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はてな Research Memo(2):インターネットのUGCサービスのパイオニアで高い技術力を強みに法人向けへも展開


■事業概要

はてな<3930>は2001年に創立したインターネットサービス企業で、個人向けにユーザーが文章や画像などのコンテンツを発信・閲覧・拡散するプラットフォームを提供するコンテンツプラットフォームサービスからスタートし、法人向けにオウンドメディア構築・運用及びコンテンツの拡散を支援するコンテンツマーケティングサービス、UGCの受託開発・運用サービスやサーバー監視サービス等を提供するテクノロジーソリューションサービスへと展開している。2018年7月期のサービス別売上構成比を見ると、コンテンツプラットフォームサービスが27.4%、コンテンツマーケティングサービスが35.0%、テクノロジーソリューションサービスが37.5%となっており、全体の約7割が法人向けサービスで占められている。

同社は個人向けのコンテンツプラットフォームで蓄積した技術・ノウハウを、今後の成長領域である法人向けのコンテンツマーケティング、テクノロジーソリューションに生かすことで高付加価値化を図っている。また、法人ビジネスでの経験が、コンテンツプラットフォームサービスの強化などにも役立っており、3つのサービス領域でシナジーを高めながら成長を続けている。

1. コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスでは、ユーザーがコンテンツを発信・拡散するUGCサービスとして「はてなブックマーク」、「はてなブログ」等のサービスを展開している。任意のWebページにユーザーがコメントを簡潔に付けることができる「はてなブックマーク」があることで、「はてなブログ」の記事に他のユーザーの意見や批評が集まりやすいことや、長い文章や論考、コラムのようなものを発信するITリテラシーの高いブロガーが比較的多いことが「はてなブログ」の特徴となっており、競合他社との差別化要因となっている。売上は「はてなブログ」等の有料サービスの利用料のほか、ブログの無料ユーザーの画面に掲載する広告収入から成り、大半は広告収入で占められている。

広告収入に関しては、PV数×広告単価で決まる。広告単価に関しては趨勢的に低下傾向となっているため、PV数をいかに伸ばすことができるかが、売上成長のカギを握ることになる。PV数についてはサービスの登録ユーザー数や月間ユニークブラウザ数※の伸びなどが参考となる。2018年7月期末の登録ユーザー数は前期末比95万人増の713万人、月間ユニークブラウザ数は同1百万増の225百万UBとなっている。

※ユニークブラウザ数:ある一定の期間内に、Webサイトに訪れた重複のないユーザーの数。1人のユーザーが何度も同じWebサイトを訪れても1人と数えられる。「訪問数」ではなく「訪問者数」を表し、Webサイトの人気や興味の度合いを判断する指標として重視される。ユニークユーザーと同義。


主要サービスは以下の3種類である。

(1) 人力検索はてな
2001年に開始した同社の最初のサービスであり、社名の由来ともなっている。検索エンジンで解決できない疑問がある時や、簡単な統計を取りたいときに有用なQ&Aサービス。他のユーザーに対して簡単な質問、アンケートを実施して疑問を解決するナレッジコミュニティサービスの草分け的な存在。

(2) はてなブックマーク
2005年に開始した国内最大級のソーシャルブックマークサービス。気になったWebページを、感想やタグとともに、オンライン上で簡単に管理できる。ブックマークを共有することにより、インターネット上で盛り上がっている話題を知ることができる。

(3) はてなブログ
2003年にサービスを開始した「はてなダイアリー」をより進化させたサービスで、2013年にサービスを開始している。シンプルでモダンなデザインに、執筆を助ける機能が充実したブログサービスで、長い文章をじっくり書いて発信したいハイエンドブロガー向けのサービス。独自ドメインを利用したり、広告を自由に配置できるなど機能を拡張した有料課金サービス「はてなブログPro」も提供している。

2. コンテンツマーケティングサービス
オウンドメディア(企業が消費者等に向けて伝えたい情報を発信するための自社メディア)の構築・運用支援サービス「はてなブログMedia」を2014年より開始している。同サービスはSaaSで提供されており、同社がUGCサービスで培ったシステム・ノウハウを生かし、費用対効果の高いオウンドメディアを構築できることが強みとなっている。

売上は「はてなブログMedia」のシステム利用料やコンテンツ作成支援料のほか、メディアに掲載されるネイティブ広告・バナー広告・タイアップ広告等の広告掲載料から成っている。「はてなブログMedia」の運用媒体数は2018年7月期末で46件と順調に増加している。1企業で複数の媒体を運用しているケースもあり、ここ最近では働き方改革に関する情報発信や社員インタビューといった人材採用分野での活用を目的に同サービスを利用する企業も増え始めている。

3. テクノロジーソリューションサービス
UGCサービスで蓄積してきた技術力やノウハウを活用し、企業のオウンドメディアをスクラッチで開発・構築する受託サービスや、データを分析して顧客企業にSaaSで提供するビッグデータサービス(クラウド支援サービス、アドテクノロジーサービス)を展開している。

(1) 受託サービス
オウンドメディア構築のためのコンテンツマーケティングサービスとは別に、ユーザー企業独自のシステム開発・運用を受託するサービスで、売上は受託開発料及び保守・運用料から成る。任天堂<7974>(イカリング2)、カドカワ<9468>(カクヨム)など大手企業のシステムを受託している。また、マンガビューワ「GigaViewer」については(株)集英社、講談社、(株)新潮社のWebマンガサービスで導入されている。

(2) ビッグデータサービス
クラウド支援サービスとして「Mackerel」のサービスを提供している。

2014年よりサービス提供を開始した「Mackerel」は、クラウドサービスやデータセンターで稼働するサーバー、アプリケーションなどを簡単に管理することができるSaaS型の監視ツールで、エンドユーザーのほかクラウド事業者向けにも提供している。同サービスの特徴は、異なるクラウド環境やデータセンターサービスでも統一的に監視することが可能で、使いやすいUIと効率的なAPIにより、簡単に導入・運用できることが特徴となっている。従来、企業は自社サーバーの監視に関しては、自前で監視ツールを構築するなどして運用することが多かったが、クラウドコンピューティング市場の普及拡大や技術進化を背景に、使い勝手の良い「Mackerel」等の専用ツールを導入する企業が増えてきている。

Web企業、ゲーム制作企業やアドテク企業での導入が顕著だが、エンタープライズ領域における利用も試行されている。監視には過去情報を含めたデータ分析が重要となるため、一旦導入すると解約するケースは極めて低い。また、導入企業のサーバー増設に伴って既存顧客単価も上昇傾向にある(月額利用料は1,800円から、監視台数ごとに変動)。主なクライアントは、サイバーエージェント<4751>、任天堂<7974>、GMOペパボ<3633>、メルカリ<4385>、KDDI<9433>、freee(株)、(株)バンダイナムコスタジオ、富士通クラウドテクノロジーズ(株)、ビッグローブ(株)等が挙げられ、導入企業数も右肩上がりで増加している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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