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Iスペース Research Memo(3):2020年9月期第2四半期累計業績は減収減益となるも会社計画は上回る


■業績動向

1. 2020年9月期第2四半期累計業績の概要
インタースペース<2122>の2020年9月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比15.7%減の13,206百万円、営業利益が同52.4%減の317百万円、経常利益が同58.3%減の283百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同61.0%減の159百万円と減収減益となったが、期初会社計画に対しては売上高、各利益ともに上回って着地した。インターネット広告事業で前年同期の業績に大きく貢献した大型プロモーション案件が減少したこと、また、メディア事業では開発費等の先行投資費用が増加したことが主な減益要因となった。会社計画では第2四半期まで売上高の低迷が続くと見ていたが、両事業ともに想定していたよりも早く売上高が回復したことや、インターネット広告事業で利益率の高い案件が継続したことが、計画比での上振れ要因となった。

売上原価率は、販売構成比の変化により前年同期比1.2ポイント改善して80.9%となった。2019年11月でレコメンドウィジェット広告※配信事業を終了したことも改善につながったと見られる。一方、販管費率は同3.1ポイント上昇の16.7%となり、金額ベースでは77百万円増加した。増減の内訳を見ると、人材投資を抑制したことで人件費は5百万円の増加にとどめ、広告宣伝費も13百万円減少したが、事務所関係費が13百万円増加したほか、その他販管費が78百万円増加した。また、営業外収支については、為替差損の増加を主因として前年同期比で46百万円悪化した。

※媒体のおすすめ記事欄に掲載する広告のこと。


なお、2020年9月期第2四半期末の連結従業員数は、前年同期末比で3名増の441名となった。うちインターネット広告事業(海外含む)で同1名減の317名、メディア運営事業で同28名増の85名、共通部門で同24名減の39名となっている。メディア運営事業強化のため、共通部門から一部人員のシフトを行った。


インターネット広告事業、メディア運営事業ともに想定よりも前倒しで売上げが回復

2. 事業セグメント別の動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高(社内取引高含む)は前年同期比16.3%減の12,725百万円、事業利益※1は同34.6%減の663百万円となった。前年同期に大きく伸長したeコマース分野の大型プロモーション案件が減少したほか、SFAの売上げも大きく落ち込んだことが減収減益要因となった。ただ、前期から広告表示の健全化※2に向けた取り組みに注力してきた効果が第2四半期以降に出始めたこと、大型プロモーション案件が規模は縮小しながらも継続して売上貢献したことなどにより、会社計画比では売上、利益とも上回って推移した。

※1 社内共通費用配賦前の利益で、決算短信の事業セグメント利益とは異なる。
※2 広告主のブランドセーフティーや法令遵守の観点から、同社独自の広告表記基準のガイドラインを作成し、アフィリエイトパートナーにそのガイドラインにのっとって、広告コンテンツを作成するよう求めてきた。アフィリエイト広告では、健康食品等の分野で消費者に誤解を与えるような不適切な広告表現がされるケースがまれにあり、問題となっている。


売上高の内訳を見ると、アフィリエイト広告が前年同期比12%減の11,691百万円、SFAが同48%減の736百万円、その他(ネイティブ広告、その他広告商材)が同49%減の290百万円となった。アフィリエイト広告は、eコマース分野における大型プロモーション案件の規模縮小が減収要因となっている。また、SFAはスマートフォンの販売台数が低迷していることに加えて、現在の主力商材であるスマートフォン向けセキュリティ商品「MWノートンストア」の売上計上方法が月額継続課金方式であり、売上増のインパクトが小さいことなどが影響している。その他広告については、2019年11月に「X-lift」によるレコメンドウィジェット広告の配信を終了したことが減収要因となっている。

インターネット広告事業のカテゴリー別売上高の前年同期比増減率を見ると、eコマースが28%減、金融・保険が5%減、エンターテイメントが25%減となるなかで、サービスのみ8%増と増収を維持した。新型コロナウイルス感染拡大の影響が3月頃から出始めたものの、まだ人材派遣等の広告出稿が堅調だったことが要因と見られる。なお、金融・保険分野に関しては3月に証券口座やFXの口座開設が急増したこともあり、第2四半期(2020年1月~3月)だけで見れば前年同期比13%増収、前四半期比では58%増収と急回復している。

また、海外事業についてはベトナム、タイが堅調に推移し、前期に落ち込んでいたインドネシアについても若干回復した。また、2019年9月期下期からアフィリエイトサービスを開始したマレーシアも順調に立ち上がっており、持分法適用関連会社であるベトナムを除いた売上高は2億強の規模だったと見られる。カテゴリーとしては、eコマース分野を中心に伸ばしているようだ。損益面では合計で若干の損失計上が続いているものの、全体の業績に与える影響は軽微となっている。

(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高(社内取引高含む)は前年同期比10.0%増の606百万円、事業利益は同25.3%減の73百万円となった。減益要因は、新規メディア開発などの投資費用の増加(前年同期比55百万円増の136百万円)によるもので、投資費用を除いた利益で見ると同17%増の209百万円と増益に転じている。

売上高の内訳を見ると、広告型メディア(ママスタジアム、4MEEE等)が前年同期比15%増の398百万円、成果型メディアが同100%増の142百万円、コンテンツが同50%減の67百万円となった。広告型メディアについては、当第2四半期の月平均ユニークユーザー数において、主力の「ママスタジアム」の回復傾向が続いたほか、その他メディアでも「4MEEE」が好調に推移したことにより過去最高を更新している。広告形態では、動画広告やタイアップ広告などが好調に推移し、増収要因となっている。成果型メディア(派遣サーチ)については、2020年3月に運営を子会社に譲渡したことに伴い、売上計上方法を従来のネット計上(手数料収入のみ計上)からグロス計上(広告原価も含めて計上)に変更したことが主な増収要因となっている。一方、ゲームコンテンツについては新規タイトルのリリースがなく、国内外で売上げが減少した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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