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C&R Research Memo(10):売上高1,000億円、営業利益100億円を目指し、成長を加速化していく


■中長期の成長戦略

1. 事業領域を10分野から50分野へ展開
クリーク・アンド・リバー社<4763>はプロフェッショナル分野という定義で、クリエイティブ分野、医療分野など合計10分野で事業を展開しているが、今後は既存事業領域の深掘りに加えて、周辺領域への展開を進めていく方針となっている。新たな分野としては前述したVR分野やAI・ロボット分野、ビッグデータ分析やデジタルマーケティング分野、新規事業としてドローン事業が加わっている。

また、2017年4月に発表したオープンイノベーションプロデュース事業も新分野の1つとなる。オープンイノベーションプロデュース事業では同社の2万社超の顧客企業に対して、大学や中小・ベンチャー企業が保有する特許や技術を積極的に紹介していくというもので、知的財産のエージェンシー事業と言える。同社は、大学や中小企業などで多く埋もれている特許こそが産業発展のための重要な知的財産であると捉え、こうした埋もれた特許や技術、研究成果等を同社が開設したWebサイト「SEADAS(シーダス)」を通じて紹介している。興味を持った企業と特許技術を保有する大学・企業とで実際に共同研究等のスタートが決定した際に、同社が手数料を受け取る成果報酬型のビジネスモデルとなる。

直近では2018年3月より舞台芸術エージェンシー事業も開始している。同事業は演劇役者や落語家、歌手、マジシャンなどの舞台芸術家をネットワーク化し、集客施策として活用したいショッピングモールやレジャー施設等への派遣を行う事業となる。

同社ではこうしたプロフェッショナル人材の需要が見込める新規分野を開拓し、中長期的には50分野まで領域を広げていくことを目指している。また、プロフェッショナル人材としては現在の23万人超から150万人、顧客数は約2万社から15万社に拡大していくことを目標としている。

2. 派遣人材の採用を強化
同社はクリエイティブ分野における事業拡大と収益の安定性向上のため、成長の源泉となる派遣スタッフの採用を強化していく方針を打ち出している。ここ1~2年は請負能力を拡大するために制作スタジオの拡張やスタジオの人材採用に投資を行ってきたが、請負事業の売上高が派遣事業を超えるまでに成長したことから、収益変動リスクが高まったと同社では考えている。事業の安定性向上を図るためには受注変動リスクが小さい派遣事業の比率を高めることが有効であり、また、獲得した派遣人材については3年程度の経験を積めば請負業務に振り向けることが可能で、結果的に請負事業の能力拡大にもつながるなど成長循環を構築できることになる。

3. 業績目標値
同社は、プロフェッショナル人材エージェンシーからプロフェッショナル知財エージェンシーへ進化していくことで、事業の一段の飛躍を目指している。従来は派遣・紹介、請負といった人材サービスを中心に事業分野を拡大しながら成長を続けてきたが、今後は人材サービスに知財サービス(知的財産の流通)を組み合わせることで新たな価値(サービス・商品)を創出し、事業領域を広げながら業績を拡大していく戦略となる。長期的な業績目標として会社側では売上高で1,000億円、営業利益で100億円を視野に入れている。

目標の早期実現のため、グループ会社のIPOによる資金調達も戦略の1つとして考えている。IPOの対象となるのはVR Japanのほか、専門職の転職・求人サイトを運営するプロフェッショナルメディア、法曹向けSNSプラットフォーム「JURISTERRA」の開発・運用を行うCREEK & RIVER Global, Inc.、AIプラットフォームサービスを展開するIdrasys、ビッグデータ分析サービスを展開するエコノミックインデックス等が候補となる。IPOにより調達した資金は事業成長のための設備投資資金のほか、M&A資金としても活用していく方針だ。

(執筆:フィスコアナリスト 佐藤 譲)


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