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コプロHD Research Memo(3):技術社員の高い定着率と充実したサポート体制などが強み


■コプロ・ホールディングス<7059>の事業概要

1. サービス概要
建設技術者派遣・紹介事業を展開している。雇用した技術社員を、大手ゼネコンを中心とする顧客企業に派遣する。技術社員の主な業務内容は、建設工事の施工管理(建築・土木・設備・プラント工事現場における工程管理、安全管理、品質管理、原価管理)、及びCADオペレーター等である。技術社員は派遣先企業の指示に基づいて、工事現場で管理者(所長)と職人の間に入って施工管理を行う。

2020年3月期の業種別売上高構成比は建設業界85.6%(建築31.9%、土木17.4%、設備24.9%、CAD8.6%、その他2.8%)、及びプラント業界14.4%だった。今後の重点分野としてプラント業界の拡大にも注力している。なお取引先別売上高構成比ではスーパーゼネコン(5社)が約2割、エリア別売上高構成比では三大都市圏(関東・東海・関西)が約7割で推移している。

2. 特徴・強み
教育・研修やメンタルケア・サポートの徹底による技術社員の高い定着率、幅広い人材ニーズに対応した流動性の高い派遣人材基盤、全国ネットワークによる顧客拡大力、質の高い技術社員と顧客企業との信頼関係に基づく高稼働率の維持などを特徴・強みとしている。

自社運営の建設・プラント業界求人サイト「現キャリ」も活用した積極的な人材採用によって、全国で派遣できる流動性の高い人材基盤を構築している。これによって、全国に張り巡らされた支店ネットワークとともに、全国から寄せられる幅広い人材ニーズへの対応や、全国の派遣先企業(顧客)との取引拡大が可能になる。

(1) 全国に張り巡らされた支店ネットワーク
2020年11月1日付で組織変更を実施し、支店ネットワークは全国19支店となっている。マーケットに柔軟に対応することを目的として建設とプラントの営業機能を分離し、4事業部(建設第一~第三事業部、プラント事業部)の下に各支店(営業担当、トラスト担当)を置く体制とした。なお技術社員のアフターフォローを担当するトラスト部を支店に移管(従来は本社の人事戦略本部)して、営業と密に連携する体制とした。

(2) 積極的な採用で技術社員数は増加基調
コロナ禍においても積極的な採用を継続し、2021年3月期第2四半期累計には合計462名を採用した。技術社員数は2021年3月期第2四半期末時点で2,002名となった。積極的な採用で技術社員数は増加基調であり、これに伴って売上高・利益も増加基調である。

(3) 充実した教育・研修とサポート体制
技術社員の教育・研修については、採用したすべての技術社員に対して、就業先で起こる様々なトラブルに対応できるように、入社時の教育・研修(勤怠管理、就業規則、情報セキュリティ、技術社員のサポート担当の役割、派遣適用除外業務、ハラスメント、労働安全衛生、労働災害発生時の対応、危険予知など)を実施している。顧客満足度の向上や大手顧客との取引拡大に向けて、技術社員が現場でいかに貢献できるかを重視して、特に「コプロ」グループの技術社員としての自覚や心構えの確認を徹底している。また、2021年1月からは、遠隔地に居住している技術社員に対して、スマートデバイスを活用したリモート研修の実施を予定している。なお、新卒の教育・研修期間は従来2週間としていたが、2021年3月期から1ヶ月として入社時の教育・研修を強化している。

入社時の教育・研修とともに、技術社員のスキルアップやキャリアサポートを目的として、同社が運営する研修施設「監督のタネ」に専属の講師を配し、受講希望者の習熟度に合わせて実習研修を行っている。「監督のタネ」は東京、名古屋、大阪に加え、2020年4月に千葉に拠点を開設しており、全国4拠点体制を構築している。

さらに各支店にサポートを行うトラスト担当を配置し、技術社員に対して配属後のアフターフォロー、健康管理、メンタルヘルス管理、スキルアップ支援、定期的な安全大会の開催など、質の高いサポート活動を行うことで高い定着率を実現している。また、派遣先(顧客)や技術社員へのヒアリングなどを通じて、より良い職場環境づくりや顧客満足度向上に取り組んでいる。更には人材派遣会社としては珍しい取り組みとして、スマートフォンの貸与を全技術社員に対して行っており、働き方改革に向けた正確な勤怠管理の徹底のほか、技術社員とのコミュニケーションのデジタル化を推進している。

(4) 技術社員の定着率と稼働率は高水準推移
技術社員の定着率と稼働率は、前述のような教育・研修及びサポート体制の充実によって、定着率はおおむね80%台と、業界平均よりも高い水準で推移している。定着率については中長期的には90%台を目指すとしている。また建設業界における人手不足に加えて、質の高い技術社員による顧客満足度向上も寄与して、稼働率は一時的休職等を除くと実質100%の水準で推移している。

(5) チャージアップ推進
同社は取引先に対して、実労働時間に基づく請求ではなく、技術社員ごとに月額契約に基づいて請求を行っている。そして2020年4月開始の「派遣労働者の同一労働・同一賃金」にも対応して、チャージアップ(技術社員1人当たり売上単価の向上)交渉に取り組んでいる。2021年3月期第2四半期時点の同社の1人当たりチャージ売上(月額)は、前年比及び前四半期比ともおおむね増加している。

3. リスク要因・収益特性と対策
建設技術者派遣・紹介事業における一般的なリスク要因・収益特性としては、法規制(労働者派遣法、労働基準法など)、人材確保、季節要因などがある。このうち法規制に関しては、特に2020年4月開始の「派遣労働者の同一労働・同一賃金」が原価上昇要因となるため対応が課題とされている。ただし質の高い技術社員や顧客との信頼関係も背景として、前述のようにチャージアップ交渉の取り組みがおおむね順調に進展している。

季節要因に関しては、建設業では特に土木工事が年度末(1月-3月)に集中する傾向があるが、同社では季節要因による技術社員の一時待機期間を発生させないように、土木分野の受注を戦略的に抑制している。また積極的な採用で技術社員が四半期ごとに増加基調のため、売上高に関して特に大きな季節変動傾向は見られない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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