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日本トリム Research Memo(3):大学との共同論文発表が続き、先進医療分野でも共同研究を開始


■日本トリム<6788>の事業概要

家庭用医療機器メーカーからメディカルカンパニーへの移行という大きな目標を掲げている。飲用整水器をコア事業に、電解水素水技術を医療や農業分野に応用している。海外では、アジアにおいて飲用事業を展開しているが、今後は中国の病院事業が加わる。先進医療分野では、再生医療、生殖医療関連事業に経営資源を集中し、企業価値の向上に努めている。

1. ウォーターヘルスケア事業
(1) マスコミによる報道の影響
水素水ブームに乗り、多くの企業が市場に参入したため、市販の容器入り水素水と電解水素水整水器の区別がつかず、混同するきらいがある。独立行政法人 国民生活センターには、2011年度以降に容器入り水素水や生成器について2千件以上の問い合わせが寄せられた。消費者の関心が高いことから、同センターは、市場で売れている容器入り水素水10銘柄、水素水生成器9銘柄の合計19銘柄について、溶存水素量を測定し、その表示との差異について調べ、2016年12月に報告書をリリースした。アルミパウチ、アルミボトル、ペットボトルに詰めされたバブリング水素水は、いわゆる健康食品であり、効能について言及することは許されていない。「健康食品」には法律上の定義がなく、届出制・自己認証制・個別許可制などの保健機能食品とも分けられている。一方、生成器は、スティック型、携帯型、据置型、蛇口直結型がカバーされた。このうち、蛇口直結型では、トップメーカーの同社と第2位のパナソニック<6752>が対象となった。両社とも表示については、問題ない旨が報告されている。両社は、一般財団法人 機能水研究振興財団の会員になっており、これらの会社の手掛ける整水器は医薬品医療機器等法(旧薬事法)において胃腸症状改善の効果・効能が認められている。整水器は飲用水生成器の中でも、効果・効能が認められている唯一の水処理器になる。

別件ではあるが、清涼飲料水などいわゆる健康食品の水素水商品の販売会社3社が、ダイエット効果などの不当表示により消費者庁から行政処分を受けている。これらの報道や処分により、悪質な業者が淘汰され、業界の健全化が進んだというメリットもあった。

(2) 産学官共同研究
同社は、エビデンスを示した科学的アプローチをすることを基本方針としている。1991年に自社の研究部門を設立するなど、早くから電解水素水の研究に取り組んできた。研究開発は、自社内だけでなく、約20年前から国内外の大学や研究機関と電解水素水について基礎分野、医療分野、農業・畜産分野の3つの分野で産学官共同研究を進めている。

基礎研究に関わるものは、電解水素水の物性解明、効果メカニズムの解明、バブリング水素水との相違などである。電解水素水の基礎研究は、九州大学大学院農学研究院、東京大学大学院工学系研究科、カロリンスカ研究所(スウェーデン)と行っている。医療分野において、東北大学医学部、福島県立医科大学、高知大学医学部、国立台湾大学医学院臨床医学研究所(台湾)、カロリンスカ研究所と電解水素水の臨床研究、応用などを進めている。農業分野は高知大学農学部と、畜産分野は帯広畜産大学臨床獣医学研究部門と共同研究に従事している。国内外の大学・研究機関との共同研究は、論文発表という形で結実している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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