ソーバル Research Memo(3):2Qは受託開発業務の拡大と販管費の削減により期初計画を上回る営業利益を達成
1. 2019年2月期第2四半期累計業績の概要
9月28日付で発表されたソーバル<2186>の2019年2月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比0.4%減の4,046百万円、営業利益で同6.5%増の283百万円、経常利益で同9.3%増の292百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同6.9%増の194百万円となった。期初計画比では、売上高で0.8%下回ったものの、営業利益で6.1%、経常利益で6.9%、親会社株主に帰属する四半期純利益で6.6%それぞれ上回って着地した。売上高については受託開発案件で一部下期に売上計上時期がずれ込んだことが未達の要因となったが、販管費の削減が想定以上に進んだことで利益面では上振れし、全体的に見ればおおむね順調に推移したと言える。
主要顧客別の売上状況について見ると、技術提供業務が中心のキヤノングループ向けが前年同期比13.6%減と減収となり、ソニーグループ向けが同15.1%増と2ケタ増収となった。放送機器やデジタル機器等の開発案件の横展開が着実に進んでいることが、売上げの拡大につながっている。富士通グループ向けについては受託開発案件の売上計上時期が下期にずれ込んだ影響によって、同13.3%減となっており、受注ベースでは堅調に推移している。NTTグループ向けはスマートフォンアプリの開発案件が減少したことを主因として、同3.2%減と減収に転じている。
一方、その他顧客については同22.1%増と大きく伸長した。自動運転分野の売上拡大に加えて、2019年2月期第2四半期累計期間では新規顧客17社との取引が開始し、増収要因となった。特に、同社が注力分野として位置付けている自動運転分野で、顧客数が前上半期の2社から5社に増加し、売上高は同2.6倍増の153百万円と急伸した。自動運転分野の顧客は日立<6501>グループ2社に新たにトヨタ自動車<7203>、ディー・エヌ・エー<2432>(DeNA)、自動車メーカー1社が加わった。
なお、ユビキタスAIコーポレーションから2017年4月に譲受したIoTプラットフォーム事業については、実際の受注までには至っていないが、HEMS※分野を中心に大手インフラ企業からの相談依頼は多いため、今後の展開が期待されよう。
※Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略。家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムで、家電や電気設備とつないで、電気やガスなどの使用量をモニター画面などで「見える化」したり、家電機器を「自動制御」するシステムを指す。
利益面では原価率が前年同期比横ばいの80.3%にとどまったものの、販管費が同3.4%減となったことが増益要因となった。原価率については受託開発業務の売上構成比率が上昇したものの、案件ごとの採算性にばらつきが生じたことが、前年同期並みにとどまる要因となった。なお、同不採算案件については既に売上検収を終えており、下期以降の影響はない。一方、販管費の減少要因は、のれん償却費で6百万円減となったほか、事務所集約に伴う賃借料等の経費削減が主因となっている。
無借金経営で自己資本比率は70%以上と財務内容は良好
2. 財務状態とキャッシュ・フローの状況
2019年2月期第2四半期末の総資産は前期末比で15百万円減少の4,005百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現預金が171百万円、受取手形及び売掛金が156百万円それぞれ減少した一方で、その他流動資産が298百万円増加した。固定資産ではのれんが12百万円減少している。
負債合計は前期末比106百万円減少の896百万円となった。流動負債で未払法人税等が45百万円減少したほか、受注損失引当金が30百万円減少した。なお、有利子負債はなく無借金経営が続いている。また、純資産は前期末比91百万円増加の3,108百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益194百万円の計上と配当金支出103百万円の相殺により、利益剰余金が91百万円増加した。
各キャッシュ・フローの状況について見ると、営業キャッシュ・フローは234百万円の収入となり、前年同期の428百万円からは減少した。税金等調整前当期純利益は前年同期比で24百万円増加したが、法人税等の支払額の増加により減少した。投資キャッシュ・フローは、4百万円の支出(同8百万円の支出)となり、フリー・キャッシュ・フローは230百万円の収入(同420百万円の収入)となった。また、財務キャッシュ・フローは、配当金の支払により101百万円の支出(同85百万円の支出)となった。この結果、2019年2月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は1,861百万円となり、前年同期比で137百万円、前期末比で128百万円それぞれ増加した。
経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の75.0%から77.6%と2.6ポイント上昇し、70%を上回る水準を維持している。現金及び現金同等物の残高は18億円強と積み上がっており、無借金経営を維持していることから、財務内容は良好と判断される。今後は潤沢な手元キャッシュをいかに成長投資に活用していくことができるかが課題となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SF>
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