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3Dマトリック Research Memo(8):国内止血材は20年4月期1Qに承認申請、米国癒着防止材は販売承認取得1


■スリー・ディー・マトリックス<7777>の今後の見通し

2. 主要パイプラインの開発動向
(1) 止血材「PuraStat®」
「PuraStat®」については、日本で消化器内視鏡領域における漏出性出血を適用対象とした臨床試験を2017年8月より開始、2019年4月期までに臨床試験の最終組入れが完了する見込みとなっており、2020年4月期第1四半期に製造販売承認を申請する見込みとなっている。承認取得した段階で、提携先の扶桑薬品工業からマイルストーンが得られることになっており、金額については今後交渉していくことになる。既に、欧州やオーストラリアなどでは販売実績を積み上がっていることから、承認される可能性は高い。PMDAの審査期間は平均で約15ヶ月となっており、順調に審査が進めば2021年4月期の第2-3四半期に承認される見通しだ。また、他の2領域のうち心臓血管外科領域については、PMDAと治験プロトコルに関しての協議を既に開始しており、消化器内視鏡領域の進捗を見て臨床試験を開始する予定となっている。

一方、米国においても止血材の臨床試験開始に向けたプロトコル策定に向けた協議を実施しており、現在、申請中の癒着防止材の進行状況を見ながら、2020年4月期中の臨床試験開始を目標に開発を進めている。

(2) 後出血予防材
2018年12月に欧州で「PuraStat®」の適用拡大として、内視鏡手術後の後出血予防材のCEマーク認証を取得した。今回、正式に認証取得したことで、「PuraStat®」を後出血予防材として積極的に販売することが可能となる、販売先は止血材の既存顧客や見込顧客など従来と変わりないため、止血材とのクロスセルによる相乗効果が期待される。また、今後は止血材と同様、アジア・オセアニア、中南米・カナダなどのCEマーク適用国で同様に追加認証の取得、製品登録申請を進めていく予定となっている。

(3) 粘膜隆起材
国内で開発を進めている粘膜隆起材については、PMDAと2018年11月より治験や承認申請プロセスに関しての協議を開始しており、2020年4月期に承認申請形態や臨床プロトコルの方向性を決定する予定となっている。前回レポート(2019年1月)時点では、止血材の臨床試験の最終組入れが完了するタイミング(2019年春頃)で臨床試験の開始を見込んでいたが、現在の財務状況や欧州での止血材のライセンス契約の状況などを睨みながら開発を進めていくことになりそうだ。

粘膜隆起材が上市されることになれば、消化器内視鏡手術領域において止血材、後出血予防材、粘膜隆起材と3つの製品がそろうことになる。止血材において開拓した販売ルートを活用できることから、クロスセルによる早期の売上拡大が期待される。

(3) 癒着防止材「PuraSinus」
2019年4月16日付で、米国において耳鼻咽喉科領域向け癒着防止材「PuraSinus」の販売承認を取得したことを発表した。同領域ではオーストラリアで既に販売実績があり、癒着防止(約100症例で癒着率は5%以下の実績)だけでなく創傷治癒や止血効果など3つの機能を同時に兼ね備えていることが医師からも高く評価されており、普及拡大が進んでいる。このため、米国市場においても早期の販売拡大が期待される。

今後の販売戦略としては、直販で一定の販売実績を作ったうえで同領域における大手医療機器メーカーと独占販売ライセンス契約を締結する方針で、既に大手医療機器メーカー2社と協議を開始している。現在は、米国でのプロモーションや営業活動開始に向けたスタッフのリクルーティングを進めており、同時並行で国内での製造準備も開始している。耳鼻咽喉科領域における癒着防止材の潜在市場規模は米国で約100~200億円と推計しており、今後の収益貢献が期待される。

(4) 創傷治癒材「PuraDerm」
米国で2015年2月に510(k)での販売承認を取得している創傷治癒材「PuraDerm」に関しては、美容整形外科分野のKOLとなる医師による臨床研究が開始されている。「PuraDerm」は低侵襲な止血が可能なほか、適度な湿潤環境の保持、炎症による組織損傷の抑制、後出血予防、治癒促進(皮膚再生)といった長所を持つ。臨床研究の評価が良ければ米国での販売開始も視野に入ってくる。熱傷や潰瘍による傷の治りを早めたい、傷跡を極力残したくないと言った潜在ニーズは大きいと見られ、今後の動向が注目される。

(5) 次世代止血材
欧州で進めている次世代止血材の開発については、現在、臨床試験用製品を用いて動物による最終の有効性実験を行っている段階にある。適用対象については、「PuraStat®」と領域が重ならない中枢神経系(脊髄外科、脳外科)に絞って開発を進めているが、他の領域での可能性についても視野に入れている。臨床試験の開始時期に関しては、その他パイプラインの開発状況や財務状況なども考慮しながら検討していく方針で、順番としては国内の粘膜隆起材、米国での止血材の次となる可能性が高いと弊社では見ている。なお、「Purastat®」の包括的販売提携契約の中に、次世代止血材は含まれないもようだ。

(6) 歯槽骨再建材
歯槽骨再建材の開発状況については、前回レポートから特段の変化はない。米ハーバード大学附属病院において実施している2nd Pilot Studyにおいて、2017年4月までに全12症例に対して投与を完了し、全症例で歯槽骨が再建され、インプラントを埋植後の長期観察期間においてもインプラントが安定であることが確認されている。また、対象部位における新生骨の割合も、脱灰凍結乾燥骨を充填した場合と比較して約2倍の水準に達するなど、機能面でも優れたデータが確認されている。

現在はハーバード大学附属病院にて最終レポートをまとめている段階となっている。今後の開発方針については、他の開発パイプラインや財務状況なども勘案して決めていくことになるが、現時点での優先順位は低下している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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