2. 事業の概要
(1) 事業セグメントとグループ会社の概要
キリン堂ホールディングス<3194>の事業は小売事業とその他事業に分けられる。収益の大部分はドラッグストアを中心とする小売事業だ。その他は子会社で行っている卸売事業や医療コンサルティング事業、海外事業で構成されている。
小売事業は子会社のキリン堂が担っている。前述のように同社はドラッグストアチェーンを買収して店舗網の拡大を図ってきたが、それらの子会社は2012年までにすべてキリン堂に吸収合併し、国内小売事業はキリン堂が単独で事業を行う体制となっている。その他のうち国内では、健美舎が健康食品を中心とする卸売事業を、ソシオン ヘルスケア マネージメントが医療コンサルティング事業を、それぞれ担っている。
海外事業は中国市場をターゲットとしているが、2017年2月期に大きな体制変更が行われた。従来は忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司とBEAUNET CORPORATION LIMITEDの2つの連結子会社でドラッグストア運営事業やEコマース(EC)、卸売事業などを展開していた。しかし、BEAUNET CORPORATION LIMITEDが中国のEコマース(EC)第3位のビップショップ・ホールディングス
(2) 営業地域と出店戦略
同社は関西圏主体の店舗展開を行ってきており、全店舗の80%以上が関西圏に位置している。こうした地域構成となっているのは、同社の企業理念の中に掲げている『地域コミュニティの中核となるドラッグストアを社会的インフラとして確立する』というビジョンのもと、関西ドミナント出店を徹底してきた結果だ。
関西地区におけるドラッグストアの勢力分布では、同社はスギホールディングス<7649>、ココカラファイン<3098>と並んで大手3社の一角を占めている。経営理念を貫徹し、かつ、現有の関西地域における優位性を維持・発展させる目的から、同社は関西ドミナント戦略に基づいた出店を今後も継続する方針だ。
(3) 店舗戦略と販売戦略
同社の店舗は面積によって、300坪型、150坪型、100坪型に3分される。2017年2月期末時点の総店舗数344店の内訳は、ドラッグストアが289店(うち、処方せん取扱いが33店)、小型店舗が53店(うち処方せん取扱いが28店)、その他(うち、処方せん取扱いが1店)とFC店が各1店となっている。
同社の基本的な出店モデルは郊外型店で、300坪型のドラッグストアがそれに該当する。立地条件に応じて150坪型も活用している。今後も300坪型店舗を基本とした郊外型店舗での出店が基本となるとみられる。
同時にまた、同社は店舗の都心回帰策も進めている。これまで、都市型店舗の店舗フォーマットや出店モデルの研究を進めつつ5店の都市型店舗を出店した。サイズ的には小型店舗であり、店舗賃料も郊外型に比べて高いなどのマイナス面はあるが、それを吸収するだけの集客と売上げを確保できるとの手応えが得られている状況だ。同社はPDCAサイクルを回して店舗フォーマットや出店モデルの確立に努め、都市型店舗を郊外型店舗と並ぶ出店の柱にしていく方針だ。
小売事業における商品部門別構成を見ると、最も多いのは約40%を占める雑貨等で、化粧品(約25%)と医薬品(約18%)が続いている。商品部門ごとの売上総利益率は、医薬品、健康食品、化粧品のいわゆるヘルス&ビューティケア商品(HBC商品。一部トイレタリーも含まれる)と調剤の売上総利益率が高く、育児用品と雑貨等の売上総利益率は一段低い状況となっているもようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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