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クリレスHD Research Memo(8):M&Aやグループ連邦経営の更なる進化により、成長加速を目指す


■成長戦略

1. 中期的な成長戦略
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は、多様化する顧客ニーズへの対応や中食を含めた競争の激化、良質な人財確保などが重要な経営課題となる一方、事業承継やファンド案件を中心にM&Aの候補案件が増加している環境等を踏まえ、改めて中期的な成長戦略の方向性を示した。すなわち、1)国内及び海外でのM&A戦略の推進、2)ブランド創出力の一層の強化、3)グループ連邦経営の更なる進化により、サスティナブル(持続可能)な力強い成長へと舵を切る方針である。これまでの方向性と大きな変化はないものの、とりわけM&A戦略とグループ連邦経営(グループ間シナジーの最大化)を軸とした成長を描いている。

(1)国内及び海外でのM&A戦略の推進
国内においては、多店舗化が可能なエッジの効いたブランドを保有する企業をターゲットとする方針であり、案件規模にはとらわれず、人財ごとの獲得を目指す。特に、SFPカテゴリーにおいては、「SFPフードアライアンス構想」と銘打ち、地方都市でのM&A推進により、「磯丸水産」など人気業態の出店拡大に取り組む。一方、海外においては、2019年2月に設置した北米事業投資推進室を中心として、特に北米での案件開拓を積極的に推進する。また、アジアにおいては、M&Aに加え、FCやジョイントベンチャー(JV)での展開も視野に入れる方針である。

(2)ブランド創出力の一層の強化
顧客ニーズの多様化や変化するスピードが激しさを増しているなかで、ますます「変化対応力」が試される時代となっているが、これまで培ってきた業態開発力にチャレンジ精神を掛け合わせることにより、専門性と多様性に富んだポートフォリオを構築し、時代を勝ち抜く戦略を描いている。

(3)グループ連邦経営の更なる進化
これまでのような、同社が中心となってグループ間シナジーを創出する太陽系型から、多様なグループ会社同士が相互にシナジーを追求する星団型へと進化を図る方針である。具体的には、1)グループ会社同士のFC展開、2)グループ会社跨ぎの業態変更、3)共同仕入れの拡大、4)ホールディングス同士の連携、5)グループ事業戦略本部の新設などに取り組む※。また、創業20周年を迎え、「わくわく無限大! 個性いろいろ ともに創る 驚きの未来。」を新たなグループ・ミッションに掲げている。

※これまでの実績として例を挙げると、1)「Mr.FARMER」(EW)をCRが運営(木更津店)、2)デザートカフェ業態(CD社)からキャラクターカフェ(CR)への業態変更や「かごの屋」(KR)から「しゃぶ菜」(CR)への業態変更、3)豚肉の共同購買(KRとCR)やわさびの共同購買(CRとKRとSFP)などがあり、一定の成果が実証されている。また、2019年6月よりグループ事業戦略本部が新設される予定であり、今後のグループ内におけるシナジーの更なる創出が期待される。


2. 中期経営計画
同社は、改めて中期的な成長戦略の方向性を示したことに伴って、新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。年間50~60店舗の新規出店に加え、M&Aによる店舗数の増加(3年間で200店舗程度)により、最終年度(2022年2月期)の目標として、売上収益152,000百万円、調整後EBITDA16,100百万円を掲げている。今期については、今後の成長戦略を進めるための基盤づくり(特に、SFPカテゴリー)の様相が強いが、来期からは再び年率10%を超える成長軌道に乗せる計画となっている。また、利益率も売上収益の拡大に伴って段階的に改善する見通しである。

弊社でも、CRカテゴリーが好調に推移していることに加え、成長の軸を担う居酒屋業態(SFPカテゴリー)についても、M&Aによる地方都市への進出を含めて、出店余地が十分にあること、国内でのM&Aの環境が同社グループにとって追い風であることなどから、中期経営計画の前提(新規出店やM&Aによる店舗数の増加)は決して難しいものではないと見ている。一方、課題と言えるのは、グループ連邦経営の更なる進化(太陽系型から星団型によるシナジー追求)や海外M&Aなど、これまでにない成長軸をどのように軌道に乗せるかにある。特に、海外企業のM&Aについては、日本の外食業界において、挑戦するだけの体力を有する企業や成功している事例は少なく、いかに合理的な価格で良質な案件を見つけ出すことができるか、PMI(買収後の業績向上)やリスク管理を含め、いかに海外企業のマネジメントを効果的に行っていくのかなど、成功に向けたハードルは高い。裏を返せば、国内市場が縮小する中で持続的な成長を実現するためには、国内市場でのシェア拡大か、海外市場への進出か、大きく2つの選択肢しかないが、海外M&Aを成功に導くための体制やノウハウ、ネットワークなどを蓄積していくことができれば、同社グループが大きく飛躍するチャンスにつながると考えられる。また、M&Aの成約スピードや案件規模によっては、業績はもちろん、財務の状況にも大きな影響を及ぼす可能性があることにも注意が必要である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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