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ウェーブロックHD Research Memo(2):幅広い領域に展開する樹脂加工メーカー


■会社概要

1. 会社沿革
ウェーブロックホールディングス<7940>は、1964年に糸強化プラスチックシートに関する製法特許「ウェーブロック」をイタリアから導入するために、日商(株)(現 双日<2768>)、日本カーバイド工業<4064>、丸登化成工業(株)(現 龍田化学(株))の3社が均等出資して設立した日本ウェーブロック(株)が起源となる。ウェーブロック製法とは、2枚のプラスチックフィルムの間に合成繊維の糸を波状に複数配列し、接着固定(lock)してサンドイッチ構造にする製法のことであり、同製法で作られた樹脂加工シートは、伸縮性を持つと同時に物理的強度も大幅にアップするといった特長があった。1960年代当時、農業分野で使用されていたビニル製品は強度が弱く破れやすいという課題があったことから、創業者である木根渕弘水(きねぶちひろみ)氏が、同分野においてウェーブロック製品のニーズがあると見て農業用雨合羽から技術導入を図り、その後、その特性を生かせる分野としてビニルハウスやレインコート、産業用資材等へと市場の裾野を広げながら、事業を拡大していった。

1979年には壁紙ベースメーカーとして壁紙業界に参入したほか、1980年に現在のアドバンストテクノロジー事業の礎となる金属蒸着ポリエステルフィルム等の複数の素材を組み合わせた多層ラミネートシートの製造販売を開始するなど、創業者の強力なリーダーシップにより事業の多角化を進めながら成長を続け、1990年には日本証券業協会の店頭売買銘柄(現 JASDAQ)に登録、株式公開を果たした。

2003年4月に創業者の長男で現在の代表取締役社長である木根渕純(きねぶちじゅん)氏に経営がバトンタッチされると、M&Aも活発に取り組んでいくことになる。木根渕氏は前職の米リーマン・ブラザーズでM&Aアドバイザリー業務に従事し、その後、シリコンバレーでもベンチャー投資業務に携わるなど、同分野において豊富な経験と知識を有しており、同社の成長戦略の1つとしてこうしたスキルを生かしていくことになる。

2003年以降のM&Aや経営改革の取組状況について見ると、2003年12月に東証第2部に上場していた防虫網トップメーカーのダイオ化成(株)の株式を公開買付けにより取得し、連結子会社化(2005年4月完全子会社化)したほか、2005年4月には機動的な経営判断や組織再編を行えるようにするため純粋持株会社体制に移行し、既存事業は新たに設立した日本ウェーブロックに移管した。2006年4月にはインテリア事業強化のため、同業のヤマト化学工業(株)(現(株)ウェーブロックインテリア)を連結子会社化し、2008年4月にグループ内のインテリア事業を統合する。また、2010年4月には日本ウェーブロックからアドバンストテクノロジー事業を分離し、(株)ウェーブロック・アドバンスト・テクノロジーとして独立させたほか、2013年4月には産業資材及び包材事業の製販分離を実施し、販売機能を(株)イノベックス(2013年2月設立)に吸収するとともに、ダイオ化成の産業資材の販売部門についてもイノベックスに統合した。

2019年1月にはダイオ化成の営業・購買・管理部門をイノベックスに集約し、イノベックスの子会社としてダイオ化成(編織の製造)及び日本ウェーブロック(産業資材・包材の製造)を配置する組織再編を実施し、編織事業と産業資材・包材事業を統合して新たにマテリアルソリューション事業として組織化し、2020年4月にダイオ化成、日本ウェーブロックをイノベックスに吸収合併し、イノベックスが同事業における製販一体の子会社となっている。また、アドバンストテクノロジー事業においても、PMMA/PC2層シートの製造販売を行っていた(株)シャインテクノを2020年4月にウェーブロック・アドバンスト・テクノロジーに吸収統合し、一体化している。

海外市場への展開としては、アドバンストテクノロジー事業で2012年に韓国に販社を設立したのに続き、2018年に米国、2019年にドイツにそれぞれ販社を設立して主に自動車分野に向けた営業活動を開始している。また、編織事業の製造機能強化のため2012年に中国に製造子会社を設立したほか、2013年にはグループのアジア地域における商社機能強化のため子会社を香港に、2018年にはASEAN地域における事業の活動強化を目的とした子会社をタイにそれぞれ設立している。

なお、同社は2009年3月にウェーブロックインベストメント(株)による同社株式の公開買い付けを実施、同年7月に株式を非上場化し、2017年4月に再度、東証第2部に上場している(現在は東証第1部)。非上場化を決断した背景には、原材料価格の高騰や海外製品との競争激化により、収益環境が厳しくなるなかで、将来の収益の柱と成り得る新規事業を育成していくため、短期的な業績動向にとらわれず中長期的な視野に立った経営戦略を実行する体制を整備していく必要があったこと、また、当時の主要株主から保有株の売却意向を受けていたことなどが挙げられる。非上場化以降、2017年に再上場を果たすまでに、前述した組織再編等も進めながら経営基盤の強化を進め、2017年3月期には赤字が続いていたアドバンストテクノロジー事業の黒字化も実現している。また、2015年には主要取引先であったインテリア商社最大手のサンゲツと業務資本提携を締結し、サンゲツが同社の筆頭株主(出資当時の出資比率22.2%)となり関係強化を進めるなど、非上場化を決断したことは結果的に同社にとって良い判断であったと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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