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アップル Research Memo(6):国内事業は、消費者の行動様式の変化に対応する新規事業を展開へ


■中長期の成長戦略

1. 国内事業
少子高齢化の上、環境対応や安全対策により車両価格が上がっており、国内の新車及び中古車販売市場の台数ベースの成長が見込みづらい。市場のパイが拡大しないなか、各社はお互いの周辺事業に領域を拡大する成長戦略を取っている。中古車買取業者は小売業に、中古車販売業者は外車新車ディーラーや買取専門店を展開している。

(1) 事業環境の変化
アップルインターナショナル<2788>は将来に想定される事業環境の変化に鑑み、従来型ビジネスを単純に量的拡大することへのリスクを感じている。2014年5月に民間研究機関の日本創成会議から出された「増田レポート」は、2010年から30年間で20~39歳の女性の人口が5割以上減少することを指標に、少子化の進行に伴う人口減少により存続が困難になると予想される「消滅可能性自治体」の具体名を発表した。全国約1,800市町村のうち、約半数の896の市町村がリストアップされた。2017年3月には、300を超える市町村が、計画的にまちを縮小して自治体機能を維持するコンパクトシティを目指していることが報じられた。これまでコンパクトシティは成功例に乏しいが、人口減少、中心市街地の空洞化とドーナツ化現象が進むなかで、公共サービスや医療・福祉・商業などの都市機能を維持することが困難になりつつある。日本の都市政策は郊外の開発を軸に展開されてきたが、国及び地方自治体に見直す機運が高まっている。

(2) 目標店舗数の修正
中古車買取・販売事業は、グループ直営店を含むアップル加盟店が2015年12月期に前期比13店舗増加した。2016年12月期は当初13店舗の増加を計画し、2017年12月期には300店舗を目指していた。しかし、前期は新規加盟と退会が相殺し、総店舗数は横ばいにとどまった。現在は、2019年12月期の目標を260店舗としている。総店舗数の拡大を追求する一環として国道沿いの郊外型路面店を増加させることは、将来に禍根を残すことになりかねないと方針を変えた。ただし、様々な可能性を試しており、今後は集客力の高いショッピングセンターにテナントとして入る形態を増やすことを計画している。同形態として、2015年12月に神奈川県相模原市にある地域密着型ショッピングセンターのラ・フロール橋本に『クルマ買取・販売 アップル』をオープンした。ショップインショップが好ましい結果を出せるようになれば、総店舗数300店舗の目標を再度掲げることになるだろう。

(3) レンタカー及びカーシェア事業に領域を拡大へ
若者の消費スタイルにおいて、『モノからコトへ』、また『所有(独占)からシェア(共有)へ』という変化が起こっている。クラウド時代では、ITに関わるリソースを所有から利用へ移行している。米国の音楽業界では、定額制音楽配信サービスの利用がCDやダウンロード販売を上回っている。若者のクルマ離れから、クルマを「所有する」から「利用する」にシフトするとみている。

同社グループは、シェアリング・エコノミーの進展に対応するため、レンタカー事業のパッケージ化を進めている。同事業でも、アップルの看板を掲げ、フランチャイズチェーン展開を計画している。レンタカーは通常、新車を用いるが、同社は中古車を活用する。従来は時間制もしくは日泊制の料金体系を採っているが、同社では月、半年、年間単位の利用を可能とすることで差異化を図る。自社所有の車両に加えて、長期海外赴任などで使用していない個人の車を預かり、活用するシェアリング・エコノミーを事業化する。この場合、アップルオートネットワークがカーオーナーから車を預かり、ユーザー顧客にカーシェアもしくはカーリースをする。受取利用料からメンテナンスや納税代行などを差し引き、カーオーナーに戻し金を渡す。メンテナンスは、グループの整備工場もしくは提携工場で行う。既に車両を確保しており、陸運局にも届け出を済ませている。中古車を使ったレンタカー事業は、既にタイで経験済みである。

(4) 社外役員の選任
同社の2017年3月に開催された株主総会において、オリエントコーポレーション<8585>の特別顧問である西田宜正(にしだよしまさ)氏が社外取締役に選任された。また、同社子会社のアップルオートネットワークには、(株)イオン銀行相談役の片岡正二(かたおかしょうじ)氏が社外取締役に就いた。オリエントコーポレーションと東京センチュリー<8439>の両社は、(株)オリコオートリースを合弁会社としている。同社グループの新規事業となるレンタカーやカーリース事業に関して、意見を聞くようにしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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