・情報発信業務)である。2020年10月期は、Webメディア「イエコレクション(IECOLLE)」がコロナ禍による在宅時間の増加に伴い、PV数・流通総額が好調に推移し大きく伸長した。この結果、売上高は102百万円(前期比155.4%増)、セグメント利益は26百万円(同30.2%増)と連結業績拡大に貢献した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
<EY>
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