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DDHD Research Memo(5):高収益ブランドの出店拡大が同社成長をけん引。20年2月期は過去最高益を更新


■決算動向

1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、店舗数の拡大がDDホールディングス<3073>の成長をけん引してきた。特にM&Aによる規模拡大が出店ペースに拍車をかけてきたと言える。2013年2月期からの3期間において売上高の伸びが鈍化しているのは、不採算店舗の閉店やブランドマネジメント制導入に伴うブランドの集約及び統合により、店舗数が頭打ちとなったことが要因である。ただし、2014年2月期にブランド集約及び統合が一巡すると、2015年2月期からは高収益ブランドを軸とした出店拡大を再開。また、2018年2月期には大型M&A(ゼットン及び商業藝術の連結化)を実現し、スケールメリットの追求や業態の多様化等にも取り組むと、2020年2月期にはエスエルディー及び湘南レーベルを連結化し、さらなる事業拡大と事業領域の拡充を図った。

利益面では、既存店の伸び悩みや業態変更に伴う費用増などにより低調に推移してきたが、高収益ブランドの出店拡大等により2017年2月期の営業利益率は5.4%にまで回復。その後はウェディング事業への参入などに伴う先行費用の増加によりやや低い水準が続いたものの、2020年2月期はグループ商流集約による原価率低減等が奏功し、過去最高益を更新した。

財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率はおおむね20%台で推移してきた。有利子負債残高も高い水準にあり、積極的な事業拡大を図るためには、財務基盤の増強は今後の課題として挙げられる。特に、相次ぐM&Aの実施により、2020年2月期末の「のれん」は約45億円(自己資本の約65%)に上ることから、のれん償却による期間損益への影響はもちろん、減損リスクの可能性についても注意しておく必要がある。


2021年2月期上期の業績はコロナ禍の影響により大きく後退
2. 2021年2月期上期決算の概要
2021年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比61.8%減の11,160百万円、営業損失が6,831百万円(前年同期は1,769百万円の利益)、経常損失が6,825百万円(同1,792百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が5,594百万円(同929百万円の純利益)とコロナ禍の影響により大幅な減収となり、各段階損益で損失を計上した。

売上高は、4月7日に発令された緊急事態宣言に伴う休業及び営業時間短縮の影響により、とりわけ第1四半期での落ち込みが大きく、国内店舗の売上高は前年同期比25.1%に大きく減少した(特に4月は前年同期比5.2%、5月は同11.0%と極めて低い水準で推移)。緊急事態宣言が解除された第2四半期に入ってからも、コロナ禍の長期化に伴う営業時間の短縮や消費者心理の停滞、席の間隔をあけた店舗運営等の影響が継続しており、国内店舗の売上高は前年同期比43.1%と本格的な回復には至っていない。出退店については、すでに契約済であった8店舗を新規出店した一方、7月15日に公表した経営合理化策(詳細は後述)に基づき、不採算店舗の35店舗を整理したことから、8月末の店舗数は462店舗(前期末比27店舗減)となっている(上期において54店舗の退店を決議)。

損益面では、売上高の急激な落ち込みにより固定費負担(店舗家賃や人件費等)が重荷となり、大幅な営業損失に陥った。第1四半期に発生した食材ロス等による原価率の悪化は収まってきたうえ、固定費の削減にも取り組んでいるものの、第2四半期も損益分岐点となる売上高を確保できず、損失計上が続いている。もっとも、不採算店舗の整理による改善効果は下期以降に寄与してくるものと考えられる。

財務面では、大幅な四半期純損失の計上により、自己資本は前期末比80.5%減の1,366百万円に大きく減少し、自己資本比率は3.7%(前期末は18.2%)に低下した。手元流動性(現金及び預金)は6,417百万円を確保しており、当面の支払能力に懸念はないものの、事業基盤の安定化や成長軌道への回帰に向けた財務基盤の安定化は喫緊の課題と言える。同社は10月26日付けで第三者割当による新株予約権の発行を決議し、10月30日に当該新株予約権の発行に係る条件決定決議を行った資金調達予定額は合計約28.4億円(第6回、第7回ともに条件決定時の行使価額ですべて行使された場合)の資金調達を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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