1. 会社概要
高千穂交易<2676>は、セキュリティ関連などのシステム機器、機構部品、半導体などのデバイス機器を主として海外メーカーから仕入れて国内のユーザーに提供するBtoBの商社である。特に「安全・安心・快適」を提供する商品監視システムや機構部品のスライドレールでは国内トップクラスの高いシェアを持っており、近年は海外企業の買収によりセキュリティシステムや防火システムの東南アジア地区での拡販にも力を入れている。顧客満足度を高めるため専門性の高い社員を多く抱え、商社でありながら技術系社員の割合は40%超に達している。過去7年間の3社の買収(のれん総額約30億円)の償却負担や円安により業績は大きく影響を受けたが、過去2年間の営業利益、経常利益は増益傾向にある。しかし当初計画よりは下回っており、回復はまだ道半ばと言える。一方で財務面では、自己資本比率が9期連続で70%を超えるなど安定した財務体質を誇っている。
2. 沿革
同社は1952年、土木建設機械の輸入販売を行う商社として設立された。同年には米国バロース(現ユニシス
■事業概要
1. 事業概要
高千穂交易<2676>の事業セグメントは、システム事業とデバイス事業に分けられており、各セグメントの売上高(2018年3月期)は、システム事業11,980百万円(売上高比率61.2%)、デバイス事業7,589百万円(同38.8%)となっている。
さらに、システム事業はセキュリティ、その他ソリューション、カストマ・サービスのサブセグメントに、デバイス事業は電子プロダクトと産機プロダクトのサブセグメントに分けられている。
以下は各セグメント及びサブセグメントの概要である。
2. システム事業
(1) セキュリティ(2018年3月期総売上高に占める比率39.1%)
EAS(商品監視システム)、映像監視システム、ストアマネジメントシステム、ディスプレイセキュリティシステム、オフィス入退室管理システム、防火システムなどを扱っている。商品監視(万引き防止)システムの国内シェアはトップクラスとなっている。
商品は主に米国センソマチックブランドで、これに監視カメラ等を複合的に組み合わせたソリューションで強固なセキュリティを実現している。これらのセキュリティセグメントの主な顧客は各種の小売業者である。一方で買収した海外子会社(Takachiho Fire,Security & Services(Thailand)とGuardfire)は防火システムを扱っている。
(2) その他ソリューション(同8.5%)
主要製品は以下のようになっている。
a) メーリングシステム(部門内比率:28.3%)
分社した高千穂コムテック(株)がスイスのカーン製の大型メーリングシステム(封入封緘機)などを販売している。主な顧客は各種請求書や通知書を扱う大手印刷会社や株主関係書類を扱う信託銀行関連会社など。
b) RFID※関連商品(部門内比率31.1%)
現在では、2012年に丸紅<8002>から買収したマイティカード(株)と(株)S-Cubeが合併したマイティキューブ(株)が事業を行っている。タグ及び周辺機器の販売だけでなく開発、構築支援も行っており、トータルでの利益率は高い。これから幅広い分野で導入・成長が見込まれる。
※自動認識技術の1つで、物品の情報を記憶する半導体チップと通信用のアンテナを組み込んだタグを物品に取り付け、それを電波で読み取ることにより、1点ずつではなく一度に複数の物品情報を自動的に認識できるしくみ。小売店では大量の商品の在庫管理(棚卸)の効率向上に最適で、小売店以外でも資産管理、流通管理など幅広い用途で利用可能。
c) ネットワーク関連商品(部門内比率40.5%)
企業ネットワークの安全・効率性を高める機器を販売している。近年では、米国シスコシステムズが買収したメラキ(Meraki)製のクラウド型無線LANシステムの売上げを伸ばしており、企業内に加えて小売店・商業施設、ホテル、学校などで採用されている。増加する訪日観光客のための設置に加えて、防災対策のために地方公共団体での設置需要も高まることが期待できる。
(3) カストマ・サービス(同13.6%)
システムセグメント内の商品の設置・保守・運用管理などの売上高。毎年の売上げに伴う設置工事などに加えて一定期間のメンテナンスがあり、安定したストック型事業である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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