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エネクス Research Memo(9):第4四半期の西日本での低温・積雪により、予想を上回って着地する見通し


■今後の見通し

2018年3月期について伊藤忠エネクス<8133>は、売上高1,150,000百万円(前期比11.8%増)、営業活動に係る利益16,500百万円(同16.2%減)、税引前利益17,800百万円(同8.0%減)、当社株主に帰属する当期純利益10,400百万円(同5百万円減)と増収ながら減益を予想している。これらの予想値は期初予想から変更はない。

弊社では、今通期の業績が会社側の期初予想を上回る可能性を意識しつつも、需要期の第3・第4四半期の動向を見極めたいと考えてきた。前述のように第3四半期の進捗が極めて順調だった上に、今第4四半期の気候状況に照らして、今通期の着地が会社予想を上回る可能性は一段と高まったと考えている。

今通期の会社予想を達成するのに必要な第4四半期の収益は、売上高335,956百万円(前年同期比12.4%増)、営業活動にかかる利益2,201百万円(同63.7%減)となる。同社の燃料製品は普段温暖な西日本地域で低温になると暖房需要という形で販売数量が増加する傾向がある。今冬は西日本を大寒波が襲い例年にない積雪を記録する等、厳冬の年となっているため、同社の業績にとっては追い風が吹いていると考えられる。したがって、今第4四半期が前年同期比で60%超の減益となる事態は想定しにくいと弊社では考えている。

ただし、弊社では開示基準である「利益で30%以上の変動」に抵触するほどの上振れにはならないとみており、いわゆる“上方修正”については慎重に構えるべきだと考えている。原油価格の上昇の利益影響は事業部門によってプラスマイナス両面があるほか、電力事業は石炭市況高の影響を受けていることや産業エネルギー・流通部門における販売数量の伸び悩み、といった要因もあるためだ。

各事業セグメントの動向、ポイントは以下のとおりだ。

(1) ホームライフ部門
ホームライフ部門では、厳冬の影響によるLPガス販売量の伸びと、CPの期末水準による在庫影響額に注目している。前述のように、三大都市圏をカバーするLPガス事業は合弁会社のエネアークに移管されたが、それ以外の地区は自社グループに残っている。例年に比べて気温が低かった西日本における需要変動は直接的に同社の業績に反映されることになる。

CPは第3四半期末までは上昇が続き12月平均は590ドル/トンに達した。しかしその後、2018年2月は525ドルに低下した。前期末は480ドル/トンであったことを考えると、在庫影響額が大幅なマイナスとなって業績の足を引っ張るリスクは小さいと弊社ではみている。

(2) 電力・ユーティリティ部門
電力・ユーティリティ部門のうち、電力の販売分野については電力小売り契約件数の拡大に伴い順調に推移するとみている。発電分野については、第3四半期までと同様、石炭価格の高止まりの影響が続くとみているが、原油価格の動きなどからみて、今後さらにマージンが縮小する可能性は小さいのではないかとみている。熱供給事業については、第3四半期単独期間に比べて第4四半期は暖房需要が高まるため、前四半期比較では収益が改善してくるとみている。

(3) 生活エネルギー・流通部門
生活エネルギー・流通部門では燃料油(ガソリン、軽油)の販売数量は、天候の影響などから前年同期比及び、前四半期で、マイナスとなった可能性がある。一方で燃料油の利幅は確保されているため、大幅な減益とはならないと弊社ではみている。日産大阪販売の自動車販売は、年度末を控えた第4四半期は需要期に入り販売台数を伸ばすと期待される。他方で1台当たりの利幅は前年対比では縮小しているとみられるが、それを台数の伸びでどこまでカバーできるかに注目したいと考えている。

(4) 産業エネルギー・流通部門
産業エネルギー・流通部門の事業環境は、基本的には第3四半期までと同じ状況が続くとみている。したがって収益拡大についても、これまで同様、バリューチェーンの高度化、最適化、ネットワークを生かした取引拡大といった施策に地道に取り組むことが中心となるとみられる。そうしたなかで、年度末の季節要因から、アスファルトの販売量が伸長してくることが注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


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