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日本化学工業 Research Memo(1):1893年創業の化学メーカー


■要約

1. 1893年創業の無機化学中心の化学メーカー
日本化学工業<4092>は1893年創業で、無機化学を中心に展開する化学メーカーである。事業区分は、化学品事業(クロム製品、シリカ製品、リン製品、その他)、機能品事業(電子セラミック材料、ホスフィン誘導体、農薬、電池材料、回路材料、その他)、賃貸事業、空調関連事業、その他としている。創業以来の化学品事業と機能品事業が収益の2本柱である。賃貸事業は保有資産を有効活用した安定収益源、空調関連事業は新規事業分野と位置付けている。

2. 120年以上の歴史の中で培った多様な市場・顧客ニーズへの対応力が強み
化学品事業と機能品事業の最終需要先は、自動車、家電、半導体・液晶、鉄鋼、二次電池、塗料、製紙、土木、家庭用品、食品、飼料、医薬・農薬と幅広い。120年以上の歴史の中で培った配合・合成ノウハウをベースとして、新製品開発力、製造技術力、品質力など、多様な市場・顧客ニーズへの対応力の高さを強みとしている。

3. 2020年3月期第2四半期累計の連結業績は増収・減益
2020年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比2.3%増の18,302百万円、営業利益が同7.5%減の1,642百万円、経常利益が同8.5%減の1,694百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同14.4%減の1,121百万円だった。売上面では化学品事業が伸び悩み、空調関連事業が大幅減収だったが、機能品事業が2ケタ増収と好調に推移してけん引した。利益面では空調関連事業の大幅減収、原料価格の高止まり、減価償却費の増加などで減益だった。

4. 2020年3月期通期の連結業績は増収・増益予想で上振れ余地
2020年3月期通期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前期比3.7%増の37,500百万円、営業利益が同0.5%増の3,100百万円、経常利益が同1.4%増の3,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.1%増の2,200百万円としている。化学品事業と空調関連事業は減益を見込むが、機能品事業がけん引し、全体として増収・増益予想である。設備投資額は成長製品への集中投資を継続して27億円増加の73億円、減価償却費は4億円増加の26億円の見込みである。なお第2四半期累計の進捗率は売上高が48.8%、営業利益が53.0%、経常利益が54.6%、親会社株主に帰属する当期純利益が51.0%とおおむね順調だった。通期会社予想には上振れ余地がありそうだ。

5. 現・中期経営計画の最終年度計画値を達成見込み
現・中期経営計画(2018年3月期−2020年3月期)では、重点施策に重点分野への集中投資、海外戦略の積極的展開、経営基盤の強化の3点を掲げ、最終年度2020年3月期の計画値を売上高375億円、営業利益29億円、営業利益率7.7%としている。2018年3月期、2019年3月期は、売上高、営業利益とも計画を達成した。そして2020年3月期連結業績の会社予想は売上高375億円、営業利益31億円、営業利益率8.3%であり、3期連続で計画値を達成する見込みだ。

6. 中期成長に向けて重点分野への集中投資を継続推進
中期成長に向けて重点分野への集中投資(機能品事業の拡張、次世代製品を取り込んだ新工場建設、M&Aの推進)を継続推進している。次世代製品を取り込んだ新工場建設では、先端有機材料の需要拡大に対応して福島第二工場に新工場を建設(2019年8月稼働)した。有機電子材料事業の売上倍増を目指している。MLCC用パルセラム(チタン酸バリウム)の需要拡大への対応では、福島第一工場に新ラインを増設(2019年3月稼働)して生産能力を10%増強した。さらに2019年11月には徳山工場の新生産棟の建設着手(2021年春竣工予定)を発表した。また東南アジアの生産拠点については2022年前半の稼働を目指して進出地域などの検討を進めている。

7. 中期的に収益拡大・高収益化を期待
2020年春に発表が予想される次期・中期経営計画は、徳山工場の新生産棟建設や東南アジアの生産拠点計画着手などで、設備投資が高水準となって減価償却費が増加するため、新工場の円滑な立ち上げと生産性向上、新製品開発の加速など、次の成長ステージに向けた強固な事業基盤の構築時期という位置付けになりそうだ。ただしMLCC用パルセラム(チタン酸バリウム)など高付加価値製品の需要拡大も背景に、こうした強固な事業基盤の構築時期を経て、中期的に収益拡大、一段の高収益化が期待される。

■Key Points
・1893年創業の化学メーカーで多様な市場・顧客ニーズへの対応力の高さが強み
・2020年3月期は増収増益予想で上振れ余地
・中期成長に向けて重点分野への集中投資を継続推進

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)




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