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RSテクノ Research Memo(10):プライムウェーハメーカを連結子会社化。中国において製造販売事業に進出


■中長期の成長戦略と進捗状況

5. 成長戦略:中国半導体マーケットへの参入
中国においては2020年までに、半導体産業に5兆円の投資が計画されている。RS Technologies<3445>はこの市場に参入して中長期的な成長を加速させ業容拡大を図る計画だ。同社の方社長を始め経営幹部は、かつて商社で勤務し中国企業との取引において豊富な経験と人的関係を有している。その知見を活用して同社においても中国ビジネスを拡大しようと努めてきた。

対中ビジネスという点では、同社はこれまで、半導体製造に関する消耗品の販売を中心に、先方のニーズに応じて様々な資機材の取引を行ってきたが、半導体製造装置の取引にも着実な一歩を踏み出した。具体的には、(株)日立パワーソリューションズの超音波映像検査装置(半導体、電子部品の非破壊・映像化装置)の海外市場における販売代理店契約を締結している。また、日本無機(株)のケミカルフィルターについても、中国での販売代理店を行っている。これらの事業は、半導体生産設備の買取・販売事業セグメントに含まれるが、今後も着実な成長が期待される。

また、2012年から同社の技術者を複数中国国営企業に派遣し、8インチウェーハならびに12インチウェーハの加工技術を指導しており、2015年には中国の半導体関連技術が集まる集成回路材料産業革新戦略連盟に日本企業で初めて参加し、中国国営企業のSMICや華虹半導体など中国国内メーカーと友好な関係を構築しており、再生ウェーハ及びダミーグレード用プライムウェーハでの取引が拡大している。

12月1日には、現地国営企業の「北京有色金属研究総院」との間で合弁会社『北京有研RS半導体材料有限公司』(以下、BGRSという)を設立し、現在、北京有色金属研究総院の100%子会社でプライムウェーハ事業を営む『有研半導体材料有限公司』を子会社化し、プライムウェーハ事業に参入することが発表された。BGRS社は5・6・8インチのプライムシリコンウェーハ及び単結晶シリコンインゴットの製造をしている。技術力・販売数量ともに同分野で中国メーカーの中で大手企業の位置づけである。

同日発表されたBGRS社の中期計画によると来期2018年には売上高90億、営業利益12億、2023年には売上高230億、営業利益56億を見込む。設備投資計画は8インチウェーハの生産能力を中計期間中に現行の7倍に引き上げる。販売計画、及び製造原価計画は少し保守的に見ている模様だ。同社の2018年12月期以降の連結決算に反映される見込みだ。

このプライムウェーハ事業については来期以降、同社の成長を一段と加速させるキー事業となる可能性が高いと弊社では見ている。中国の半導体産業が成長するに従い、ウェーハの需要も相応に大きくなってくるためだ。その場合、“需要家立地”すなわち、顧客の近くの現地企業との合弁会社設立による工場取得という発想は当然だろう。また中国半導体市場の立ち上がりと合わせて、同社が今後ウェーハ事業のドメインをさらに拡大することも考えられる。この点、中国出身の方氏が社長を務める同社はその優位性を発揮できる可能性がある。また、半導体生産設備の買取・販売事業セグメントの拡大も想像される。

プライムウェーハ事業、再生ウェーハ事業、半導体生産設備の買取・販売事業と3つの事業で中国の半導体市場の需要の取り込みが予想される。この辺りは来期以降の同社の中期計画の発表が待ち遠しい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


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