川辺 Research Memo(3):ハンカチーフ、スカーフ・マフラー、フレグランスの海外ブランド品が主力
1. 身の回り品事業とフレグランス事業を展開
ハンカチーフ、スカーフ・マフラー、タオル、雑貨等を販売する身の回り品事業、香水等を販売するフレグランス事業を展開している。両事業とも海外有名ブランドが主力である。2020年3月期のセグメント別売上高構成比は、身の回り品事業86.9%、フレグランス事業13.1%だった。
2. 販売経路別には百貨店向けが主力
販売経路別には、百貨店向けを主力として、量販店、専門店、小売店、卸売事業者等に卸売販売している。一部は直営小売店において小売販売している。2020年3月期の販売経路別売上高構成比は、百貨店向け45.1%、量販店向け14.0%、その他(直営小売店含む)40.9%だった。直営小売事業の売上拡大に伴って、その他の構成比が上昇傾向である。一方で百貨店向けは地方百貨店の閉店なども背景として、構成比が低下傾向となっている。
直営小売店舗は2020年3月期末時点で、身の回り品事業の「プレイヤーズ自由が丘」を22店舗、フレグランス事業の「ジューシィジュエル」「クリスティーナ・パフューマリー」「ザ・パフューマーズ」を合計11店舗(うちアウトレット2店舗)展開している。なお2020年5月に「プレイヤーズ自由が丘 アーバンドック ららぽーと豊洲店」をオープンした。
3. 品目別にはハンカチーフ、スカーフ・マフラー、フレグランスが主力
品目別には、身の回り品事業のハンカチーフ、スカーフ・マフラー、タオル、その他、及びフレグランス事業の香水等を卸売・小売販売している。2020年3月期の品目別売上高構成比は身の回り品事業86.9%(内訳はハンカチーフ62.1%、スカーフ・マフラー11.2%、タオル5.7%、その他7.9%)、フレグランス事業13.1%だった。ハンカチーフ、スカーフ・マフラー、フレグランスが同社の主力と言える。
4. 両事業とも海外有名ブランド品が主力
両事業とも海外有名ブランド品を主力として、消費トレンドの変化に対応したブランドの新規導入・S&B(スクラップ・アンド・ビルド)や、消費者ニーズの多様化に対応した自社ブランド商品の企画・開発・拡販も積極推進している。
身の回り品事業の現在の主力ブランドとしては、ハンカチーフでPOLO RALPH LAUREN(ポロ・ラルフローレン)、LANVIN COLLECTION(ランバン・コレクション)、LANVIN en Bleu(ランバン・オン・ブルー)、PEANUTS(ピーナッツ)、JILL STUART(ジルスチュアート)、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)、2018年導入のnicolai bergmann(ニコライ・バーグマン)、2019年導入のkate spade NEW YORK(ケイト・スペード ニューヨーク)、2020年導入のDORAEMON(ドラえもん)などがある。
スカーフ・マフラーでは、自社ブランドのNATURAL BASIC(ナチュラル・ベーシック)、自社ブランドのfelice regalo(フェリーチェ・レガーロ)、モデル・女優の桐島かれん(きりしまかれん)プロデュースのHOUSE OF LOTUS(ハウス・オブ・ロータス)などがある。
雑貨では「マザーズバッグ」をコンセプトとしたハウスブランド「プレイヤーズ」を直営小売店「プレイヤーズ自由が丘」の主力商材としている。30~40歳前後の子育て中のマザー(母親)をターゲット層にした軽量・多機能のファッションバッグである。
またハンカチーフ、タオルハンカチーフ、マスクも販売し、特に機能性を追求したDR.C医薬のマスクや、ライセンスブランドのファッションマスクの販売を強化している。新型コロナウイルス感染症拡大でマスクの供給が不足した時期には、同社のハンカチーフを活用した簡単なハンカチマスクの作り方が雑誌等で紹介された。
フレグランス事業では、Salvatore Ferragamo(サルヴァトーレ フェラガモ)等を主力として、Miller Harris(ミラーハリス)やACQUA DI PARMA(アクア ディ パルマ)など、希少性の高いメゾンブランドを発掘して積極投入している。
新生活需要や冬季などの季節要因あり
5. 収益特性・リスク要因と対策
収益特性及びリスク要因としては、季節要因、景気や天候の消費マインドへの影響、消費トレンドの変化、主力販売先である百貨店の閉店・売場面積減少、百貨店との取引形態変更、導入品のライセンス契約変更などがある。
季節要因としては、ハンカチーフは海外有名ブランドが主力で3月の新生活需要が最大のマーケットとなり、スカーフ・マフラーは防寒商品のため秋・冬シーズンが需要期となる。こうした市場には、新ブランド・新アイテムを積極投入することによって、消費喚起や売上拡大につなげている。
百貨店の閉店・売場面積減少というリスク要因に対しては、直営小売事業・EC事業・OEM事業の拡大、新しい販路(百貨店以外の量販店・専門小売店チェーン)の開拓や、ブランド力向上に向けた百貨店以外でのイベント企画・運営などを推進している。そして直営小売事業の拡大に伴い、百貨店向けの売上依存度は低下傾向である。
導入ブランドのライセンス契約については、国内外の有名ブランドの権利者と商標使用並びに技術提携に関する契約を締結しているが、契約更新に伴う契約条件の改定、ライセンス供給側に起きるM&Aや経営方針・販売戦略の転換による契約終了などが発生する可能性がある。こうしたリスク要因への対策として、消費やブランドのトレンド変化を的確に捉えて旬のブランドを導入するだけでなく、管理効率化も目的としてブランドのS&Bを積極推進している。
なお主力商品は海外有名ブランド商品だが、商品仕入はグループ会社からの国内仕入が大半を占めており、直接輸入が少ないため為替変動による業績への直接的な影響は小さい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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