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TKP Research Memo(5):2020年2月期は日本及び台湾リージャス社の買収により大きく拡大


■決算概要

1. 前期までの業績推移
前期までの業績を振り返ると、会議室数の拡大がティーケーピー<3479>の成長をけん引し、年間20%以上の増収を継続してきた。また、連結決算に移行した2015年2月期以降は、上位グレードの貸会議室の出店拡大とともに、料飲及び宿泊、各種オプションなどの付加サービスによる単価向上が業績の底上げに貢献している。さらに、2020年2月期については、日本及び台湾リージャス社の連結子会社化により大きく拡大した。

損益面でも、事業拡大に伴う費用(減価償却費や人件費等)に加え、足元では日本及び台湾リージャス社の買収に伴う費用(のれん償却費等)の増加などがみられるものの、増収に伴って増益基調をたどっている。

財務面に目を向けると、自己資本比率はしばらく右肩下がりで推移してきたが、2017年3月の株式上場に伴う公募増資(約16億円)により、2018年2月期末には24.9%に改善。また、「持たざる経営」を基本方針としていることに加え、利益率の高い事業モデルであることから、資本効率を示すROEも高い水準で推移してきた。ただ、足元ではホテル事業の進展に加え、日本及び台湾リージャス社の買収により総資産残高が大きく拡大。一方、2019年10-11月には公募増資等(合計約234億円の資金調達)による財務基盤の強化を図ったことから、2020年2月期末の自己資本比率は30.4%の水準を確保している。


2021年2月期上期はコロナ禍の影響により大きく後退。新たな需要の取り込み等により足元業績は回復傾向
2. 2021年2月期上期決算の概要
2021年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比15.4%減の205.44億円、営業損失が20.13億円(前年同期は35.04億円の利益)、経常損失が21.19億円(同21.67億円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が24.03億円(同7.23億円の利益)とコロナ禍の影響により大幅な減収となり、営業損益以下で損失を計上した。ただ、重視するEBITDAは黒字を維持するとともに、足元の受注も回復傾向にある。

売上高はコロナ禍の影響によりTKP本体が大きく落ち込んだ。もっとも、2020年5月25日の緊急事態宣言解除以降の受注は回復傾向にあり、8月の貸会議室事業の売上高は前年を上回っている。特に試験会場利用やウェビナー案件に加え、コロナ対策用備品のオプション需要が好調のようだ。一方、コロナ禍の影響をほとんど受けていないリージャス事業は日本及び台湾ともに堅調に推移している。

損益面でも、コロナ禍の影響を受けたTKP本体については、新規出店の抑制や全社的な費用削減に取り組んだものの、急激な売上高の減少に伴って固定費負担(地代家賃や人件費、減価償却費等)が重荷となり約22.47億円の営業損失を計上した。一方、日本リージャス社は4.37億円の営業利益、EBITDAでも19.75億円の利益を確保したほか、台湾リージャス社は2.04億円の営業損失、EBITDAでは2.66億円の利益となっている。

財政状態については、「現金及び預金」を大幅に増やした一方、退店に伴って「敷金及び保証金」が減少した結果、総資産は前期末比0.6%増の1,182.45億円と僅かに増加した。一方、自己資本は親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により同6.5%減の333.88億円に減少し、自己資本比率は28.2%(前期末は30.4%)に低下した。ただ、手元流動性は現金及び預金及び調達枠を含めて約350億円を確保しているうえ、フリーキャッシュフローも35.51億円のプラスとなっていることから支払能力に懸念はない。

連結業績の主な内訳は以下のとおりである。

(1)TKP本体(日本及び台湾リージャス社を除く)の業績
連結効果を除いたTKP本体の上期業績は、売上高が前年同期比44.7%減の111.39億円、営業損失が22.47億円、EBITDAが15.12億円の損失と大きく後退した。コロナ禍によるイベント開催自粛の動きを受けて貸会議室や宴会場の予約キャンセルが多く発生したことや新規予約の減少が影響した。もっとも、緊急事態宣言の解除以降は、キャンセル料売上を除いた実利用売上は着実に回復傾向にあり、第1四半期の実利用売上31.22億円に対して、第2四半期は47.70億円(前四半期比52.8%増)と大きく改善している。特に試験会場利用やウェビナー案件の増加、コロナ対策用備品のオプション需要などにより、8月のトータル売上は前年を上回っている。また、重視するKPIである「坪あたり売上高」がコロナ禍におけるケータリングの低迷等により減少したものの、「坪あたり粗利」では試験利用などの大型案件により、8月は前年同月比で約2倍に増加した。出退店については、すでに契約済であった8施設を新規出店した一方、賃借物件の契約期間満了等により20施設を退店し、その結果、2020年8月末の施設数は244(研修施設内を含む)となっている。

損益面では、売上高の減少を見込み、原価や販管費の削減に努めたものの、売上高の急激な落ち込みにより損益分岐点を確保することはできず、営業損失を計上し、EBITDAも損失を計上している。ただ、損益面についても、実利用売上の回復や「坪あたり粗利」の増加に伴って実態としては大きく改善傾向にあると言える。

(2)日本及び台湾リージャス社による連結効果
日本リージャス社の上期業績は、売上高が88.31億円、営業利益※が4.37億円、EBITDAが19.75億円となった。売上高はコロナ禍の影響をほとんど受けることなく、施設数の増加により増収を確保した。一方、損益面では、サテライトオフィスの需要拡大を見据えた積極的な新規出店により費用が増加したが、のれん償却費等を差し引いた後の営業損益でも黒字を確保し、EBITDAも高水準を維持している。

※のれん償却費および顧客関連資産償却費を控除。


一方、台湾リージャス社は、売上高が5.74億円、営業損失※が2.04億円となった。営業損失となったのは、買収に係るのれん償却費等の計上によるものである。

※のれん償却費および顧客関連資産償却費を控除。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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