ジャストプラ Research Memo(6):2019年1月期はASP事業と新規事業に注力し、増収増益に転じる見通し
1. 2019年1月期の業績見通し
ジャストプランニング<4287>の2019年1月期の連結業績は、売上高で前期比13.8%増の2,720百万円、営業利益で同19.2%増の470百万円、経常利益で同19.6%増の470百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同7.1%増の282百万円と増収増益に転じる見通しである。
2019年1月期は後述する新規事業「Putmenu」の推進とASP事業の拡大を最優先ミッションに取り組んでいく方針。ASP事業における期末契約店舗数は前期末比12.7%増の5,500店舗、期末月(2019年1月)の月額利用料は前年同月比8.2%増の80百万円を目標とし、いずれも3期ぶりの過去最高更新を目指している。契約店舗数については、営業スタッフの増員(新規開拓担当を前期末の3人から2倍)や販売代理店のネットワーク拡充を進めていくことで新規顧客の開拓を進めるほか、カスタマーサポート体制の強化やクラウドサーバーへの移行(2018年度中に完全移行予定)によるシステムの安定性向上により顧客満足度の向上を図ることで解約を防止していく考えだ。
また、2018年1月期から取り組んでいる付加価値サービスの拡販については、選択と集中により効率的に進めていく。勤怠・シフト管理サービスのOEM供給については、業務提携先のサン電子を通じたパチンコホール向けの拡大が見込まれる。サン電子では約2,000店舗のパチンコホールに経営管理システムを導入しており、これらが当面の見込み客となる。2018年5月に2店舗の導入を開始し、問題がなければ既存システムの契約更新時を見計らって、置き換えを進めていく計画となっている。
サン電子との協業案件では、サン電子のO2Oソリューション「iToGo」を同社の顧客である小僧寿し<9973>の店舗に導入したことを2018年2月に発表している。サン電子が開発したスマートフォンアプリ「小僧寿し」を使って持ち帰り用商品の事前予約を日時指定で行うことが可能となり、顧客は並ばず・待たずに商品を受取れるほか、アプリ独自のクーポンも受け取ることが可能となる。同社は「小僧寿し」アプリの導入・運用をサポートしていくことになる。業績への直接的な影響は軽微だが、同アプリの導入により小僧寿しの売上げが拡大すれば、同社のサービス利用料拡大(まかせてネットやその他付加価値サービスの契約)につながる可能性もある。
これら取り組みにより、ASP事業については増収増益となる見通し。また、物流ソリューション事業についても「Logi Logiシステム」解約の影響が残るものの、新規顧客の開拓を進めることで増収増益を見込んでいる。なお、当期純利益の増益率が経常利益よりも低くなるが、これは新規事業「Putmenu」を展開するための新会社プットメニューの立ち上げ費用を見込んでいることが要因となっている。
飲食店等の注文・決済業務を大幅に効率化する、新サービス「Putmenu」を第2の収益柱に育成していく方針
2. Putmenu事業を展開
同社は「まかせてネット」に続く第2の収益柱として飲食店の注文・決済業務を効率化するIoTソリューションサービス「Putmenu」の拡販を2018年より本格的に進めていく。「Putmenu」は3年ほど前にボクシーズが開発したIoTを活用したサービスで、スマートフォンアプリ「Putmenu」を使うことで商品の注文と決済をオンラインで実現するサービスとなる。「Putmenu」では12言語に対応しているほか、決済手段も携帯キャリア決済やLINE Pay、Apple Pay、PayPal、Alipayなど様々なサービスに対応しているため、訪日外国人観光客の取り込みも可能となっている。
同様のサービスは他にもいくつか開発されているが、「Putmenu」の特徴は店舗敷地内、あるいはテーブルごとにビーコンを配置することによって、利用者がエリア内に確実にいることを確認した上で、注文・決済の確定を行うシステム※としたことにある。店舗側からみれば「Putmenu」を導入することによって、注文・会計業務の効率化を安全確実に進めることが可能となり、人材採用難という経営課題に対して打ってつけのサービスとなる。また、注文ビッグデータの収集やアプリを通じたアンケートを行うことで、効果的なマーケティング施策を打つことも可能となる。一方、利用者にとっても、注文・決済のために要していた時間を省略できるため、利便性の高いサービスと言える。
※ボクシーズの子会社であるタグキャストがビーコンを利用したチェックインシステムとして日米中韓にて特許を取得。
この「Putmenu」は2016年4月に開催されたMicrosoft Innovation Award 2016でファイナリストを受賞したほか、2017年11月にはモバイルコンピューティング推進コンソーシアムにて総務大臣賞を受賞するなど業界でも高い評価を受けている。開発元のボクシーズと外食業界に顧客基盤を持つ同社が協業して、今後事業を拡大していくこととなった。同社は「Putmenu」の事業化権をボクシーズから買い取ると同時に、子会社のプットメニューで事業展開していくことになる。当初は同社で営業、カスタマーサポートを行い、開発・システム運営をボクシーズが担当していくが、導入件数が一定規模まで拡大した段階で、営業についてはプットメニューで進めていく格好となる。
同社では販売ターゲットとして、ショッピングモールやアウトレットモールのフードコート内店舗の開拓を進めていく。フードコートでは、休日に席の確保が困難なほど混雑するケースが多く、注文・決済業務の効率化に対するニーズは店舗側、利用者側ともに強いためだ。第1弾として、2018年1月よりイオンモール幕張新都心のフードコート内店舗「おひつごはん四六時中」に導入を開始した。今後は順次、他の店舗への導入を進めていくと同時に、ショッピングモールやアウトレットモールを運営する大手デベロッパーへの営業活動も進めていく方針となっている。
また、フードコート以外の導入も進んでいる。2018年3月に、ハウステンボス(株)が運営するテーマパーク「ハウステンボス」内にある「変なホテル」に導入されたことを発表。「ハウステンボス」では同年2月より飲食店の「ソーセージワーフ」で導入を開始しているが、今回はホテルの宿泊客向けに販売するオーダーメイドTシャツの注文・決済サービスとして「Putmenu」が導入された。注文確定後に専用プリンタでTシャツをプリントし、出来上がり次第、利用者のスマートフォンに通知し、商品の受け渡しを行う流れとなる。注文・決済業務はすべてアプリ内で完結するため、訪日外国人客でも簡単に注文でき、結果、導入店舗では業務効率化と同時に売上増効果が期待できることになる。また、2018年4月には、日本KFCホールディングス<9873>が運営する「ケンタッキーフライドチキン」の2 店舗に導入されたと発表。ケンタッキーフライドチキンの主要顧客である30 代~50代の主婦層をメインターゲットとしている。外出前の自宅等で自身のスマートフォンからメニューを選んだり、客席にいながらゆっくりと注文をし、出来上がり次第、利用者のスマートフォンに通知し、商品の受け渡しを行う流れとなる。さらに、2018年6月には、リンガーハット<8200>が運営する「リンガーハットTOKYO PREMIUM 日比谷シャンテ店」に導入されることを発表。日比谷シャンテで開催されるMR(複合現実)を使ったゴジラのアトラクションや、AIとIoTを活用した近未来の店舗を体験できるイベント「HIBIYA 2018」のプロジェクトの一環として導入される模様だ。
こうした「Putmenu」の特徴を生かせる場所としては、ファーストフードや居酒屋などの飲食店のほか、空港内店舗や高速道路のサービスエリア、イベント&コンサート会場での物販店等が想定され、今後の成長ポテンシャルは大きいと弊社では見ている。実際、日本マクドナルドホールディングス<2702>では2018年度中にスマートフォンアプリを使った注文・決済サービスを導入していく計画があることを明らかにしており、同業他社からの問い合わせも来ている。潜在的な需要が旺盛なことから、早期にこれら顧客を囲い込むため、販売代理店政策も強化していく方針となっている。また、将来的にはアジアに展開する日系デベロッパーのショッピングモール等への導入も視野に入れている。
ASP事業の再成長とPutmenu事業の収益寄与により、業績は高成長期入り
3. 目標とする経営指標
同社は目標とする経営指標について、売上高経常利益率で35%の水準を目指している。ここ数年は売上構成比の変化(物流ソリューション事業の拡大)によって利益率の低下傾向が続き、2018年1月期は16.4%の水準となったが、今後は収益性の高いASP事業の再成長に加えて、新たにPutmenu事業が収益貢献し始めることで、利益率の上昇が見込まれる。また、成長性に関してもここ数年は停滞していたが、Putmenu事業が加わることで年率2ケタ成長と再び高成長ステージに入るものと弊社では予想している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
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