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エレマテック Research Memo(10):表示デバイスと自動車関連の2大市場に関して、取引商材や顧客数が拡大中


■中長期成長戦略

5. 主要市場における進捗状況
(1) 全体像
エレマテック<2715>の特長・強みの1つに、幅広い仕入先・商材・顧客の存在があるのは前述のとおりだ。そうした同社であっても(あるいは、幅広い商材を持つ同社だからこそ)、市場規模が大きい製品や関連する産業のすそ野が広い製品向けの販売が増加することになる。現状は、それがスマートフォンであり自動車であるということだ。

同社を“スマートフォンに強い企業”、“スマートフォン関連銘柄”と理解する向きもあるが、弊社では“表示デバイスに強い企業”だと認識している。現在の表示デバイス市場は、製品タイプとしては液晶パネルが主体であり、その用途としてはスマートフォンが大きな位置を占めている。それゆえ結果的に同社の取扱商材の多くが最終製品としてのスマートフォンに入り込んでいるという状況だ。

表示デバイスという観点からは、新しい表示デバイスである有機EL(OLED)が黎明期から成長期に入ろうかというステージにある。表示デバイスに強い企業としては当然に有機ELに対しても部材供給で存在感を示していかねばならないと言える。

自動車市場に対する同社のアプローチは大きく2つあると弊社では考えている。1つは表示デバイスの自動車における用途及び搭載数の拡大だ。これは表示デバイスの枠組みの中で語られることになり、同社の情報開示上はDigital Electronicsに含まれることになる。もう1つは表示バイス以外の部材の供給で、これがAutomotiveセグメントの売上高を形成することになる。同社はこれら両方の商機を取り込み、自社の成長につなげる方針だ。

(2) 液晶・TP・BL関連市場の現状と進捗
同社の情報開示において、Digital Electronicsの中の「液晶・TP・BL」というサブセグメントが表示デバイス向けの商材を表している。向け先市場(あるいは、エンドユーザー市場)は多岐にわたるが、現状はスマートフォンが圧倒的に大きく、車載用や家電用などが後に続く。

a) スマートフォン向け液晶パネル
2016年3月期第4四半期頭に急激な生産調整に見舞われたが2017年3月期第2四半期から回復に転じ、第3、第4四半期と順調に回復してきている。2018年3月期に入っても順調に推移している。加えて、2017年3月期第4四半期には、中国の高級機種向けに高精細・高機能部材の販売が拡大し、同社の収益を押し上げた。中国の高級機種向けの部材の販売は2018年3月期も緩やかな増加が見込まれている。

b) 車載用液晶パネル
車載用液晶パネルはこれまではカーナビがその代表格であったが、中期的にはサイドミラーレス車の登場で、運転席周りを中心に、液晶パネル等の表示デバイスの搭載量・面積の拡大が期待される。車載向けの特長として視認性の確保のニーズが高い点がある。同社はスマートフォンで培った反射防止技術があり、それをてこに商機拡大を狙っている。また、車載用液晶パネルは使用環境がスマートフォンに比べてはるかに厳しい。そこに同社の知見と技術を生かして最適な表示用部材(成形品やガラス等)やバックライト用フィルムなどの販売を目指している。

c) 有機ELへの対応
2018年3月期にはスマートフォン用ディスプレイで有機ELの採用が本格化するとみられている。同社も有機EL用部材の提案を進めており、国内の有機ELメーカーに対して納品している状況だ。ただし、納入先の有機ELメーカー自体が現状は試作段階にあるため、具体的なビジネスとしての進展はない状況だ。

有機ELと液晶パネルは用途が重なるため対立関係・代替関係と認識されている。そうした中で有機EL向けのビジネスがスタートしていない同社は不利な状況にあると思われがちだが、液晶から有機ELに一気に置き換わる可能性は低く、当面は液晶パネルが主軸であり続けると考えられる。ただし、液晶パネルの成長率が抑えられるのは確実で、同社自身もそれを見越して対応を急いでいる状況だ。

(3) 自動車関連市場の現状と進捗
自動車関連市場における表示デバイス以外の商材は、現状はHMI関連部材、ガラス、光源、放熱シート、樹脂成型品、オプティカル品などが中心だ。同社はスマートフォン向けを始めとしてガラス前面板の加工や加飾成型、メッキなどの技術とノウハウを蓄積してきたが、顧客から高い評価を獲得しており、それが自動車向け取引においても生かされている。

ここ数年伸びている分野としてLEDヘッドランプ用光源アセンブリ品や成型用金型販売、ケーブル・ワイヤーハーネスなどがある。特にLED用ヘッドランプ光源は、ここ数年で急速に光源のLED化が進むなかで新たな商流を開拓し、太い流れとなりつつあるもようだ。この向け先は日系自動車メーカーに限らず、欧米自動車メーカーも有力な最終需要家となっているとみられる。その背景には同社のグローバル拠点展開に対する顧客の高評価がある。

前述したように、同社の中長期戦略のベースはセンシングと通信の融合だ。センシングデバイスとしては、IRセンサー等各種センサー類やカメラモジュール用の各種商材などに注力している。特にカメラモジュールはサイドミラーレス車、ADAS、自動運転車などは、それ抜きには語れない。同社はそこに切り込もうとしている。既に顧客と共同で複数の有力自動車部品メーカーにレンズモジュールやCMOSセンサー、シールド材や筐体、ハーネスなどの各種部材の売り込みを開始しているもようだ。

もう1つの要素である通信についてはこれから通信機器モジュール化の提案を強化していくことになる。広く通信周りという観点ではミリ波レーダー用素材(放熱材、シールド材)などを取り扱っているが、同社が目指すのはスマートフォンで培った通信用デバイスとセンシングデバイスをモジュール化した通信機器そのものだ。今後の進展が待たれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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