1. 会社概要
2007年2月に、 ITCの利活用により環境問題や少子高齢化など日本の社会が直面する課題を解決することを目的に、現代表取締役の入澤拓也(いりさわたくや)氏により設立された。Internet of Things(モノのインターネット)という言葉が広まる以前から、IoT専業ソリューションベンダーとして10年間顧客と向き合い9,000以上の現場にIoTシステムを構築してきた。
同社は、IoTインテグレーション事業の単一セグメントである。ただし、提供スタイル・ソリューション別では、IoT導入を支援するインテグレーションサービスのデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」と、パッケージサービスによる用途・業種別ソリューションに分かれる。パッケージサービスには、建設情報化施工支援ソリューションの「現場ロイド」(GR)、融雪システム遠隔監視ソリューション「ゆりもっと」(YR)、交通事故削減ソリューション「Pdrive」(Pd)がある。
2. 沿革
北海道札幌市に本社を置く同社が創業時に手掛けたビジネスは、融雪装置遠隔制御代行サービスであった。2年目に「融雪装置遠隔制御システム」を開発し、特許を取得した。遠隔でのカメラ監視によるモニタリングソリューションとして「ゆりもっと」(YR)の名称で融雪システム遠隔監視ソリューションをパッケージ化した。「ゆりもっと」の対象エリアは、積雪の多い寒冷地に限定されるため、札幌本社と2009年に開設した青森営業所が対応している。
2009年に、建設情報化施工支援ソリューション「現場ロイド」をリリースした。幅広い地域をターゲットにできるため、北海道から九州までをカバーする全国7ヶ所に販売網を築いた。2011年に、東京営業所、北信越営業所、関西営業所、九州営業所を一気に開設し、2012年に仙台営業所をオープンした。売上高の地域別構成比では、北海道のウェートが4分の1以下に低下している。
2014年に、データコレクトプラットフォーム「FASTIO」の提供を始めた。同プラットフォームは、2016年にKDDI<9433>向けにカスタマイズして「KDDI IoTクラウド Standard」として提供している。2016年3月に、交通事故削減ソリューション「Pdrive」のOEM提供を開始した。
2017年6月に札幌証券取引所アンビシャス市場に株式を上場し、次いで2018年6月に東証マザーズに上場した。
3. 各種表彰
同社はIoT/M2M※技術により、各種表彰されている。モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)が開催する「MCPC award」において、過去3回受賞している。「MCPC award」は、モバイルシステムの導入により、IoT/M2M分野での「業務効率化」「業績向上」「顧客満足度向上」「社会貢献の推進」「先進的なモバイル活用」等の成果を上げた事例を顕彰し、モバイルソリューション、IoT/M2Mシステムの更なる普及促進を図るもの。同社は、2015年12月にデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」がプロバイダー部門のグランプリ及び優秀賞を受賞した。過去には、2008年3月に業界初エコロードヒーティング遠隔操作システム「ゆりもっと」がモバイル中小企業賞、2011年4月に建設現場の見える化システム「現場ロイド」が特別賞を受賞している。
※M2M:Machine to Machine(マシーン・ツー・マシーン)の略で、機器同士が人間の介在なしにコミュニケーションをし、動作するシステムを表す。
北海道では複数回の表彰を受けているが、その地域性から「ゆりもっと」が対象となった。同社の受賞は、単にビジネスモデルや技術等の新規性にとどまらず、新技術や新製品が社会に実装され、省エネ、省力化、コスト削減などで顕著な成果を上げていることが理由となっている。技術力だけでなく、IoTシステム構築力、IoTネイティブな組織力の総合力が強みとなる。
2017年12月に、経済産業省から2,148社を「地域未来牽引企業」として選出したが、同社もその1社として認定を受けた。「地域未来牽引企業」は、事業を一層発展させ、地域経済の成長の中核となって活躍することが期待されている。
4. 事業系統図
IoTシステムの構築は、モノが介在する現実社会とインターネットのサイバー空間をカバーするため、各分野で優位性を持つ企業とのアライアンスが必要となる。同社は、得意とする「つなぐ力」「システム構築力」「組織力」などの領域でエッジを効かせた製品やサービスを提供することで、年率17%程度の成長が予想されている国内IoTサービス市場で成長機会を取り込む意向だ。IoTプラットフォームを自社開発しているが、クラウドインフラとしては、アマゾン・ドット・コム
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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