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KLab Research Memo(5):2019年12月期業績は減収減益 新作タイトル「スクスタ」は順調な立ち上がり


■決算動向

1. 2019年12月期の業績
KLab<3656>の2019年12月期の業績は、売上高が前期比4.8%減の31,109百万円、営業利益が同66.5%減の1,673百万円、経常利益が同67.5%減の1,625百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同85.1%減の383百万円と減収減益となった。期初予想(レンジ形式)に対しては、売上高が下限を若干下回ったものの、営業(及び経常)利益はレンジ内での着地となっている。

売上高は、2018年のワールドカップ効果が一段落した「キャプテン翼」や「スクフェス」などの既存タイトルが、期間経過に伴う減少(自然減)などにより減収となったが、その点はおおむね想定内。したがって、売上高が期初予想の下限を若干下回ったのは、前期リリースした「マジバト」※及び4月23日リリースの新作タイトル「禍つ」の伸び悩みなどが理由である。一方、9月26日リリースの「スクスタ」については順調に立ち上がってきたようだ(第4四半期の業績に貢献)。

※2018年8月にリリースした「幽☆遊☆白書100%本気(マジ)バトル」


また、海外売上高についても、「キャプテン翼」の自然減により前期比で減収となったが、堅調に推移している「ブレソル」や「BLEACH」の多言語展開(簡体字中国語版、繁体字中国語版、東南アジア版、韓国版)により高い業績水準(海外売上高100億円以上)を維持している。

損益面では、利益貢献の大きい既存タイトルの売上減による影響に加え、「労務費」や「外注費及び業務委託費」、新作タイトルのリリースに伴う「減価償却費」の増加などにより売上原価率は77.4%(前期は67.7%)と大きく悪化。一方、販管費は広告宣伝費の削減などにより減少したものの、売上減による収益の下押しや原価増により大幅な営業減益となり、営業利益率も5.4%(前期は15.3%)に低下した。さらに、親会社株主に帰属する当期純利益が大きく落ち込んだのは、「禍つ」の伸び悩みに鑑み、関連するソフトウェア資産の減損損失(1,300百万円)を計上したことが理由である。

財務面では、内部留保の積み増しにより自己資本が前期末比7.0%増の15,463百万円に増加した一方、総資産は売上高増加のほか、政策保有株の一部売却及び長期借入の実施等により「現金及び預金」や「売掛金」等が増加したことから、前期末比23.0%増の23,669百万円に拡大した。その結果、自己資本比率は65.3%(前期末は75.1%)に低下した。

2.四半期業績の推移
四半期業績の推移を見ると、「キャプテン翼」の国内版及びグローバル版のリリースにより、2017年12月期の第3四半期から第4四半期にかけて売上高は大きく拡大し、2018年12月期も高い水準を維持してきた。特に、2018年12月期の第3 四半期には過去最高の売上高(四半期ベース)を達成。2019年12月期に入ってからも、第1四半期は季節要因などにより一旦落ち込んだものの、既存タイトルの巻き返しや新作タイトルの寄与などにより、第2四半期及び第4四半期には売上高80億円以上を確保しており、高い業績水準が継続していると評価できる。特に、第4四半期(過去2番目の売上高を記録)の伸びは、新作タイトル「スクスタ」が順調に立ち上がってきたことが理由であり、2020年12月期業績への貢献にも期待が持てる。

海外売上高の四半期推移についても、「キャプテン翼」グローバル版が想定以上に拡大したことにより、2018年12月期の第3四半期には30億円を超える水準に到達。2019年12月期に入ってからも、「キャプテン翼」が一段落したものの、「ブレソル」が順調に伸びているほか、「BLEACH」の多言語展開(簡体字中国語版、繁体字中国語版、東南アジア版、韓国版)などにより、総じて堅調に推移している。

利益面でも、売上高の拡大に伴って2018年12月期の営業利益は高い水準で推移してきた。ただ、2019年12月期に入ってからは、「労務費」及び「人件費」の増加に加え、新作タイトルに係るソフトウェア資産(開発コスト)の減価償却が開始されたことにより利益水準は前期と比べて一段低いところで推移している。さらに第4四半期では、「スクスタ」の初期プロモ−ション費用が重なったことなどから、営業損失となった。

3.主な活動実績
(1)リリース実績
2019年12月期の新作タイトルは、4月23日リリースの「禍つ」(自社IP)及び9月26日リリースの「スクスタ」(他社IP)の2本となった。そのうち、自社IPを活用した「禍つ」については、立ち上がりこそ順調であったものの、その後伸び悩んでいる。一方、人気IPによる「スクスタ」については、配信から3週間足らずでユーザー数300万人を突破。「Google Play ベストオブ2019 ユーザー投票部門ゲームカテゴリ」でも「優秀賞」を獲得した。なお、もう1本リリースを予定していた「テイルズ オブ クレストリア」(他社IP)については、開発計画変更により2020年12月期に期ずれとなっている。また、既存タイトル多言語版については、「BLEACH」を東南アジア及び韓国へ順次展開したほか、「キャプテン翼」の中国大陸向け正式版をリリースし、海外売上高の維持や1タイトル当たりの収益最大化に寄与した。

(2)自社IPのメディアミックス展開
中国・盛趣遊戯(旧:盛大遊戯)との共同開発により、日本及び中国大陸でのリリースを予定している「ラピスリライツ」(KADOKAWA<9468>とのメディアミックスプロジェクト)については、2019年8月に実施したCDデビュー応援プロジェクト(初単独ライブイベント)を経て、1stアルバムを2020年2月5日に発売すると、2月9日にはお台場でリリースイベントを実施した。今後も、横浜、秋葉原にてイベント開催予定である。2020年内のTVアニメ化も決定しており、ゲームタイトルのリリースに向けても確かな手応えをつかんでいるようだ。自社IPのメディアミックス展開によるコアファンの醸成と収益源の多様化は同社戦略の重要な柱の1つであり、今後の試金石としても注目される。

(3) 「くまモン」グローバルライセンス契約の締結(開発支援モデルの展開)
「開発支援モデル」とは、海外での収益拡大を目指す日本のIPホルダーからゲーム化のライセンスを受け、海外デベロッパーと共同でゲームを開発し、海外へ展開していく仕組みのことである。すでに中国崑崙社との「BLEACH」シリーズで実績があるが、今後さらに推進していく方針であり、その一環として、熊本県及び(株)ADKエモーションズと「くまモン」を使用したゲーム開発に関するグローバルライセンス契約を2020年2月に締結した。「くまモン」は中国やタイを始めとしたアジアを中心に全世界で高い知名度の誇っており、今後「くまモン」を題材とする新作ゲームを開発予定である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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