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GTS Research Memo(10):2020年3月期の業績はほぼ会社計画通りの水準で着地


■ジーンテクノサイエンス<4584>の業績動向

1. 2020年3月期業績概要
2020年3月期よりセルテクノロジー等を子会社化したことに伴い、連結決算を開始している。前期の単独決算との比較で見ると、売上高は1,077百万円(前期比56百万円増)、営業損失は1,161百万円(同355百万円増)、経常損失は1,187百万円(同370百万円増)、親会社株主に帰属する当期純損失が7,316百万円(同6,460百万円増)となり、おおむね会社計画通りの着地となった。

売上高の内訳を見ると、バイオシミラー事業は前期比15.4%減の864百万円となった。フィルグラスチムBSの原薬販売は会社計画通りの売上高を達成したものの、知的財産権等収益が減少した。また、新規バイオ事業の売上高は213百万円となった。このうち子会社のセルテクノロジー及びレムケアの売上高が113百万円(主に美容クリニック、化粧品メーカー向け培養上清販売)となっており、残り100百万円は契約一時金等の各種収益となる。

売上総利益が前期比で184百万円減少したが、これは歯髄幹細胞のMCBに係る受注損失引当金繰入額298百万円を売上原価として計上したことが要因となっている。MCBの製造法確立に係る開発コストとなるが、MCBで製造される歯髄幹細胞を販売する予定にしていたため、受注損失引当金として計上している。フィルグラスチムBSの原価率については前期比横ばい水準だった。

また、販管費は前期比171百万円増加したが、このうち子会社分で128百万円の増加要因となっており、単独ベースでは74百万円の増加となった。研究開発費は同47百万円減の898百万円となったが、会社計画に対しては301百万円減となっている。主にバイオシミラー事業における「GBS-007」の商用化に向けた準備費用と新規バイオ事業における期ズレが要因となっている。また、親会社株主に帰属する当期純損失が膨らんでいるのは、セルテクノロジーの子会社化に伴って発生したのれんの一括償却に係る減損損失5,938百万円と、日本再生医療の子会社化に伴う株式の段階取得に係る差損149百万円を計上したことによる。なお、子会社の営業利益が損失となっているのは、歯髄幹細胞の再生医療等製品事業に係る費用が期の途中まで発生していたためで(期中に同社に移転)、培養上清事業に関しては黒字となっている。


2021年3月期は日本再生医療の小児先天性心疾患を対象とした第3相臨床試験の進捗が期待される
2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期の連結業績は、売上高で972百万円(前期比105百万円減)、営業損失で1,672百万円(同510百万円増)、経常損失で1,688百万円(同500百万円増)、親会社株主に帰属する当期純損失で1,691百万円(同5,625百万円減)となる見通し。

売上高の減収要因は、契約一時金及びマイルストン収益を織り込んでいないため。フィルグラスチムBSの原薬販売については単価ダウンがあるものの数量増効果により、前期並みの水準を維持する見通し。一方、ダルベポエチンアルファBSのロイヤリティ収入については計上されるものの、業績に与える影響は軽微と見ている。また、MCBで製造される研究開発用歯髄幹細胞の販売時期は第4四半期頃を予定しているが、遅延する可能性もあるため今回の計画には織り込んでいない。

売上総利益はフィルグラスチムの原価率が量産効果によって改善する見込みとなっていることや、前期に計上した受注損失引当金298百万円が無くなることで、前期比398百万円の増益となる見通し。一方、研究開発費は前期からの繰越し分約300百万円に加えて、日本再生医療によるJRM-001の開発費用を計上するため、前期比821百万円の増加を計画している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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