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ワールドHD Research Memo(4):人材・教育ビジネス、情報通信ビジネスが2ケタ増収に


■ワールドホールディングス<2429>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) ファクトリー事業
ファクトリー事業の売上高は前年同期比25.3%増の23,332百万円、セグメント利益は同0.7%減の1,392百万円となった。会社計画比では売上高で5.7%増、営業利益で3.0%増となり順調に推移した。業種別の売上動向について見ると、物流分野が前年同期比50.1%増と急増し、売上構成比で34.1%を占めるまでに成長した。EC市場の拡大を背景に、4月より新拠点の稼働を開始したことが増収要因となった。また、電気・電子分野についても大手電子部品メーカーの生産拡大に伴う派遣需要の拡大で同27.6%増となったほか、機械分野も大手FAメーカー向けを中心に同84.5%増と好調に推移した。

採用面では、新卒採用者数が前年の135名から239名へと大幅増となったほか、人材採用サイト「JOB PAPER」の登録者数が5.7万人超(2017年末5.0万人)まで拡大し、採用プロセスの体系化による効率的で質の高い採用を実現している。また、物流分野の急成長に対応するため、独自の施策である各地域での同業他社との連携についても大幅に増加しており、2018年4−6月の平均在籍数(海外及び行政受託、他社受入社員含む)は前年同期比22.4%増の15,622人まで拡大している(内訳は、社員が同21.3%増の9,561人、他社受入社員が同29.9%増の4,584人、海外及び行政受託社員が同9.6%増の1,477人)。

セグメント利益が微減となったのは、人材採用・研修費用が増加したことが主因となっている。特に、数百名規模の人員を要する新規の大型請負案件では、稼働開始直後からの垂直立ち上げを実現するために3ヶ月前から採用・研修を行っており、立ち上げ局面では費用が先行することになる。また当第2四半期累計では物流分野で新規拠点を立ち上げたことも費用増要因となった。また、利益率が前年同期の7.5%から6.0%に低下したが、こうした人材採用・研修費用の増加に加えて、他社受入社員を活用する物流分野の売上構成比が上昇したことも一因と見られる。

(2) テクノ事業
テクノ事業の売上高は前年同期比17.2%増の7,029百万円、セグメント利益は同6.0%減の604百万円と増収減益となった。新たに取組んだ研修施設を活用した未経験者の採用・育成費用の増加が減益要因となったが、会社計画比では売上高で9.3%増、セグメント利益で8.6%増となり順調に推移した。

業種別売上動向について見ると、売上構成比の39.7%を占める半導体向けが前年同期比15.6%増となったほか、情報通信サービス向けが同25.9%増、機械向けが同28.0%増、自動車向けが同26.9%増といずれも2ケタ増収と好調に推移した。また、その他分野についても建設、リペア事業を中心に堅調に推移した。

同事業ではニーズの高い専門技術者(JAVAプログラミング、CATIA※1、Tfas※2等)の育成のため、既存の「デザインセンター」2拠点(名古屋、横浜)に加え、2018年に入って生産技術に特化した「プロダクションエンジニアリングセンター」(名古屋)も開設し、技術者のスキル向上に取り組んだことが、受注拡大や単価アップにつながった。2018年4−6月の平均在籍数を見ると、新卒採用者数が前年の107名から111名と順調に拡大したこともあり、前年同期比で14.3%増の2,328人となった(内訳は、生産技術が同6.3%増の788人、設計開発が同25.0%増の1,234人、建設/リペア他技術者が同1.0%減の306人)。設計開発者の増加のうち約50人は2018年2月に子会社化した西肥情報サービスの技術者となる。

※1 CATIA…自動車や航空機等の設計に主に使われるハイエンド3次元CADソフト。
※2 Tfas…空調衛生設備や電気設備用専用の3次元CADソフト。


(3) R&D事業
R&D事業の売上高は前年同期比8.2%増の3,336百万円、セグメント利益は同8.8%減の247百万円となった。会社計画比では売上高で4.6%減、セグメント利益で7.8%減といずれも未達となった。DOTワールド(株)における臨床試験受託事業においては、業界特有の試験の延期と中止が相次いだことが要因となっている。

分野別売上高を見ると、医薬・バイオが同22.4%増、化学が同0.9%増、臨床が同1.5%増となり、医薬・バイオ分野の売上が好調に推移した。

優秀な人材の採用と価値の高い研究社員の育成を図るための教育プログラムを拡充したことによる高チャージ案件の受注が拡大したこと、また、請負体制の準備を進めるなかで、2017年に開始した複数の大学との共同研究体制が広がりを見せたことも増収につながった。なお、新卒採用者数は前年の83人から66人に減少したが、2018年4~6月の平均在籍数(現業社員)は前年同期比5.7%増の1,052人となった(内訳は、R&D在籍で同5.2%増の952人、DOT在籍で同11.1%増の100人)。

(4) セールス&マーケティング事業
セールス&マーケティング事業の売上高は前年同期比39.1%減の1,847百万円、セグメント損失は60百万円(前年同期は138百万円の利益)となり、会社計画比でも売上高で23.4%減と大きく下回った(セグメント利益の計画は5百万円)。

同事業に関しては、2017年12月期の途中から事業構造改革に着手しており、小売業界向け派遣についての取引先の見直しを進めてきたほか、管理部門強化のための先行投資を実施したことが減収減益要因となっている。稼働スタッフは前期末の約2,000名から当第2四半期は6〜7割の水準にまで落ち込んだが、5月後半から営業活動を再始動しており、6月は前年同月比で数%の増加に転じており、年内に月次ベースで黒字転換する見込みとなっている。

(5) 不動産事業
不動産事業の売上高は前年同期比0.9%減の20,416百万円、セグメント利益は同39.2%減の784百万円となった。また、会社計画比では売上高で6.4%増、セグメント利益は55百万円の損失を見込んでいたことから、約840百万円の増額となっている。前述したように下期に予定していた物件の売却を早期に進め、第2四半期に計上させたことが要因となっている。

売上高の内訳を見ると、デベロップメント(自社開発物件)関連は利益率の高い事業用地の引渡しが減少したことにより前年同期比18.1%減の8,844百万円となったほか、戸建住宅関連が同5.3%減の3,017百万円、ユニットハウス関連同19.9%減の685百万円とそれぞれ低調だった一方で、リノベーション関連が同50.4%増の6,604百万円と唯一、好調に推移した。戸建のほかマンションのリノベーション需要を取り込むと同時に、営業所を新たに埼玉、奈良に開設し全国12拠点に拡大するなど、営業体制を強化したことが奏効した。引渡し戸数も前年同期比で50.7%増の327戸となっている。なお、ユニットハウス関連については受注が想定を下回ったことが減少要因となっており、現在、戦略の見直しを検討している。

セグメント利益を見ると、フロー型ビジネスとなるデベロップメント・戸建住宅関連が前年同期比57.4%減の550百万円と落ち込んだ一方で、ストック型ビジネスとなるリノベーション・ユニットハウス関連事業が234百万円(前年同期は0百万円)の増益となっている。同社では中期計画のなかでストック型ビジネスを拡充していくことで、収益基盤の安定性を高めながら収益を拡大していく戦略を打ち出しており、当第2四半期累計期間では減益となったものの、ストック型ビジネスの強化に関しては順調に進んでいると評価される。

(6) 情報通信事業
情報通信事業は売上高が前年同期比59.9%増の6,741百万円、セグメント利益が同51.1%減の73百万円と増収減益となった。また、会社計画比では売上高で16.4%増となったものの、営業利益は27.7%下回った。携帯電話ショップのスクラップ&ビルドを進めるなかで、店舗の買取や移転・リニューアル工事の費用が増加したことが減益要因となっている。

売上高について見ると、主力の携帯電話販売代理店事業は、前期に店舗のスクラップ&ビルドを推進し、増店した16店舗の貢献や既存店舗の移転・大型化等の効果により、前年同期比65.1%増と大幅増収となった。また、中小企業向けのコスト削減ソリューションサービス事業についても、LED照明等の省エネ商材の拡充や営業エリアの拡大などにより、同23.5%増収と好調に推移した。

(7) その他
その他事業の売上高は前年同期比27.6%増の1,675百万円、セグメント損失は130百万円(前年同期は70百万円の利益)となった。売上高の大半を占めるファームが展開する農業公園施設の運営管理事業については、売上高で前年同期比24.7%増※となった。天候不順の影響があったものの、従前より行ってきた施設の再整備等の取り組みにより、入場者数は前年同期並みの47.5万人を確保し、特に「堺ハーベストの丘」については売上高、利益ともに計画を上回って推移するなど、投資の成果が出始めている。また、6月末に(株)エポック社と共同で、「茨城こもれび森のイバライド」(茨城県稲敷市)に「シルバニアパーク」をオープンしている。

※2017年12月期第2四半期から連結対象となっているため、伸びが大きくなっている。


また、PCスクールを展開するアドバンについてはWeb制作・オンライン販売等が堅調に推移し、同6.9%増収となった。なお、アドバンについてはテクノ事業との連携により技術者養成のためのe-ラーニングでの教育プログラムを開発するなど、主にグループ内での人材育成においてシナジー効果を発揮している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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