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Eギャランティ Research Memo(2):企業が抱える売掛債権等の未回収リスクを保証し、ビジネス拡大に貢献


■会社概要

1. 会社沿革
イー・ギャランティ<8771>は、現代表取締役社長の江藤公則(えとうまさのり)氏が伊藤忠商事<8001>入社3年目の2000年9月に、社内カンパニーの子会社として立ち上げたのが始まりとなる。当初はインターネット上でのBtoBビジネスにおける売上債権(受取手形、売掛金等)の未回収リスクを保証するサービスを目的に事業化したが、想定よりも需要が少なかったため、インターネットを介さないリアルな企業間商取引における売掛債権等の信用リスク保証サービスへと展開していった。

2007年3月にJASDAQに株式上場を果し(2012年12月に東証1部に市場変更)、上場により調達した資金を使って2008年に企業の信用リスクに投資するファンドを初めて組成し、子会社で運用を開始した。従来は引き受けた信用リスクに関してはリスク度に応じて細分化し、すべて金融機関に移転しリスクヘッジしていたが、新たにファンドを組成することで収益機会の多様化、並びに引受リスクの拡大を図り、成長を加速化していった(2018年3月時点でファンド組合は連結子会社4社、持分法適用関連会社1社)。

2012年1月には輸出債権保証に関するノウハウを吸収し、経営基盤の拡充と商品開発力強化を図るため、フランスの大手信用保険会社であるコファスグループ・日本支社(コファス・ジャパン・ファイナンス(株))のファクタリング事業を買収した。この買収で得たノウハウを生かして、2013年12月に韓国で、2014年6月に中国でそれぞれ現地金融機関と業務提携し、輸出債権保証サービス事業をスタートしている。

また、業容の拡大に合わせて、2013年には営業関連の事務業務(契約関連業務やデータ登録業務)及び社内システムの開発などを行うイー・ギャランティ・ソリューション(株)を、2014年には小口債権保証サービスを専門に行うアールジー保証(株)を子会社として設立している。2017年にはイー・ギャランティ・ソリューションから営業関連の事務業務を切り出して、新たにイー・ギャランティ・シェアードサービス(株)を設立している。


「保証残高×保証料率」で売上高を積み上げていくストック型ビジネスモデル
2. 事業概要
(1) 事業内容
同社は企業間取引の際に発生する売上債権等の信用リスクを保証するサービスを手掛けている。以下に事業の流れを説明する。

まず、同社は企業間取引で発生した売掛債権等に関する未回収リスクを「保証」という形で事業会社または金融機関などから受託契約し、債務不履行が発生した場合に契約時に定められた保証額を限度に契約企業に支払う格好となる。契約企業にとっては、売掛債権等の未回収リスクを一定の保証料を支払うことで最小限に抑えることが可能となる。契約期間は大半が1年契約となっており、保証料は原則として保証開始日の前営業日に一括徴収し、これを月分割して売上計上している。このため、月ごとの売上変動は比較的小さく、ストック型のビジネスモデルとなる。

売上高は「保証残高×保証料率」で決まるため、信用保証残高をいかに積み上げるかが、売上成長のカギを握ることになる。保証料率に関しては日々発表される経済指標や企業倒産件数の動向、過去の経験則に基づいた未回収リスクの発生確率など様々なデータを参考にして、毎月見直しを行っている。企業の倒産件数が減少傾向にあるときは信用リスクも低減するため、保証料率は低下する。また、実際の保証料率に関しては個々の契約内容や保証対象企業ごとにリスク審査を行った上で決定している。業界内で規則が無いため自由に設定できるが、リスクヘッジに見合った保証料率で設定している。

また、引き受けた信用リスクに関しては、リスク度合いに応じて細分化し、金融機関やファンド等の金融リスク商品としてポートフォリオを再組成して移転(流動化)している。信用リスクの移転に伴って発生する支払保証料や支払手数料等が売上原価の大半を占めることになる。

このため、同社が顧客と契約する保証料率と同社がリスクの移転先に支払う再保証料率のギャップが売上原価率の変動要因となる。同社ではリスク移転手法の多様化、高度化を進めることで再保証料率の低減を進めているほか、子会社でファンドを組成し支払保証料等の社外流出を抑えることでも原価低減を図っている。こうした取り組みに加えて、デフォルト率が想定を下回っていることもあって、売上原価率はここ数年低下傾向が続いていたが、2018年3月期はミドルリスクの債権保証サービス等を開始したことで売上原価率が上昇している。

(2) 営業体制
同社は全国展開するに当たって、東京本社のほか大阪、福岡、愛知、北海道に支店を開設している。自社の営業拠点としては当面、現状の体制を維持していく計画だ。顧客開拓に関しては地方銀行を中心とした金融機関や商社、リース会社などと業務提携を結び、効率的に進めている。とりわけ、地方銀行については2018年3月末時点で51社と業務提携を結んでおり、ほぼ全国にネットワーク網を確立している。顧客の紹介案件数の内訳を見ると、地銀からの紹介案件が全体の約8割を占めており、重要な顧客開拓ルートとなっている。また、2016年3月期からは中小企業の顧客を多く抱える信用金庫との提携も積極化しており、2018年3月末時点で7つの信用金庫と提携している。

顧客数は中小から大企業まで含めて2,000社を超えており、また、審査対象企業数は月間で2万社を超えている。対象企業は業種別で偏りなく、卸売業、小売業、製造業など幅広い業種にわたり、特定業種の景気変動に業績が影響を受けることはない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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