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ブイキューブ Research Memo(10):2011年以降は増収増益続くも2015年12月期は増収減益


■ブイキューブ<3681>の業績動向

1. 過去の業績動向
a) 業績推移(2008年12月期から2015年12月期)
開示されている2008年12月期以降の業績動向を見ると、ビジュアルコミュニケーションサービス事業への選択と集中を決断し、クラウド型サービスの積極的な拡販を行った2009年12月期以降、ユーザーのコスト意識の高まりの動きとあいまってクラウド型サービスの売上高は順調に拡大。M&A展開を積極化させた2013年12月期以降は成長ペースが一段と加速している。

一方、利益については、2009年12月期と2010年12月期は、一括支払い型のオンプレミス型サービスから月額制のクラウド型サービスへのシフトが進み、クラウド型の売上増大、オンプレミス型の売上減少という売上構成の変化で、先行経費としての人件費を中心とする営業コストを吸収できなかった。このため、営業利益は一時的に赤字転落したが、売上規模が一定規模以上となり損益分岐点を越えた2011年12月期以降は売上高の増加に足並みを合わせる格好で、利益も成長トレンドに転換、そのペースが加速する格好となっていた。しかし、2015年12月期の連結業績は、売上高が前期比30.0%増の6,083百万円、営業利益は同13.7%減の348百万円、当期純利益は同64.2%減の93百万円と、大幅増収となったものの、営業利益は減益となった。

売上高が大幅に伸びたのは、1)国内はクラウド型サービスが順調に拡大したことに加えて、PVCによるアプライアンスが順調に拡大した、2)海外では中国が順調に拡大したことやシンガポールのWizlearnの買収がプラス寄与した、——などによる。にもかかわらず、営業減益となったのは、アプライアンスの売上増加に伴う売上原価の増加、サービス(プロダクト)の強化のため売上原価の増加や販売体制の強化のための販管費の増加がマイナス要因として働いたことが要因。具体的には、サービス強化のためのソフトウェア償却費が184百万円、拡大のためのインフラ等の追加コストが54百万円増加したことなどが売上原価の嵩上げ要因として働いた結果、売上総利益率は2014年12月期の57.7%から55.1%へ低下した。加えて、販売体制の強化のための営業人件費430百万円、販売政策費43百万円、営業人員増加に伴う地代家賃等の増加164百万円など、投資回収が長期にわたる費用の増加により販管費が前期に比べ708百万円増加したこともマイナス要因として働いた。これらの結果、営業利益率は8.6%から5.7%へ2.9ポイント低下した。

2. 財務状況と経営指標(2008年12月期から2015年12月期)
一方、財務状況を見ると、2009年12月期と2010年12月期の赤字計上により、2010年12月期末の純資産は58百万円へ減少、自己資本比率は3.6%へ低下した。財務の健全化を図るために、(株)東電通※(2011年3月)、Premiere Global Services s.a.r.l.(同年6月)、(株)グロービス・キャピタル・パートナーズ(Globis Fund III,L.P. Globis Fund III(B),L.P.:同年7月)に対して第三者割当増資を実施。その後は、収益回復・拡大に伴う利益の積み上げと東京証券取引所マザーズ上場に伴う資金調達により2013年12月期末に自己資本比率は74.7%まで上昇し、財務の健全化が大幅に進展した。

※東電通は大明(株)と(株)コミューチュアと経営統合し共同持株会社ミライト・ホールディングス<1417>を設立。現在はその完全子会社である(株)ミライトとなっている。


上場後は、2014年12月期のPVC、2015年12月期のWizlearn、アイスタディの相次ぐ買収の影響により、有利子負債が増大したことなどから、自己資本比率は2015年12月期末には42.2%まで低下した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)



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