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桑山 Research Memo(1):次のステージに向けた新たな取り組み、新たな展開、同社の可能性が広がりつつある


■要約

桑山<7889>は、貴金属チェーンからダイヤモンド、真珠、色石までを幅広く取り扱う国内トップの総合ジュエリーメーカーである。特に貴金属チェーンは国内で圧倒的なシェアを有しているほか、相手先ブランドをはじめ各種製品を大手小売店チェーンなどに広く供給している。近年、日本のみならず世界でも認められるようになり、製販両面でアジアを中心に海外へ進出、グローバル展開も積極的に推進している。

オリジナリティあふれるデザイン力、世界トップレベルの生産技術と品質基準、顧客に寄り添った営業体制、高水準の品質保持体制など、全社的な取り組みが顧客の安心につながっており、これを「桑山品質」と言う。なかでも、ハイレベルな製造能力、安定した高クオリティ、卓越した企画力、つまり「桑山品質」を支える製品力が強みになっている。そして、本社の企画デザイン機能、富山・無錫・広州・タイの4工場における生産技術、本社を中心とする調達・販売ネットワーク、通常営業と技術営業による顧客サポート、すべてをつなぐ業務システムなど、総合ジュエリーメーカーとして全方位を見渡したビジネスができるからこそシナジーが生まれている。

2017年、同社は香港の世界的なデザインコンテストで最高賞を受賞した。同社のデザインや技術力が真に世界で認められたのである。既に中国では、同社が主力とするブライダルリングやファッションジュエリーなど高付加価値製品が伸びている。このため、中国で2番目の広州工場の稼働を開始するとともに、今期中に香港に中国本社を設立する。貴金属チェーン一貫製造、総合メーカーへの業容拡大と2回のターニングポイントを経ることで、国内トップの総合ジュエリーメーカーへと成長した同社が次に狙うのは、香港をベースに世界への本格的進出である。3回目のターニングポイントとなるだろう。

2018年3月期第2四半期の売上高は14,738百万円(前年同期比16.6%減)、営業利益は261百万円(同71.4%減)となった。国際的なダイヤモンド市場の低迷と経済成長減速による中国宝飾市場の伸び悩みにより、海外でのダイヤモンド素材の販売が大幅に減少、国内では、加えて小売宝飾市場の停滞と販売価格の低下から受注が減少、売上高は2ケタ減収なった。また、海外製造拠点への増強投資によって、日本のクリスマスや中国の旧正月といった商盛期に向けての受注体制は整ったものの、先行費用の発生から営業利益も2ケタ減収となった。

2018年3月期通期の業績見通しについて、同社は売上高38,000百万円(前期比1.6%増)、営業利益1,300百万円(同1.4%増)を見込んでいる。第2四半期に大幅減益になったものの、同社は期初の増益予想を変更していない。ダイヤモンド素材の回復は不透明だが利益インパクトが小さいこと、先行費用が一巡し利益収穫期に入ってくること、日本国内の小売市場に回復の兆しが出ていることなどから、同社は期初予想どおりの増収増益を確保できると考えているためである。

同社は中期経営計画を公表していない。しかし、海外製造拠点の増強や中国本社の設立を考慮すると、当面は中国でのブライダルジュエリーとファッションジュエリー需要の拡大に乗って、中期的な利益成長は可能と考えられる。さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて国内消費の活性化、そしてインバウンドやブライダル、モチベーション需要の拡大も期待される。シルバージュエリー、アパレル、eコマースといった新たな取り組み、米国という巨大市場を見据えた新たな展開もスタートしている。今まさに、中長期にわたって同社の可能性が広がりつつあるところである。

■Key Points
・ジュエリーメーカー業界トップの強みは製品力にある。世界的デザインコンテストでの受賞と中国本社設立を機に世界に羽ばたく。
・2018年3月期第2四半期業績は厳しい結果となったが、先行費用一巡などで通期は期初業績予想を達成へ。
・中国の需要拡大に乗って成長するほか、新たな取り組みや新たな展開もあり、同社の成長余地は大きい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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