馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術:今年のまとめと来年に向けて 人手不足に一手!「海外労働者受け入れ」関連
『馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術』と題して、私が普段のトレードで使っている分析ツール「トレードステーション」について、その活用方法を、最新のニュース情報も交えながらお話しする連載です。
■2018年をトレードステーションで振り返る
最初に、今年1年間の上昇率ランキング(東証1部)をトレードステーションで分析し、2018年を振り返ってみましょう。
1位は人工知能関連であるブレインパッド<3655>です。株価は1年間で414%上昇し、約5倍となりました。2位のレノバ<9519>は、太陽光発電でマザーズから1年で東証一部に昇格し、株価は約3.7倍になりました。3位以下は、220%上昇したキャッシュレス関連銘柄のネオス<3627>、180%上昇した無人レジ関連の銘柄であるヴィンクス<3784>と、今年を代表するテーマ銘柄が続きます。そして、インターアクション<7725>は自動運転に欠かせないCCD・CMOSに強みがあります。
ジャパンベストレスキューシステム<2453>は、水回りや鍵が壊れたときに対応するサービスを展開しています。アフィリエイト事業で首位のバリューコマース<2491>もランクイン。全国の病院や介護関連施設の利用者の身の回り品などをレンタルできるエラン<6099>も見逃せません。
AI関連、自動車関連、キャッシュレス関連銘柄、無人レジ関連など、新しい時代に即した銘柄が大きく上昇したと言えます。一方、リチウムイオン電池関連、液晶ディスプレイ関連は下落が目立ち、栄枯盛衰が激しい1年となりました。
2018年は3月の米中貿易摩擦問題がクローズアップされるまでは、2017年の流れを引き継いで、日本企業のアナリストによる業績の上方修正が多かったです。ただ、2018年後半は米国の金利上昇や米国貿易摩擦問題が色濃く、普段は投資されやすい企業である、低PER株や高増益率株が軟調な動きとなっています。
この背景には、投資家心理として、業績予想に懐疑的になっていることがあります。アメリカと中国の対立は貿易の部分ではなく、“核心”は安全保障や外交を含めた国家戦略の衝突です。中国の軍事技術者が創業したファーウェイのサーバー・機器等の使用を中止するよう、米国が同盟国に要請したことは、核心をついていると感じます。
2019年の日本株相場は、年前半の勝負の可能性が高くなりそうです。年後半は、世界景気の鈍化と消費増税を前提にすれば「守り」の相場に。また好条件がそろう、4-6月期が勝負になりそうです。なかでも特に、高付加価値・競争力を持つ企業について注目していく必要があります。11月8日の連載でご紹介した「5G関連銘柄」は、2019年も引き続き注目のテーマだと言えます。今回は、外国人就労拡大に焦点を当てて銘柄を見ていきます。
■「出入国管理法改正案(入管法改正案)」
中小・中堅企業、小規模事業者を中心に人手不足が深刻化している現状の打開策として、外国人労働者の受け入れを拡大することが本法案の主旨です。建設、農業、介護、外食、宿泊、ビルクリーニングなど人手不足が深刻な業種は多く、政府は2025年頃までに新たに50万人超を受け入れる方針とされています。
株式市場でも人材ビジネスを手がける企業は他数存在しますが、海外労働者の受け入れについては、語学などの学習・就労訓練、住居確保、トラブル処理などのノウハウが必要となり、そのハードルは決して低くはありません。外国人労働者の受け入れ環境整備を目的に掲げて16年に設立された一般社団法人「外国人雇用協議会」の会員加盟企業などが注目されてきそうです。
■『海外労働者受け入れ』関連銘柄に注目!
では、好業績銘柄を深掘りしていきましょう。政府は外国人就労拡大に向け環境整備を急ピッチで進めています。改正出入国管理法に基づき、2019年4月に新設する在留資格「特定技能」を巡り、まずはベトナムやフィリピンなどアジア8カ国から外国人労働者を受け入れます。
外国人労働者の受け入れ拡大では、賃金未払いなど劣悪な労働環境に陥ることもある働き手が安心して暮らせる基盤を作ることが急務です。日本と相手国政府の双方が、言語や風土が異なる場所で働くことになる外国人の生活環境に配慮し、公的関与のもとで情報共有することが求められます。受け入れ側と送り手側の双方のメリットとなる仕組み作りを目指します。
人材関連銘柄は、PERが高かったため、今年の株式市場では下落している銘柄が多いです。ただ、そのなかでも業績堅調な銘柄は見直しの局面に入ると考えています。また、「PREが18倍台まで下がる見通し」の2社に注目します。
ジャスダックのUTグループ<2146>は(トレードステーションにおける株価収益率PER;実績40倍→予想18倍)、企業が直接受け入れる(実習実施機関)業務を代行しています。2019年3月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比22.3%増の1,000億円、営業利益が同34.7%増の70億円、経常利益が同32.1%増の69億円としています。
また、東証1部アウトソーシング<2427>(トレードステーションにおける株価収益率PER;実績33倍→予想18倍)は、顧客メーカーの外国人技能実習生の管理補助業務の受託をしています。2018年12月期第3四半期(18年1-9月)連結決算では、売上収益が前年同期比33.6%増の2,210億円、営業利益が同38.4%増の92億円となっています。
(その他の代表的な『海外労働者受け入れ:PER表示』の銘柄リストは、『マネックス証券トレードステーションのHP コラム・レポートのページ』からダウンロードできます。)
次回も、このような形で、話題のニュースから読み解いたテーマとトレードステーションのツールについてお話しします。
※「馬渕磨理子が実践!トレードステーション利用術」は、米国TradeStation Groupが開発したトレーディングツール「トレードステーション」の日本語版(マネックス証券が提供)を馬渕磨理子の見解で注目し、コメントしたものです。開発会社や日本語版提供会社との見解とは異なる場合があります。
(フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子)
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