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システム ディ Research Memo(4):新製品『CampusPlan Smart』を発表


■事業部門別動向

1. 学園ソリューション事業
学園ソリューション事業では、学園運営をトータルに支援する学園情報管理システム『キャンパスプラン』を提供している。トータルというのは、システムディ<3804>のシステムが、学務系(対学生・生徒業務)と法人系(学校法人の内部管理業務)の各業務を網羅する体系となっているということだ。対象は国公立大学(短期大学含む)と私立学校法人(大学・高校・専門学校等)向けだが、これまでは1校当たりの規模が大きい大学を中心に事業を展開してきた。その結果、同社の製品は全国の国公私立大学(短大含む)1,100校のうち400校近くに導入され、業界トップシェアとデファクトの地位を確立するに至っている。それ以外にも私立の専門学校や私立高校でも導入が進んでおり、2019年4月末時点では導入学園数が976校に達している。

学園ソリューション事業の今第2四半期は、売上高が前年同期比16.2%増収の784百万円となった。学園ソリューション事業においても、前年同期に大型案件があり、その反動減の影響が懸念されたが、主力製品である『キャンパスプラン .NET Framework』と、クラウドサービス『キャンパスプラン for Azure』がユーザーの高い支持を得て増収を果たした。今第2四半期は、前述のように、高効率ビジネスの浸透により収益性(利益率)が顕著に改善したが、これが最も進捗しているのが学園ソリューション事業だ。現行の『キャンパスプラン』はバージョン10を数えており、特段の修正・改良を加えることなく顧客ニーズを高いレベルで満足させることが可能となっている。事業部門別に見た場合、この学園ソリューション事業の伸が大幅増益の最大の要因となったと推測される。

今後の学園ソリューション事業の成長戦略は大きく2つだ。1つは新規顧客の獲得であり、もう1つは既存顧客からの更新需要だ。新規顧客の開拓については、大学の市場では全国約1,100大学のうち約400校への導入が進んでいるため、今後は成長が鈍化せざるを得ない。代わって浮上しているターゲットが私立高校だ。私立高校は全国に1,300校超あり、大学の数を上回る。生徒数は大学生数に比べて少ない(大まかなイメージとしては、私立高の総生徒数は約100万人で、大学の総学生数の約3分の1水準)ため、1校当たりの規模としては小さくなる。したがってクラウドでの提供のケースが多くなるとみられるが、それは利益率の点ではむしろプラスに働くと弊社ではみている。

更新需要のうち、既存顧客については特需への期待がある。大学の会計制度変更によって2015年前後にシステム改修・更新の特需が発生し、同社の業績を押し上げた。この部分の更新需要が2021年−2022年頃に発生してくる見通しだ。既存顧客におけるこの大型特需を着実に取り込むことができれば、セグメント売上高の過去最高の更新も可能だと弊社では考えている。

他社製品ユーザーにおいても更新需要は発生し、それは同社にとって新規顧客開拓の商機となる。同社の『キャンパスプラン』の大きな特長は、学務系業務や法人系業務などをトータルで提供できる点にあるが、この“トータルソリューションの提供”という点では直接的な競合製品がない。同社が高シェアを獲得し業界デファクトの地位を確立した要因はここにある。領域ごと(例えば“会計・経理”や“人事”などの領域)では、強い競合製品がそれぞれ複数存在するが、同社の製品は価格競争力でも優れているため、結果的に選定されることが多い状況となっている。

そうしたなか同社は、学園ソリューションの新製品として『次世代学園総合情報システム CampusPlan Smart』を2019年6月に発表した。『CampusPlan Smart』は従来の『キャンパスプラン』の機能はそのままに、AI、IoT、RPA(Robotic Process Automation)など人とモノがつながるスマート社会(Society 5.0)に対応した点が特長となっている。具体的には1)業務全体が見渡せる、2)作業の動線を把握できる、3)マニュアルレスで捜査を覚えなくても使える、4)システムとユーザーのコラボレーションを高める、といった特長があり、業務効率性を大きく高めるものとなっている。

同社は『CampusPlan Smart』を今秋から正式に発売開始予定で、2020年10月期から売上げに立ってくる見通しだ。顧客ニーズに対応し、従来の『キャンパスプラン』も併売する方針で、新製品への切り替えによる機会ロスといったリスクは小さいと考えられる。したがって、新製品のリリースによって、私立高校の開拓や他社製品ユーザーの乗り換えで売上高にどれだけ上積みできるかが注目される。


スポーツ施設向け『Hello EX』に加え、新製品として文化・観光施設向け『Hello Fun』をリリースし2本柱で成長を目指す
2. ウェルネスソリューション事業
ウェルネスソリューション事業の製品は会員管理を中心とした施設運営支援システムだ。フィットネスクラブや公共体育施設などのスポーツ施設の運営を支援する『Hello EX』から事業がスタートし、これまで成長を続けてきた。2017年後半に新製品として観光施設や文化施設などの運営支援システム『Hello Fun』をリリースし、今後はこの2本柱で成長を狙う方針だ。また、BtoBtoC型のサービスとして介護予防・健康増進を目的としたアンチエイジングサービスの『Weldy Cloud』もリリースしている。

2019年10月期第2四半期の売上高は前年同期比13.7%減の369百万円となった。前期にあった大型案件の反動があったものの、大手コンビニエンスストアが新規参入したフィットネス施設に引き続きシステムを納入する等、実態面では順調な進捗となった。2019年4月末時点の導入施設数は1,104ヶ所となった。

スポーツ・健康関連施設は、健康志向の高まりや開催まで1年となった東京オリンピック・パラリンピックの影響もあって、業界全体が活況を呈している。そうしたなか、同社のスポーツ施設向け『Hello EX』は、大手向けのカスタマイズ案件から中小向けクラウド案件まで全般に好調に販売を伸ばした。観光・文化施設向け『Hello Fun』も着実に受注が増加中で、第2の柱に育ちつつある。


コンプライアンス経営の推進、ガバナンス強化の流れのなか、
増収基調が続く
3. ソフトエンジニアリング事業
ソフトエンジニアリング事業では幅広い業種の民間企業や金融機関、公益法人、学校法人等に、文書・契約書等の管理システム等を提供している。具体的商品としては、『規程管理システム』や『契約書作成・管理システム』、『マニュアル作成・管理システム』などがラインナップされている。ソフトエンジニアリング事業の業容拡大を後押しするのは、官民の別や業種を問わず、コンプライアンス経営やコーポレートガバナンスの強化が、経営上、組織防衛上の最重要課題になってきていることだ。

2019年10月期第2四半期の売上高は、前年同期比14.1%増の103百万円と、増収トレンドを維持した。同社の製品は機能性とコストパフォーマンスに優れている点が評価されて業績を伸ばしている。顧客企業にはコンプライアンス意識の高い大手企業や、学園ソリューション事業における顧客でもある大学・学校法人、公益法人などが多数含まれている。2019年4月末時点の導入企業数は396社・団体となっている。

今後の成長戦略として期待されるのは、金融機関と官公庁・地方自治体の公共部門で、この見方は従来から変わっていない。金融機関については当局からのライセンスを得て行うという事業の性質上、コンプライアンス順守のための仕組みへのニーズが一般企業よりも強いと考えられ、同社は『規程管理システム金融機関版』をリリースして既に数行の実績を上げ、さらに売上拡大を図っている。官公庁や地方自治体の公共部門については、文書管理の適正化のニーズが高まると考えられ、同社の文書管理システムはそこにフィットすると期待される。現在は『総合文書管理システム(仮称)』の見込み案件が増加しつつあるところだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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