タカショー Research Memo(2):「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトとして業容を拡大
1. 沿革
タカショー<7590>は、1980年に代表取締役社長の高岡伸夫(たかおかのぶお)氏によって、造園及び庭園資材の販売を目的として、和歌山県海南市に設立された。父親が営んでいた高岡正一商店(竹垣などを結ぶのに使うシュロ縄などの卸売業を行う個人商店)の事業を発展させ、ガーデニング素材を販売するのみならず、ライフスタイル全般の提案を通じて、全国規模の事業展開を目指すことが設立の経緯であった。社名の由来は「高岡正一商店」の短縮形である。
その後、「ガーデニング業界を近代化し、市場を自ら創っていきたい」という強い思いに支えられ、全国各地に営業所や配送センターを設けながら、順調に事業基盤を拡大した。バブル経済やガーデニングブームなどの追い風もあったものの、「やすらぎのある空間づくり」という一貫したコンセプトに基づき、独自性の強い商品の開発や啓発活動を続け、着実に市場を創造してきたことが同社の成長を支えたと考えられる。1998年には業界で初めて店頭公開(現東証JASDAQ市場に上場)を果たした。
海外展開にも積極的であり、1995年に中国・天津市に販売子会社を設立すると、その後は相次いで、台湾、オーストラリア、ドイツ、韓国、ベトナム、英国などに拠点を構え、海外展開の基盤を構築していった。2015年2月には、英国子会社のベジトラグが市場の大きな米国(ペンシルベニア州)に販売子会社を設立した。また、2016年5月にはベトナム(ホーチミン市)に同社初の海外ショールーム※も開設している。
※単なる商品展示の場ではなく、ガーデン&エクステリアを中心とした、五感で体感できる“空間提案型ショールーム”となっている。
また、2001年にガーデンライフスタイルデザイン研究所を大阪府に開設したほか、2010年には、業界における資格制度として「タカショーエクステリア&ガーデンライティングマイスター制度」、2011年には「ウォーターガーデンマイスター制度」、2014年には「エクステリア&ガーデンマイスター制度」を立ち上げるなど、業界のリーディングカンパニーとしての活動も積極的に行っている。
2017年10月に東証JASDAQから東証2部に市場変更となった。
2. 事業内容
ガーデニング及びエクステリア商品の企画、製造、販売を主力事業としている同社は、ガーデニング用品の取扱いでは国内最大級の規模を誇る。「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材のほか、照明器具や池・滝・噴水なども手掛けている。国内のガーデニング市場の拡大、環境や精神的豊かさを重視する意識の変化なども追い風としながら、庭での暮らし方を提案する「ガーデンライフスタイルメーカー」として業容を拡大してきた。また、国内のみならず、海外への販路拡大にも積極的であり、欧州、米国、アジア、オセアニアなどへ展開している。
事業セグメントは、ハウスメーカーや工務店向けの「プロユース事業」、ホームセンターなどへの卸売を中心とした一般消費者向けの「ホームユース事業」、海外子会社による「国際事業」の3つに分類される。事業別売上構成比では、「プロユース事業」が60%、「ホームユース事業」が31%、「国際事業」が9%となっており、注力する「プロユース事業」が伸びている(2018年1月期実績)。
事業別の概要は以下のとおりである。
(1) プロユース事業
エクステリア分野(住宅の門扉やフェンス、カーポートなど)向けに、主力商品であるアルミ製人工木「エバーアートウッド®」をガーデンエクステリアとして提供しているほか、「エバーアートウッド®」を部材とする「アートポート」シリーズや「エバーアート®フェンス」シリーズを展開している。また、最近では、木、石、塗り壁、和風など様々な天然素材を再現したアルミ複合板と「エバーアートウッド®」を組み合わせた景観建材「エバーアートボード®」の販売も開始し、市場の大きなコントラクト分野(非住宅市場向け建材、外装)向けに実績を積み上げている。「エバーアートウッド®」は、情緒性に優れたデザインや豊富なカラーバリエーション、耐久性、施工の容易さに加え、一部のアイテムにおいては変色やはがれに対する5 年間の保証(「エバーアートボード®」においては10年間の保証)などが特長となっている。
また、同社独自の「ローボルト®ライト」も手掛けている。電気工事資格を持たない者でも照明施工が安全かつ簡単にでき、ガーデンとエクステリアのあらゆるシーンを美しくライティングできる充実したラインアップ(アイテム数1,200種)を取りそろえているところや、すべてのアイテムがLED化されているなど、環境負荷の抑制と美しく安全な夜の屋外空間の創出を両立できるところが強みとなっている。建築家などにより選定され、“ 優れた建築を生み出すことに貢献し得る、優れた建材・製品”に与えられる、一般社団法人HEAD研究会主催の「第4回HEADベストセレクション賞」(2014年度)を受賞している。
なお、プロユース向けについては、総合カタログ「PROEX(プロエクス)」を定期的に発刊し(毎年25万部)、造園業者や設計士、ハウスメーカー、エクステリア施工業者などにDMにて送付している。また、コントラクト分野の強化を目的として、設計士向けの施設・非住宅専用カタログ「景観・建築内外装材総合カタログ」や、屋外照明事業の一層の強化を目的としたガーデン&エクステリアライティング総合カタログ「LEDIUS(レディアス)」なども発刊しており、同社ならではのクオリティにこだわったカタログが効果的な販促ツールとなっている。また、インターネットを利用したWebカタログ機能も充実している。
国内のハウスメーカーや工務店向けが中心であるが、最近ではオーストラリアや韓国、欧州など、海外からの引き合いも増えている。
(2) ホームユース事業
ホームセンターやガーデンセンターへの卸売や、通販、ネット販売により、一般消費者向けの商品(ガーデン家具や日除け、ガーデニング用品、照明器具、池・滝・噴水など)を手掛けている。ホームセンター市場の縮小による影響に加えて、商品構成の見直し(自社製品への切り替えによる収益性や商品力の向上)等を推進していることから、ここ数年は低調に推移してきた。
(3) 国際事業
欧州(ドイツ)、英国、米国、オーストラリア、中国の販売子会社を通じて、主にホームユース向けの商品をグローバルに展開している。特に、最近では、英国子会社ベジトラグUKによる「ベジトラグアイテム」が米国展開などにより大きく拡大してきた。中国における生産拠点も順調に稼働を高めていることから、ガーデニングの本場である英国で企画・ブランド化した定番商品をグローバルに展開する戦略が形になってきたと言える。
生産拠点は国内と中国に有する。国内は、プロユース向けの主力商品を生産しており、製造子会社のガーデンクリエイト(株)(和歌山県海南市)、徳島ガーデンクリエイト(株)(徳島県吉野川市)、(株)ガーデンクリエイト関東(栃木県鹿沼市)が担っている。また、中国では、ホームユース向けの商品を中心に生産し、日本を含む世界各地へ輸出している。
同社グループは、2018年1月末時点で連結子会社16社(国内6社、欧州2社、中国6社、オーストラリア1社、米国1社)と関連会社3社(国内1社、中国2社)で構成される。国内子会社は、プロユース向け商品を中心に、企画から製造、販売、サービスまで、グループ一体となって幅広いソリューションが提供できる体制を構築している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<MW>
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