TOKAI Research Memo(4):CATV、アクア、建築及び不動産事業が大幅増益に
2. 事業セグメント別動向
(1) ガス及び石油事業
ガス及び石油事業の売上高は前年同期比2.9%増の54,675百万円、間接費用等配賦前ベース(以下、本章内では同様)の営業利益は同23.4%減の2,954百万円となった。このうち、LPガス事業は気温が平年より高めで推移したことにより家庭用の単位当たり消費量が減少したものの、2019年3月期第3四半期末の顧客件数が前年同期末比21千件増の620千件と増加したほか、仕入価格上昇に伴う価格転嫁を実施したこともあって、売上高で前年同期比2.0%増の45,790百万円となった。顧客件数については、新規営業エリア(北関東、南東北、愛知県、岐阜県、岡山県、福岡県)、既存営業エリア(静岡県、首都圏等)ともに順調に増加した。特に、既存エリアで顧客獲得コストを増やさずに件数を伸ばせた点は注目される。
一方、都市ガス事業は顧客件数が前年同期末比1千件増の55千件と若干増加したほか販売価格の上昇等もあり、売上高で同7.6%増の8,885百万円となった。
営業利益の減益要因は、前述したように気温が平年よりも高気温で推移したことにより、家庭向けLPガスの顧客当たり販売量が減少したこと、並びに原油高に伴う原材料仕入価格の上昇が主因となっており、会社計画比では14億円程度下回ったものと見られる。
(2) 情報及び通信サービス事業
情報及び通信サービス事業の売上高は前年同期比0.5%増の37,959百万円、営業利益は同7.7%増の2,595百万円となった。このうち、コンシューマー向け事業の売上高は同2.2%減の23,218百万円と減収となった。月額課金収入の高い光コラボの顧客件数が前年同期末比9千件増の328千件となったものの、従来型ISPサービス等が同48千件減の430千件と大きく落ち込んだことが響いた。また、光コラボについても顧客獲得競争の激化により、2018年6月以降は頭打ちの状況となっている。格安スマートフォン「LIBMO」については前年同期比18千件増の39千件と増加したものの、全体の減少傾向を食い止めるまでの勢いはなく、当面は減少傾向が続くものと予想される。
一方、法人向け事業の売上高は前年同期比5.1%増の14,740百万円と堅調に推移した。クラウドサービス市場の拡大を背景としてデータ通信サービスが堅調に推移しているほか、企業の旺盛なIT投資需要を受けてシステム受託開発も増収となった。
営業利益に関しては、コンシューマー向けが「LIBMO」の収支改善等により微増益となったほか、第2四半期まで減益だった法人向けについても増収効果で増益に転じている。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前年同期比9.4%増の22,829百万円、営業利益は同29.4%増の3,568百万円となり、第3四半期累計として過去最高業績を更新した。2018年3月期の第2四半期に東京ベイネットワーク(株)、第4四半期に(株)テレビ津山をそれぞれ子会社化しており、これらM&A効果により売上高で約10億円、営業利益で約1億円の増収増益要因となっている。M&A効果に加えて、放送・通信セット加入による割引サービスや大手携帯キャリアとの連携によるスマートフォンセット割引等の営業施策と、解約防止施策による効果が継続して出ており、当第3四半期末の顧客件数は放送サービスで前年同期末比34千件増の785千件、通信サービスで同9千件増の270千件といずれも順調に増加した。なお、放送サービスについては前期末比で10千件の増加となったが、このうち5千件は東京ベイネットワークの寄与となっている。東京ベイネットワークは東京の中でも人気エリアで人口増加が続いている江東区と中央区をサービスエリアとしており、今後も顧客件数の増加が期待できるエリアとして注目される。
利益面では増収効果に加えて、減価償却費の減少も増益要因となった。また、営業利益率が前年同期の13.2%から15.6%に上昇したが、これは増収効果に加えて既存エリアにおいて放送と通信のセット契約率が上昇し、顧客当たり収益が増加していることが要因となっている。
(4) 建築及び不動産事業
建築及び不動産事業の売上高は前年同期比2.6%増の13,846百万円、営業利益は同34.4%増の915百万円となった。リフォーム事業の受注が静岡エリアの営業体制を強化したことにより拡大しており、増収増益要因となった。
(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前年同期比13.5%増の5,279百万円、営業利益は同100.9%増の444百万円と大幅増収増益となった。大型商業施設等での顧客獲得に積極的に取り組んだことで、2019年3月期第3四半期末の顧客件数が前年同期末比14千件増の157千件と約10%増加したことが増収増益要因となった。なお、新たな取り組みとして関東エリアにおける宅配飲料水の配送業務効率化とサービス品質の向上を目的に、同業のトーエル<3361>と業務提携契約を締結し(2018年11月1日付)、商品配送業務をトーエルに委託することとした。トーエルは関東エリアに25万件の顧客を抱えており、自前で配送システムを構築している。同社の商品も同時に配送することによって配送業務の効率化につながるメリットがある。
(6) その他・調整額
その他の事業の売上高は前年同期比1.8%減の3,352百万円となった。内訳を見ると、介護事業は施設の利用者数増加に伴い同3.7%増の806百万円となり、営業損益も改善基調が続いた。一方、婚礼催事事業については婚礼挙式組数の減少により、同4.4%減の1,081百万円に、また、造船事業も船舶修繕の工事量が減少したことにより同3.6%減の937百万円となった。なお、内部調整額も含めた営業損失は3,442百万円(前年同期は3,350百万円の損失)と若干損失額が拡大した格好となっている。
3. 財務状況
2019年3月期第3四半期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比1,042百万円増加の167,035百万円となった。投資有価証券の時価評価差額の減少等により、投資その他の資産が1,208百万円減少したほか有形固定資産が647百万円減少した一方で、現金及び預金が968百万円、棚卸資産が971百万円、差入保証金の増加等により流動資産の「その他」が1,509百万円それぞれ増加した。
未払法人税等が1,994百万円、賞与支給等により流動負債の「引当金」が1,453百万円、支払手形及び買掛金が1,296百万円それぞれ減少した一方で、有利子負債が7,501百万円増加した。負債合計は前期末比2,860百万円増加の107,404百万円となった。
純資産合計は前期末比1,818百万円減少の59,631百万円となった。主にその他有価証券評価差額金で1,082百万円、繰延ヘッジ損益で966百万円減少したことによる。
財務の健全性を示す自己資本比率については、35.0%と前期末比で若干低下した。同社では現在進行中の中期経営計画で、M&Aを含めた成長投資を積極的に実行していく方針を打ち出しており、自己資本比率については当面30%台をキープしていく方針を示している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SF>
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