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シノケンG Research Memo(7):不動産販売の拡大とともにストックビジネスも積み上がる好循環が続く


■シノケングループ<8909>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 不動産販売事業
不動産販売事業の業績は、売上高が前年同期比16.4%増の42,569百万円、セグメント利益が同6.5%減の5,233百万円となった。減益となっているのは、前年同期にマンション販売において、異例となる土地のみの分譲取引を行ったことに加えて、グループ内取引の見直しにより、前期まで計上していたグループ内からの手数料収入を2018年12月期よりなくしたことが要因となっている。参考までに、不動産管理関連事業やエネルギー事業も加えた業績で見ると売上高は前年同期比18.2%増、利益は同4.0%増となっている。利益率が低下しているのは土地の分譲売却がなかったことに加えて、相対的に利益率の低いアパート販売、なかでも東京エリアの構成比が上昇したことによるもので、計画比では順調に推移している。

アパート、マンションの受注販売動向を見ると、アパート販売については受注高が前年同期比17.5%増の39,231百万円、売上高が同24.3%増の33,799百万円といずれも半期ベースで過去最高を更新し、受注残高も同7.3%増の61,547百万円と過去最高水準となった。受注(契約)からおおむね6〜8ヶ月で引渡し(売上計上)となるため、今下期の売上げについても既に確保していることになる。

販売が好調な要因としては、注力地域である東京エリアや関西エリアで販売が順調に伸びていることが挙げられる。特に、東京エリアについては販売棟数の構成比率で32.2%(前期29.3%)と上昇傾向が続いており、全エリアで初めてトップの販売棟数となった。名古屋の構成比が低下したものの、販売棟数では全エリアで伸張した。同社の営業エリアにおける単独世帯数の構成比は東京エリアが46%、関西エリアが22%で以下、愛知15%、福岡12%、仙台4%となっている※。現在の同社の地域別販売構成比を見ると、今後も東京エリアや関西エリアで販売を伸ばしていくことは可能と見られる。

※国立社会保障・人口問題研究所推計値(2014年発表)。


一方、マンション販売の売上高は前年同期比6.4%減の8,769百万円となった。土地の分譲取引がなくなったものの、首都圏におけるデザイナーズ仕様の区分販売が計画どおりに推移した。受注高については同20.3%増の9,820百万円、期末受注残高は同54.4%増の2,757百万円と堅調に推移した。マンション販売事業についてはリスク許容範囲内で年間販売戸数を一定水準に保つ方針となっている。

(2) 不動産管理関連事業
不動産管理関連事業の業績は、売上高が前年同期比26.8%増の6,356百万円、セグメント利益が同64.1%増の1,273百万円と大幅増収増益となった。アパート・マンション販売の累積販売数の拡大と入居率の維持向上に努めたことで各種サービスの契約件数が積み上がり増収要因となった。また、利益面では増収効果に加えて、グループ内取引の見直しを行い、前期まで計上していたグループ内手数料支出をなくしたことも増益要因となっている。

主力の賃貸管理はアパート販売棟数の増加や管理物件の入居率維持・向上に努めたことにより、2018年12月期第2四半期末の管理戸数が前年同期末比23.3%増の30,128戸となった。また、分譲マンション管理についても管理物件の資産価値の維持・向上並びに管理組合向けのサービスレベル向上に取り組んだことにより、管理戸数で同21.3%増の5,959戸となり、それぞれ順調に増加した。

家賃等の債務保証サービスについては、入居者向けの保証件数拡大に向けた保証プランの充実や新規顧客の獲得を図るとともに保証家賃等の回収率向上に努め、また、少額短期保険についても保険商品の充実と新規契約の獲得に取り組んだ。2018年12月期第2四半期末における家賃滞納保証サービスの契約件数は、前年同期末比25.9%増の24,446件となり、順調に拡大している。

(3) ゼネコン事業
ゼネコン事業の業績は、売上高が前年同期比20.3%増の7,860百万円、セグメント利益が同5.9%増の760百万円となった。法人・個人・官公庁等の既存顧客に加えて、新規顧客の開拓に注力してきたことが増収につながっている。内部取引売上高(グループのマンション建築請負等)については新規分譲マンションの開発が一段落し、同6.4%減の1,860百万円と伸び悩んだものの外部顧客売上高の拡大により、総売上高は同14.1%増の9,721百万円となった。利益面では、人件費や資材費等の上昇により利益率が若干低下したものの、増収効果でカバーして増益に転じている。

(4) エネルギー事業
エネルギー事業の業績は、売上高が前年同期比57.7%増の973百万円、セグメント利益が同105.7%増の262百万円と急成長した。利益については2017年12月期の1年分の利益(224百万円)を超過している。LPガスの契約件数が順調に増加していることに加えて、2017年4月より開始した電力の契約数増により、1顧客当たりの売上高が増加した。なお、2018年12月期第2四半期末における契約件数は、LPガスが前年同期末比31.7%増の29,854件、電力が2倍強の13,246件となっている。

(5) 介護事業
介護事業の業績は、売上高が前年同期比19.1%増の698百万円、セグメント利益が同250.0%増の86百万円となった。売上高は既存のサービス付き高齢者向け住宅やグループホーム等の入居率が高水準で推移したことに加え、2017年6月に福岡エリアで開設した認知症対応型グループホーム及び小規模多機能型居宅介護施設「フレンド香住ヶ丘」(18室)の売上が寄与したことが増収要因となった。また、利益面では「フレンド香住ヶ丘」の立ち上げ費用が一巡したこともあり増益に転じている。

(6) その他の事業
その他の事業は、売上高が前年同期比10.4%増の82百万円、セグメント利益が同28.0%増の122百万円となった。海外事業では上海、シンガポールで不動産の賃貸・売買仲介事業を行っているほか、インドネシアのジャカルタにおいて「桜テラス」ブランドによる投資用アパート事業の本格展開を進めている。第1号案件(65戸)については設計の見直し等もあったため、完成が2018年秋頃となる見通し。当面は自社で保有し、入居率を高めた上で投資家に売却する予定となっている。ジャカルタでは6件分の用地を仕入れており、新たに子会社化した地場ゼネコン会社のムスティカ社で順次、建設していく予定になっている。

一方、国内では新規事業として顧客層の拡大及びアセットマネジメント分野における今後の収益積み上げを目指し、総額約30億円規模の機関投資家向けアパートファンドを組成、販売した。利回りも5%台と高く好評を得たことから、2019年3月までに総額70億円の私募REITを組成していく計画となっている。そのほか、資本業務提携先の(株)chaintopeと共同でブロックチェーン技術を活用した不動産関連サービスの開発を進め、今後、デジタル通貨「シノケンコイン」についても順次、導入する予定となっている。

スマートロックは、スマートフォンで鍵の開閉ができるサービスで、導入費用は1室当たり12.5万円~と競合よりも低い価格で提供している。オーナーは導入費用を毎月の家賃に上乗せ(1〜2千円)することで回収することになる。引き合いは強く、2018年冬頃から導入が進む見込みとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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