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C&GSYS Research Memo(5):次の収益源としてAM-CAM事業、IoT関連製品に要注目


■中長期の成長戦略

C&Gシステムズ<6633>の業績はリーマン・ショックにより急速に悪化し、2009年12月期には大幅な損失を計上した。その後、合併により2010年に現在のC&Gシステムズが誕生し、業績は回復に向かい2014年12月期にようやくリーマン・ショック前の水準まで戻った。この状況において同社は、「2010年から2014年までの5年間は『回復過程』であったが、今後は『成長の過程』に入っていく。その成長を達成するために以下のような中長期事業方針を遂行していく」と述べている。

1) 既存の基幹収益源(国内CAD/CAMシステム事業)の維持・拡張
2) 成長する海外CAD/CAM市場の取り込み
3) 次代収益源としての新規事業の育成:AM-CAM(積層造形用ソフトウェア)、IoT関連

また、この中長期事業方針の数値目標として、「2015年12月期から2020年12月期の売上高年平均成長率5%」、「2020年12月期の経常利益率20%以上」、「2020年12月期のROE15%以上」を掲げている。

以下は、それぞれの分野での具体的な施策である。

(1) 既存の基幹収益源(国内CAD/CAMシステム事業)の維持・拡張
魅力ある製品、満足度の高い技術サポートの提供により新規販売及び既存ユーザーの買い替え需要を喚起する。数値目標としては、保守更新率80%以上をキープする。(2017年12月期実績94%)。さらに新規システム販売率20%以上(2017年12月期実績21.2%)を目指す。

(2) 成長する海外CAD/CAM市場の取り込み
成長する海外市場では、主に3つの地域でそれぞれに合った戦略を推進していく方針だ。

1つ目の地域であるASEAN地域では、バンコクにある子会社CGSアジアが中心となって、以前から日系企業が多く進出しているタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピンでの拡販を図る。ローカル企業からも受け入れられるように現地社員の教育に力を入れている。

2つ目の地域である東アジア市場、特に中国市場での需要を取り込むために、中国での販売を代理店方式へ変更した。それまで現地のテクニカルセンター(TC)から中国市場のマーケティング及び各顧客への技術サポートを行っていたが、これらの活動を、販売を含めて2017年1月からすべて代理店に移管しTCを廃止した。

これにより、日系企業に加えてローカル企業に対する地域完結型の販売、サポート、カスタマイズを推進する。代理店化により売上高は減少するが、一方で拠点管理コストも減少することから利益率は向上する見込みだ。韓国は、すべてローカル企業が対象で日系の顧客はいないため、現地の大手メーカー向けに販売を強化する。既存の現地代理店へのカスタマイズ開発ツール公開により、地域完結型での販売促進を促すほか、自動化ニーズに応えた製品の提供も展開する。また台湾では、親日ということもあり比較的日本製品が受け入れられ易いため、以前からの方針を継続して拡販を図る。

3つ目の地域である北米では、カナダにある子会社CGSカナダを中心として、主に現地の自動車関連メーカーなどに対して、日本の工作機械メーカーとの協力体制のもと販売拡大を目指していく。

これらの海外市場では、主に2つの大きな施策を進めていく計画だ。1つ目は、「APIサテライト構想」というもので、ローカル顧客のカスタマイズ要求に応えるため、現地でカスタマイズが行える、すなわち顧客の要望に対して現地で機敏に対応できる体制を整えるものだ。2つ目は、「テクニカルフランチャイズ(技術代理店)構想」と呼ぶもので、代理店を単なる販売拠点という扱いではなく、CAD/CAMシステムの技術を持つ拠点として育成し、ローカル企業に対して同社製品の技術サポートを地域完結型で行っていくというものだ。

(3) 次代収益源としての新規事業の育成:AM-CAM(積層造形用ソフトウェア)、IoT関連
第3の基本戦略としての同社が進めているのが、CAD/CAMシステム等事業、金型製造事業に続く「次の収益源」となる新規事業の育成だが、現在最も期待されているのがAM-CAM事業だ。さらに今後は、IoTと連携した金型・部品製造向け工程管理システム「AIQ(アイク)」を拡充していく。

【AM-CAM事業】
同社では現在、CAD/CAMシステム等事業で培ってきた開発技術を生かしたAM-CAM(積層造形用ソフトウェア)の開発・研究にも注力している。金型用CAD/CAMメーカーとして長年培ってきた各種プログラムや事業ノウハウを積層造形や関連ソリューションに生かすものである。

さらに同社は、TRAFAM(Technology Research Association for Future Additive Manufacturing:技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構)に参画、金属積層造形用ソフトウェアの研究開発を進めている。このTRAFAMは、日本のものづくり産業がグローバル市場において持続的かつ発展的な競争力を維持するため、少量多品種で高付加価値の製品・部品の製造に適した世界最高水準の次世代型産業用3Dプリンタ及び超精密3次元造形システムを構築し、日本の新たなものづくり産業の創出を目指すために設立された団体で、関連した多くのユーザー、メーカー、ソフトウェア会社が参画している。これらの製品や機構への参画は、今すぐに同社の業績に影響を与えるものではないが、将来の技術蓄積のためにはプラスとなるはずだ。同社にとっての「次世代収益源」の柱の1つとして今後のAM-CAMの展開は大いに注目に値する。

【IoT関連事業】
今後注力するもう一つの製品がIoTと連携した金型・部品製造向け工程管理システム「AIQ(アイク)」だ。金型の製造工程管理を、以前は日報(紙)ベースで行っていたが、デジタル化への要望は強かった。同社の「AIQ(アイク)」は、その要望に応えるべく現場でのIoTを活用して各種データや工程状況をデジタルデータ化してシステム上で活用するものだ。同社では、数年前からこれらの開発を行っていたが、2018年7月にリニューアル化した製品を上市し、これを契機に本格的にこの市場を開拓することにした。製造業におけるIoT活用が注目される中、「AIQ(アイク)」は金型・部品製造の生産管理をスマート化し、生産効率の向上をサポートする同社独自のソリューションとして注目されており、顧客からも大きな反響を得ているとのことで、同社では、さらなる顧客満足のために、今後はカスタマイズ開発を考慮した開発体制の確立、技術サポート体制の確立を進めていく計画だ。


■株主還元策

安定した配当を継続して実施
同社は株主還元策として年間10円配当を実施している。2017年12月期は東証2部上場の記念配当と3円を増配し、年間配当を13円としたが、繰延税金資産の関係で親会社株主に帰属する当期純利益が大幅に増加したことから、配当性向は25.3%へ低下した。過去の実績では40%前後の配当を実施しており、2018年12月期通期業績予想修正後の配当予想は97.4%となっている。配当について経営陣は、「得られた利益は安易に内部留保することなく、新規事業の育成に向けた先行投資及び株主還元策を積極的に実施していく」と述べており、今後も安定した配当が期待できそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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