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SFP Research Memo(3):積極的な店舗数の拡大により高い成長性と利益率を継続


■決算動向

1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、店舗数の拡大がSFPホールディングス<3198>の成長をけん引してきた。特に、独自の収益モデルによる「磯丸水産」の出店が本格化した2010年9月期以降、業績の伸びが加速し、経常利益率も売上高の拡大に伴って大きく改善。2013年9月期の経常利益率が目標とする8%を超えると、2015年9月期には11.7%にまで上昇した。その後もほぼ10%の高い水準を維持している。ただ、2018年2月期の業績の伸びが緩やかなのは、環境変化への対応や今後の持続的な成長を見据え、新規出店を政策的に抑えたことや出店方針の見直し(景気変動の影響を受けやすい郊外店の整理等)を行った一方、その分の投資余力を既存店の強化や新業態の開発(餃子居酒屋「いち五郎」の立ち上げ等)などに振り向けたことが理由である。

財務面では、自己資本比率は20%前後で推移してきたが、2014年12月の東証2部への新規上場に伴う公募増資(約12,758百万円)により、2015年9月期末の自己資本比率は76.8%に改善、その後も70%を超える高い水準で推移している。また、自己株TOB後も大きな変動がない。

資本効率を示すROEについても経常利益率の改善とともに上昇し、自己資本を増強した2015年9月期以降においても高い水準を維持しており、同社の財務内容は非常に優れていると評価できる。


2019年2月期上期の業績は増収ながら減益。業態転換への戦略投資が利益を圧迫するも想定どおりの展開
2. 2019年2月期上期決算の概要
2019年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比1.1%増の18,738百万円、営業利益が同28.7%減の1,342百万円、経常利益を同26.2%減の1,504百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同39.6%減の898百万円と増収ながら減益となった。業態転換等への戦略的投資により減益決算となったところは想定どおりの展開であるが、売上高、営業(及び経常)利益ともに期初予想を若干下回る進捗となっている。

前期出店分(18店舗)※1が期初から寄与したことや新規出店(8店舗)※2が増収要因になったほか、今期戦略の目玉である業態転換(25店舗)が業績の押し上げに貢献した。ただ、緩やかな増収率にとどまっているのは、前期に引き続き、新規出店ペースを政策的に抑えていることや業態転換に伴う休業日※3の影響によるものであり、その点は想定の範囲内。一方、売上高が期初予想を若干下回ったのは、出店立地を厳選した結果、新規出店に遅れが生じたことに加えて、夏場の天候不順(台風や豪雨等)の影響や業態転換を行った店舗の一部が見込んでいた成果を上げられなかったことにより、既存店売上高が前年同期比95.5%(計画比▲1.0%)と計画を下振れたことが理由である。2018年8月末の店舗数は、新規出店8店舗、不採算店舗の閉店3店舗により223店舗(前期末比5店舗)※4となっている。

※1 ほかにFC 2店舗(福岡県)を出店。
※2 ほかにFC 2店舗(愛知県及び福岡県)を出店。
※3 業態転換による休業日は延べ261日(約74百万円の減収要因)に及んだ。
※4 ほかにFC 9店舗(愛知県名古屋市6、福岡県博多市2、北九州市1)を有する。


一方、利益面では、業態転換等に伴う業態ミックスの変化※により売上総利益率が71.6%(前年同期比+0.3ポイント増)に改善した一方、大規模な業態転換に伴う開業コストや人件費の増加等により販管費が大きく拡大したことから営業減益となり、営業利益率も7.2%(前年同期は10.2%)に低下した。また、期初予算に対しては、新規出店の政策的な抑制により開業コストが圧縮される効果があったものの、業態転換コストが予想を上回ったこと、既存店売上の未達などにより、若干下回る着地となった。

※相対的に原価率の低い「鳥良商店」の出店拡大などが売上総利益率の改善に寄与。


財務面では、「現金及び預金」や「関係会社短期貸付金」の減少により、総資産が前期末比22.6%減の20,236百万円に縮小した一方、純資産も自己株式の取得及び消却※等により同29.0%減の14,851百万円に大きく縮小したことから、自己資本比率は(前期末は80.0%)低下した。ただ、依然として高い水準にあり、財務基盤の安全性に懸念はない。

※2018年3月に自己株式の公開買い付け(3,250,081株)及び消却(3,767,581株)を実施したもの。公開買い付けについては、親会社であるクリエイト・レストランツ・ホールディングスからの応募によるものがほとんどであり、その結果、クリエイト・レストランツ・ホールディングスによる同社株式の保有比率は約67%から約64%へと低下した。これは、将来的な東証1部への指定替えを見据えた動きとみられる(クリエイト・レストランツ・ホールディングスとの関係に影響を及ぼすものではない)。


主な業態別の業績は以下のとおりである。

鳥良事業の売上高は前年同期比30.9%増の5,319百万円と大幅な増収になった。好調な「鳥良商店」が前期出店分(9店舗)の寄与や「磯丸水産」からの業態転換(20店舗)等により大きく伸びた。既存店売上高は前年同期比96.3%と総じて堅調に推移したが、業態転換を行った店舗の一部が見込んでいた成果を上げられなかったことにより計画には届かなかったようだ。事業全体の店舗数は74店舗(前期末比20店舗増)となっている。

磯丸事業の売上高は前年同期比14.5%減の11,249百万円と減収になった。戦略的な他業態への業態転換(24店舗)が減収要因となったが、その点は想定どおりの展開である。また、既存店売上高は前年同期比94.8%と堅調に推移。事業全体の店舗数は、新規出店4店舗、閉店26店舗(そのうち、業態転換は24店舗)により119店舗(前期末比22店舗減)となっている。また、FC店舗は9店舗(前期末比2店舗増)に増加した。

その他の売上高は前年同期比65.4%増の2,169百万円と小規模ながら大きく伸びた。前期出店分(9店舗)※が寄与したことほか、新規出店(4店舗)や「磯丸水産」等から「いち五郎」(餃子居酒屋)への業態転換(5店舗)が増収要因となった。既存店売上高は前年同期比97.5%と堅調に推移した。

※前期は新業態「いち五郎(トラ五郎)」(餃子居酒屋)を9店舗出店。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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