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アルプス技研 Research Memo(3):好調な受注環境を背景に増収増益


■業績動向(連結)

アルプス技研<4641>の2017年12月期上期の(連結)業績は、売上高が前年同期比17.8%増の14,516百万円、営業利益が同14.2%増の1,433百万円、経常利益が同10.2%増の1,438百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同10.9%増の907百万円と概ね計画通りの大幅な増収増益となった。

売上面では好調な受注環境(特に、自動車及び半導体向けが好調)を背景として、主力のアウトソーシングサービス事業が稼働人数の増加、契約単価の上昇により大きく拡大した。また、前期に連結化したパナR&Dが期初から寄与したことも増収要因(約730百万円の上乗せ)となっている。

損益面では、社員に対する処遇向上策※に伴って原価率が75.1%(前年同期は74.6%)に上昇したことに加えて、販管費もパナR&Dの連結化(約95百万円の費用増)などにより増加したものの、増収効果により増益を実現するとともに、営業利益率も9.9%(前年同期は10.2%)とほぼ目標とする10%水準を確保することができた。

※同社では、高稼働率が維持できていることを前提として、処遇向上に伴う原価率アップを図る施策をとっている。すなわち、社員に対する処遇向上が、定着率や採用力の強化につながり、その結果、持続的な業績拡大に寄与するという考え方に基づいている。


財務面では、事業拡大に伴う「受取手形及び売掛金」及び「仕掛品」等の増加により総資産が17,280百万円(前期末比5.0%増)に拡大した一方、自己資本も内部留保の積み増しにより11,262百万円(同4.0%増)に増加したことから、自己資本比率は65.2%(前期末は65.8%)とほぼ横ばいで推移した。流動比率も230.2%(前期末は230.0%)と高い水準を維持しており、財務の安全性も非常に優れていると言える。

各事業における概要は以下のとおりである。

(1)アウトソーシングサービス事業
アウトソーシングサービス事業は、売上高が前年同期比18.3%増の13,931百万円、セグメント利益が同15.3%増の1,433百万円と大きく拡大した。パナR&Dの連結化の効果に加え、好調な受注環境が継続する中で、内部施策(優秀な人材の確保や単価上昇を柱とした採用及び営業施策)が奏功した結果、稼働人数の増加、契約単価の上昇が業績の伸びに寄与した。重視する業績指標である技術社員数は3,133人(前年同期末比253人増)、稼働人数は2,998人(同262人増)、契約単価は3,894円(同46円増)とそれぞれ順調に増加した。ただ、一人当たりの上期平均稼働工数が172.8H(同2.4H減)と減少したのは、前年の閏年による特殊要因があったほか、大手企業を中心とした働き方改革等の影響があるようだ。

また、4月に入社した新卒技術者(242名)は、6月末までに全員が稼働決定しており、その結果、高稼働率が維持できている。これまでも早期稼働化を推進してきたが、7月末に稼働決定した前期からさらに1ヶ月早いペースを実現した格好である。新卒技術者の場合は、すぐに単独で上流工程を担当できるわけではないが、チーム派遣の推進により先輩社員がフォローするため、早期に活躍ができる体制が確立しているようだ。教育・研修体系に基づく人材育成が有効に機能していることの証左と言える。なお、新卒技術者の早期稼働は下期業績のプラス要因になることに注意が必要である。

顧客の業種別では、自動車関連のほか、電気・精密機器・半導体関連、医療系が伸びている。

(2) グローバル事業
(事業内容:各種プラント設備機器、工場設備機器の設計・製作、据付及びメンテナンス、人材サービス)
グローバル事業は、売上高が前年同期比5.7%増の585百万円と伸長したものの、エンジニアリング事業における不採算案件の発生(一過性の要因)によりセグメント損失1百万円(前年同期は10百万円の利益)を計上した。ただ、グローバル事業そのものは日系企業からの需要拡大に伴い好調に推移している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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