starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

システム ディ Research Memo(5):学園ソリューション、公教育ソリューション事業などが2ケタ増収に


■業績動向

2. 事業部門別動向
(1) 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業では、学園運営をトータルに支援する学園情報管理システム「CampusPlan」を提供している。トータルというのは、システムディ<3804>のシステムが、学務系(対学生・生徒業務)と法人系(学校法人の内部管理業務)の各業務を網羅する体系となっているということだ。対象は国公立大学(短期大学含む)と私立学校法人(大学・高校・専門学校等)向けだが、これまでは1校当たりの規模が大きい大学を中心に事業を展開してきた。その結果、同社の製品は全国の国公私立大学(短大含む)1,100校のうち約360校に導入され、業界トップシェアとデファクトの地位を確立するに至っている。それ以外にも私立の専門学校や高等学校で導入が進んでおり、2019年10月末時点の導入学園数は前期末比9校増の979校に達している。

同事業の売上高は前期比11.1%増収の1,381百万円となった。主力製品である「CampusPlan .NET Framework」、クラウドサービス「CampusPlan for Azure」ともにユーザーの高い支持を得て増収増益に寄与した。特に、クラウドサービスによる提供の割合が上昇した。パッケージソフトについても、現行の「CampusPlan」はバージョン10を数えており、特段の修正・改良を加えることなく顧客ニーズを高いレベルで満足させることが可能なため利益率の向上に寄与した。事業部門別に見た場合、学園ソリューション事業の利益貢献度が最も大きかったものと推測される。

(2) ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業の製品はフィットネスジムやスポーツ施設、アミューズメント施設などで利用される会員管理を中心とした施設運営支援システムとなる。2001年に提供を開始したフィットネスクラブ・スポーツ施設の会員管理システム「Hello EX」については業界トップシェアとなっている。また、2017年後半に文化・観光施設向け運営管理システム「Hello Fun」もリリースし、顧客の拡大に取り組んでいる。2019年10月末の顧客数は前期末比78施設増の1,142施設と順調に増加している。

同事業の売上高は前期比1.2%減の867百万円となった。前期に計上した大型案件の反動によるものだが、2019年10月期下期だけで見ると前年同期比で10.7%増と回復に転じている。大手コンビニエンスストアを始め複数の異業種が新規参入しているフィットネス施設向けにシステムの導入が進んでおり、クラウド売上を中心としたストック収入が順調に増加しているのが要因だ。また、文化・観光施設向けの「Hello Fun」についても、着実に実績が積み上がってきている。

(3) 公教育ソリューション事業
公教育ソリューション事業は公立の小・中・高校向けに校務支援システム「School Engine」をクラウドサービスで提供している。同じ学校向けソフトウェア事業でも、私立学校法人や独立行政法人である国公立大学を対象とする学園ソリューション事業とは事業環境が大きく異なる。違いの1つは自治体予算制度だ。公立学校は基本的に自治体の教育委員会の管理下にあり、エリア内での共通予算はあっても、1校当たりの予算の制約が厳しい。こうした状況に適合するため、同社は「School Engine」を初期投資負担の少ないクラウドサービスで提供している。競合の中にはパッケージソフトで提供しているところが多く、小中高校すべてでクラウドサービスを提供しているのは同社だけとなっている。

また、営業先も学園ソリューション事業とは異なり、高校は各都道府県、小・中学校は各市町村の教育委員会が窓口となる。案件を落札できれば当該教育委員会の管轄下にある学校すべてに導入される流れとなるため効率が良い。公立高校では校務支援ソフトを導入している都道府県が36あり、このうち19県で同社製品が導入されている(導入県の公立高校は1,286校)。また、小中学校では4つの政令指定都市のほか、複数の中核都市で同社製品が導入されている。

同社製品の導入校数が前期末比15.9%増の2,319校と拡大したことで、同事業の売上高も前期比17.3%増の587百万円と2ケタ成長が続いた。県下全市町村域を対象とする県域案件を複数受託したことが導入校数の拡大につながっている。文科省の令和元年度学校基本調査によれば、2019年5月1日現在で公立小学校は19,432校、公立中学校は9,371校、公立高校は3,550校(いずれも国立は含まない)、全体では32,353校となっており、今後シェアの拡大による成長余地の大きい事業と言える。

(4) 公会計ソリューション事業
公会計ソリューション事業では、地方自治体向けの新公会計用ソフトやソリューションを提供している。総務省は地方自治体に対して企業会計原則に基づく会計制度(複式簿記に基づく発生主義会計)の導入を2018年3月末までに完了させることを求めており、これが公会計ソリューション事業を後押しする背景となっていた。同社はこれに対応して公会計用ソフト「PPP(トリプルピー)新統一基準対応版」を開発し、熟成を重ねながら売上を伸ばしてきた。また、2018年6月には、公会計活用システムで、言わば地方自治体の財務諸表分析に特化したソフト『創生』をリリースしている。

同事業の売上高は、前期比13.7%減の451百万円と2期連続の減収となった。2018年3月までに全国の地方自治体で新会計ソフトの導入が一巡し、現在は端境期となっていることが減収要因となっている。2019年10月末時点の「PPP」の導入自治体・関連団体の数は1,003となり、前期末比で7.2%増となっている。このうち自治体向けは全国1,788自治体のうち800超に導入されており、5割弱とトップシェアとなっている。導入顧客数が増加した要因は、2022年度末のサービス停止を発表した国策の競合製品(市場シェア約25%)からの切り替え需要が2019年10月期後半から出始めたことが要因で、2019年10月期下期だけで見ると前年同期比12.7%増と増収に転じ、このリプレイス需要は今後も期待できる。

(5) ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では幅広い業種の民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、契約書・マニュアル等の管理システム等を提供している。具体的商品としては、「規程管理システム」や「契約書作成・管理システム」などがある。

一般企業や学校法人、公益団体問わず、コンプライアンス経営やコーポレートガバナンスの強化が、経営の最重要課題になってきており、これら取り組みを支援する同社製品に対する引き合いが好調に推移している。ニッチ領域でありパッケージソフトでの競合が少ないこと、また、高機能でコストパフォーマンスに優れていることが、高い評価につながっている。また、業務マニュアルや手順書の作成に最適な機能を多数搭載した「規程・マニュアル管理システム」も増えつつあり、金融機関向けに特化した「規程管理システム金融機関版」とあわせた「統合文書管理システム(仮称)」の見込案件も増加している。

2019年10月末の累計顧客数は前期末比17.9%増の422社・団体となり、顧客増加率では6事業部門の中で最も高い伸び率となった。また、売上高も前期比16.8%増の203百万と2ケタ増ペースが続いている。

(6) 薬局ソリューション事業
薬局ソリューション事業は連結子会社のシンクが手掛ける事業で、小規模の独立系調剤薬局に対してレセプトコンピュータ(レセコン)の『GOHL2』などを提供している。2015年10月期には医薬品過誤防止システム「GOHL PICKING」もリリースしている。

2019年10月末の導入顧客数は前期末比で1局増加の1,226局となり、ここ数年はほぼ横ばい圏で推移している。売上高に関しては保守・サポート収入を中心に前期比5.4%減の75百万円となり、シンク自身の営業利益は年間10百万円程度と安定して推移している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




<YM>

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.