ベルシス24 Research Memo(4):2018年2月期は増収増益決算で、おおむね予想どおりの着地
1. 2018年2月期連結決算
ベルシステム24ホールディングス<6183>の2018年2月期の連結業績は、売上収益115,618百万円(前期比6.2%増)、営業利益9,319百万円(同14.0%増)、税引前利益8,502百万円(同18.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益5,604百万円(同30.2%増)で、増収増益の順調な決算となった。期初予想に比べ売上収益は0.4%下回り、逆に営業利益は0.2%、また当期利益も5.5%上回ったものの、おおむね予想どおりの着地であったと言えるだろう。
売上収益の前期比67.0億円増の要因を見ると、コア事業の着実な成長により既存業務と新規業務等で76.4億円増、旧BBコールへの発注量減少の影響も一巡したことで2.3億円増、大型案件の減少に伴いスポット業務が5.2億円減、その他が6.4億円減となり、コア事業の著しい成長により増収となったことが分かる。売上収益5億円超のクライアント数が38社(前期は37社)、その売上収益は588億円(同532億円)に引き続き増加したこと、伊藤忠シナジーも売上ベースで97.6億円(同72.5億円)と拡大を続けたことも増収の背景にあった。
営業利益段階では、人件費の影響で7.7億円、人材・新領域への投資及び先行投資で2.7億円、その他の影響で4.7億円などの減益要因があったものの、継続業務、新規業務等の増収効果で10.2億円、価格適正化、低収益業務の改善等で15.1億円などの増益要因があった。増益要因が減益要因を上回ったことで、営業利益は前期比11.5億円の増益となった。以上から、ROEは13.4%で、前期の11.0%から上昇し、2017年3月期の上場会社平均の8.6%を大きく上回って推移している。
(1) セグメント別の状況
セグメント別では、CRM事業の売上収益が108,868百万円(前期比7.2%増)となった。うち、継続業務の既存業務と新規業務等が85,421百万円(同9.8%増)であった。また、継続業務のうち旧BBコールも15,264百万円(同1.5%増)と増加に転じ、下げ止まりが見られた。スポット業務は、前期の選挙業務等の反動から、8,183百万円(同6.1%減)に減少した。また、その他事業も、6,750百万円(同8.7%減)であった。営業利益では、CRM事業が8,962百万円(同13.7%増)、その他事業357百万円(同21.6%増)となり、営業利益率はそれぞれ、8.2%(同0.4pt上昇)、5.3%(同1.3pt上昇)となった。
(2) 財務及びキャッシュ・フローの状況
2018年2月期末時点の資産合計は142,437百万円(前期末比2,966百万円増)で、流動資産26,095百万円(同286百万円増)、非流動資産は116,342百万円(同2,680百万円増)となった。流動資産の増加は主に営業債権の増加によるものである。非流動資産においては有形固定資産が同371百万円増、のれんが同695百万円増、無形資産が同1,317百万円増であった。
負債合計は97,586百万円(前期末比552百万円減)で、流動負債は28,487百万円(同1,411百万円増)、非流動負債は69,099百万円(同1,963百万円減)であった。有利子負債残高が、76,412百万円(同1,802百万円減)となったことが、負債減少の主因であった。資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等に伴い44,851百万円(同3,518百万円増)となった。
以上の結果、自己資本比率は前期末から1.6pt改善の30.5%と上場会社平均程度の水準に上昇したほか、ネットD/Eレシオも1.63倍と同0.17低下し、改善が進んでいる。一方、流動比率は91.6%と、やや低い水準にとどまっている。
キャッシュ・フロー計算書によると、2018年2月期末時点の現金及び現金同等物の期末残高は5,324百万円(前期末比294百万円減)、またフリー・キャッシュ・フローは4,440百万円(同763百万円増)であった。営業活動によるキャッシュ・フローは8,948百万円の収入で、これは主に、税引前利益8,502百万円、減価償却費及び償却費2,367百万円の計上、法人所得税の支払額4,062百万円、法人所得税の還付額1,734百万円等によるもの。投資活動によるキャッシュ・フローは4,508百万円の支出で、有形固定資産の取得による支出1,531百万円、無形固定資産の取得による支出1,688百万円、子会社株式の取得による支出752百万円、持分法投資の取得による支出612百万円等による。財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入れによる収入74,180百万円及び長期借入金の返済による支出76,468百万円や配当金の支払額2,644百万円等があり、4,734百万円の支出となった。
2019年2月期の営業利益は前期比13.8%増を予想
2. 2019年2月期連結業績予想
2019年2月期通期の連結業績予想は、売上収益124,700百万円(前期比7.9%増)、営業利益10,300百万円(同10.5%増)、税引前利益は9,660百万円(同13.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は6,190百万円(同10.5%増)と、引き続き増収増益を予想する。売上収益の前期比90億円増の主因は、旺盛なアウトソーシング需要を背景に、コア事業の91.0億円増、旧BBコール業務の2.0億円増を見込むため。これまでの伊藤忠シナジーに、今期からは凸版印刷とのシナジーが加わることになる。
また、営業利益の前期比9.8億円増は、増収効果(14.2億円増)、継続的な価格適正化の取り組み及び退職抑止等を通じた業務の効率化による増益(8.2億円増)等の増益要因が、人件費の影響(6.8億円減)、新技術を活用したサービスの開発、新人事制度、採用・リテンション強化等(6.3億円減)の減益要因を上回るためである。同社では、更なる成長のために、新たな人事施策、新技術活用等に対し一定の投資を行っていく方針である。以上から、営業利益率は前期の8.1%から8.3%に上昇する見通しである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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