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サイネックス Research Memo(1):「デジタルシフト」で地方創生プラットフォームの拡充と生産性向上を進める


■要約

サイネックス<2376>は地域密着型情報発信企業である。50音別無料電話帳『テレパル50』の発行からスタートし、市町村の行政情報などを網羅した無料行政情報誌『わが街事典』を全国展開している。また、ふるさと納税支援事業や地域特産品、旅行商品のEC(eコマース)販売、デジタルサイネージを活用した『わが街NAVI』などICTソリューションサービスにも展開しており、地方創生を総合的に支援する社会貢献型企業として成長を目指している。

1. 2020年3月期第3四半期累計業績の概要
2020年3月期第3四半期累計(2019年4月-12月)の連結業績は、売上高で前年同期比0.6%減の10,246百万円、営業利益で同4.5%増の272百万円となった。売上高は(株)サンマークが連結対象外となったことにより減収となったものの、既存事業ベースでは郵便発送代行サービス等のロジスティクス事業が好調に推移し、増収となった。また、営業利益についてもICTソリューション事業の損益が改善したこと、また、ロジスティクス事業の増収効果などで増益を確保した。

2. 成長戦略
企業におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みが活発化するなかで、同社も「デジタルシフト」を基本方針に掲げ、収益基盤である出版事業で『わが街事典』を中心に安定した収益を確保しつつ、ICTソリューション事業の拡大により成長を目指していく戦略となっている。『わが街事典』の累計発行自治体数は2020年2月時点で933自治体まで増加しており、1,000前後まで伸ばすことは可能と見られ、これらのネットワークを生かしてICTソリューション事業を伸ばしていく。なかでも2017年3月期より開始した自治体向けホームページ・アプリ開発サービスは、2020年3月期第3四半期末の累計契約数で47自治体と順調に増加している。また、2017年より大日本印刷<7912>と共同で開始したデジタルサイネージサービス『わが街NAVI』についても、市役所のエントランス部への設置が進んでいるほか、病院や学校、商業施設などへの導入も広がる可能性があり、今後の成長が期待される。同社の営業活動についても従来のアナログ的な手法から、ITを活用した効率的な手法にシフトし、生産性向上を進めていく方針だ。

3. 2020年3月期業績見通し
2020年3月期の連結業績は、売上高で前期比0.5%増の14,000百万円、営業利益で同32.8%増の510百万円と期初計画を据え置いている。第3四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で73.2%、営業利益で53.5%となっており、直近3年間の平均(売上高74.3%、営業利益70.2%)と比較して、営業利益面でやや遅れ気味となっている。また、年明け以降は新型コロナウイルス感染の拡大で、旅行商品の販売もマイナスの影響を受けるなど市場環境が一段と悪化していることもあり、利益面で計画を下振れする可能性もある。ただ、同社の業績はリーマンショックや東日本大震災など過去に景気が大きく悪化したときでも堅調な業績を保ってきた実績があり、比較的不況抵抗力の強い会社と見ることもできる。中期的にはICTソリューション事業の成長が期待できることもあり、2017年3月期に記録した過去最高益(営業利益で813百万円)を数年後に更新することも可能と弊社では考えている。

■Key Points
・地域密着型の電話帳制作事業からスタート、地域行政情報誌『わが街事典』で飛躍、ICTソリューションへの展開を図る
・自治体向けホームページ・アプリ開発サービスやデジタルサイネージ『わが街NAVI』の成長に期待
・2020年3月期業績は景況感が悪化するなかで増益確保を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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