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クリレスHD Research Memo(3):コロナ禍により足元業績は大きく後退(1)


■クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の決算概要

1. 2021年2月期上期業績の概要
2021年2月期上期の業績(IFRS基準)は、売上収益が前年同期比49.6%減の32,031百万円、営業損失が9,644百万円(前年同期は4,296百万円の利益)、税引前損失が10,081百万円(同4,303百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する四半期損失が9,048百万円(同2,400百万円の利益)とコロナ禍により大幅な減収となり、各段階損益で損失を計上した。ただ、第2四半期(6月〜8月)だけで見ると、第1四半期(3月〜5月)に比べてグループ全体で回復傾向が明らかになっている。

売上収益は、コロナ禍に伴う休業や時短営業が大幅な減収を招いた。特に、緊急事態宣言発令後の4月末の営業店舗数は総店舗数の22.8%にとどまったことや、営業店舗のほとんどが時短営業を余儀なくされたことから、第1四半期での落ち込みが大きかった。緊急事態宣言解除後の第2四半期以降も、カテゴリー別や出店エリアによりばらつきがあるものの、時短営業の継続やソーシャルディスタンス(座席間隔)を確保した店舗運営を行いながらも、段階的な営業再開や客足の戻り等により総じて回復傾向にある。既存店売上高(休業店舗を含む)※は第1四半期が前年同期比27.8%、第2四半期が同39.4%で推移。出退店等については、既に契約済みとなっていた62店舗を新規出店した一方、積極的な不採算店舗の整理により62店舗が退店し、8月末のグループ総店舗数は1,151店舗(移管等による+2店舗を含む)とほぼ横ばいとなった。下期以降は新規出店等の投資を凍結するとともに、不採算店舗の退店をさらに進めていく方針である。

※休業店舗を除くと、第1四半期が前年同期比52.7%、第2四半期が同53.8%となっている。


また、損益面についても、売上収益の急激な落ち込みに伴って固定費負担(店舗家賃や人件費等)が重荷となったことから大幅な営業損失を計上した。もっとも、徹底した固定費削減(詳細は後述)等により第2四半期の損失幅は縮小しており、社内の目標値※1に対しても損益面で上振れる進捗となっているようだ。重視する調整後EBITDA※2も第2四半期だけで見るとプラスに転じている。

※1 上期における営業利益目標(社内目標)は△10,112百万円。したがって、467百万円の上振れとなっている。
※2 調整後EBITDA=営業利益+その他の営業費用−協賛金収入、雇用調整助成金及び賃料減免分等を除くその他の営業収益+減価償却費+非経常的費用項目で算出。


財務面では、コロナ禍が長期継続するリスクも念頭に置き、銀行借入れ等により十分な手許資金を確保したことから、総資産は前期末比10.7%増の166,103百万円に拡大した。一方、親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)は四半期損失の計上により同57.2%減の6,970百万円に減少したため、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は4.2%(前期末は10.9%)に低下。有利子負債(リース負債を除く)は同68.0%増の83,638百万円に膨らんだ。もっとも、「現金及び預金」の残高は同117.3%増の38,938百万円を確保しており、しばらくは資金繰りを重視した財務オペレーションを継続する方針である。

各カテゴリー別の業績は以下のとおりである。

(1) CRカテゴリー
売上収益は前年同期比55.6%減の10,965百万円、カテゴリーCF※1は2,238百万円のマイナスとなった。緊急事態宣言後、商業施設等に連動する形で多くの店舗が休業となったことから、第1四半期の落ち込みが大きかった。ただ、第2四半期に入ってからは、ほとんどの店舗が営業を再開したことに加え、ディズニーリゾートの再開(7月)やゴルフ場の好調(8月)などにより回復傾向にあり、第2四半期のCFはプラスに転じている。既存店売上高(休業店舗を含む)も第1四半期が前年同期比22.9%、第2四半期が同50.7%と改善に向かっており、足元(10月11日時点)では前年同期比76.8%にまで戻ってきた。出退店については、既に契約済となっていた一括オペレーションフードコート(及びフードホール)※2を中心に39店舗を出店した一方、ビュッフェ業態など不採算店舗の整理により42店舗が退店し、8月末の店舗数は568店舗となっている。

※1 カテゴリーCF(キャッシュ・フロー)は、調整後EBITDAをベースにしている(以下、同様)。
※2 三井アウトレットパーク横浜ベイサイド「BAYSIDE FOOD HALL」(6ブース)、CIAL横浜「バル&キッチン ハマチカ」(17ブース)、京葉道路Pasar(パサール)幕張上り線フードコート(6ブース)など。コロナ禍は想定外であったものの、集客力に長けた立地ゆえに、順調に立ち上がっているようだ。


(2) SFPカテゴリー
売上収益は前年同期比61.0%減の7,834百万円、カテゴリーCFは1,844百万円のマイナスとなった。緊急事態宣言後の一斉休業により第1四半期に大きく落ち込んだものの、段階ごとの時短要請解除等により第2四半期に入ってからは回復基調にあった。ただ、7月後半のコロナ再拡大に伴う時短要請等により8月は足踏み状態となった。既存店売上高(休業店舗を含む)は第1四半期が前年同期比28.3%、第2四半期が同47.4%と回復ペースがやや緩やかであり、足元(10月11日時点)でも前年同期比67.7%にとどまっている。特に、都心店が引き続き苦戦するなかで、郊外店には回復の兆しがあり、回復トレンドには2極化の傾向が見られる。出退店については、5店舗を新規出店する一方、不採算店舗の整理により9店舗が退店し、8月末の店舗数は271店舗となっている。

(3) 専門ブランドカテゴリー
売上収益は前年同期比34.3%減の11,504百万円、カテゴリーCFは1,115百万円のマイナスとなった。外出自粛下においても、つけめん・そば・ベーカリー業態は日常ブランドとしての強みを生かして健闘しているうえ、第2四半期に入ってからは地方及び都内を含めて郊外型ロードサイドが回復傾向。カテゴリーの中では最も回復が進んでおり、第2四半期のCFは大きくプラスに転じている。既存店売上高(休業店舗を含む)は第1四半期が前年同期比35.9%、第2四半期が同59.4%となっており、足元(10月11日時点)では前年同期比83.0%にまで戻ってきた。出退店については、15店舗を新規出店する一方、不採算店舗の整理により9店舗が退店し、8月末の店舗数は257店舗となっている。

(4) 海外カテゴリー
売上収益は前年同期比24.2%増の2,127百万円、カテゴリーCFは734百万円のマイナスとなった。

前期出店分や前期に実施したM&Aが増収要因となったものの、第1四半期においては北米・シンガポールのロックダウンによる全店休業の影響を受けた。ただ、台湾・香港ではコロナ禍の影響は比較的少なく健闘した。また、第2四半期に入ってからは、シンガポールの営業再開や北米での段階的な営業再開により徐々に回復傾向にあり、第2四半期のCFはプラスに転じている。既存店売上高(休業店舗を含む)は第1四半期が前年同期比20.0%、第2四半期が同32.3%、足元(10月11日時点)では前年同期比55.9%と緩やかに回復してきた。出退店については、3店舗を新規出店する一方、不採算店舗の整理により2店舗が退店し、8月末の店舗数は55店舗となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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