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クオール Research Memo(9):CSO事業・派遣紹介事業を中核に、CRO事業、出版事業を展開


■BPO受託事業の概要と成長戦略

1. BPO受託事業の概要
BPOとはBusiness Process Outsourcing(業務プロセスの一部を継続的に外部の専門的な企業に委託すること)の略であり、BPO受託事業セグメントは他社からの業務受託がその内容となっている。具体的には、CSO事業(一般の派遣紹介事業も含む)、CRO事業、出版関連事業の3つの業務を展開している。

CSOはContract Sales Organization(医薬品販売業務受託機関)の略であり、CSO事業は製薬企業との契約により、営業・マーケティング活動を受託・代行し、医薬品の販売活動に関する一連のサービスを提供するものだ。具体的には、アポプラスステーションがMR(Medical Representative、医薬情報担当者)を採用し、契約した製薬企業にMRを派遣するというものだ。派遣されたコントラクトMRは医療機関・医療関係者に対して、担当する製薬会社の医薬品について営業を行うことになる。

コントラクトMRは業界全体で約4,000人が存在しているが、その中でクオール<3034>(事業主体はアポプラスステーション)は540人のCMRを擁している(2018年3月期第2四半期末時点)。CSO業界における同社のポジショニングは、CSO活用企業103社のうち44社と契約しており(日本CSO協会の調査ベース)、契約社数ベースで業界No.1の地位にある。他方、 売上高では業界第3位グループに位置している。

CSO業界の売上高ランキングで同社より上位に位置するのは、外資系のクインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン(株)(2018年4月にIQVIAサービシーズジャパン(株)に改称予定)とインヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン合同会社だ。製薬業界における外資系と国内系の規模の差や雇用に対する基本的なスタンスの違いがこうした業界構造につながっていると弊社ではみている。

CRO事業
CROはContract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)の略だ。CRO事業では医療用医薬品、OTC薬品、食品、ヘルスケアの各領域において、治験・臨床研究に関して企画からパブリケーションまでトータルソリューションを提供している。最も典型的な業務は、製薬企業から委託を受けて、医薬品開発の際に医療機関において行われる臨床試験をトータルでサポートするというものだ。

出版関連事業
出版関連事業は子会社のメディカルクオールが行っている事業で、医薬品の販売促進や、医療関係者・患者向けのパンフレット、書籍、雑誌等の受託制作を行っている。同社は、保険薬局事業やCSO・CRO各事業等を通じて、医療機関と患者の双方について深い知見及び商流を有しており、それを生かした事業と言える。

CSO事業
BPO受託事業セグメントにおける上記の3つサブセグメントの中では、CSO事業が圧倒的に大きなウエイトを占めている。BPO受託事業においてはほかに、薬剤師や看護師、登録販売者(第2・第3類医薬品の販売の有資格者)などの医療従事者を中心とする一般の派遣・紹介事業も行っている。CSO事業(MRの派遣)と一般の派遣・紹介事業を合わせた売上高は、BPO受託事業セグメントの約90%を占めるとみられる。したがって、BPO受託事業を見るうえでは、CSO業界の事業環境及び医療従事者の労働需給動向が重要なポイントと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


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