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クリレスHD Research Memo(9):中期経営計画を引き下げたものの、基本的な成長シナリオに変更はない


■成長戦略

1. 中期経営計画
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は、3ヶ年の中期経営計画(ローリングプラン)を推進している。2017年2月期の実績が当初計画より下振れたことや、2018年2月期の業績の伸びが一旦緩やかになること(既存事業と成長基盤の強化に注力)などを踏まえ、新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。最終年度である2020年2月期の目標(M&Aを含まない)として、売上高を150,000百万円(3年間の平均成長率は9.7%)、経常利益を10,000百万円(同16.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益を5,300百万円(同17.2%)と掲げている。M&Aを含んだ売上高目標2,000億円の達成は、当初計画(2020年2月期)より2期~3期遅れる見通しとなった。ただ、2019年2月期の実績や2018年2月期の業績予想を反映して全体的な業績の水準を引き下げたものの、基本的な成長シナリオや2019年2月期以降の業績の伸びに変化はない。すなわち、積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」のもと、1)オーガニックな出店、2)M&A、3)更なる海外展開により、成長を加速する計画となっている。

成長シナリオのポイントは以下の通りである。

(1) オーガニックな出店
既存業態の強化及び新業態の拡大により、年間90~100店舗程度の出店を目指す。CRカテゴリーでは、既存業態に加えて、「BEEF RUSH」(ステーキ&ビュッフェ)や「MACCHA HOUSE 抹茶館」(和カフェ)※、「The COUNTER」(カスタムバーガー)など足元で好調な新業態の出店を強化する。また、SFPカテゴリーでは、景気動向の影響を受けやすい郊外への出店は抑えるものの、依然として出店余地の大きい「磯丸水産」及び「鳥良商店」の2枚看板とともに、第3の柱として期待される新業態「トラ五郎」(餃子居酒屋)の本格展開も見込んでいるようだ。軌道に乗ることができれば、「磯丸水産」や「鳥良商店」との隣接出店が可能であることから、得意とする都心一等地での出店余地は格段に広がることになる。専門ブランドカテゴリーについては、投資効率の良い「あずさ珈琲」(和カフェ)のほか、健康食ブームで好調な「Mr.FARMER」(お野菜カフェ)等を軸に展開していく方針である。

※シンガポールや香港など、アジア圏を中心に9店舗を展開している抹茶専門店。海外でアレンジされた抹茶文化を日本に逆輸入し、「JAPAN SECOND WAVE」をコンセプトに展開している。2015年5月に出店した国内1号店(京都四条河原町)はTVで取り上げられるなど行列の絶えない人気店となっている。


(2) 国内M&A
豊富なM&Aの実績(過去5年間で6件)を生かし、引き続き国内及び海外の良質なM&Aの実現を目指していく。現在、持ち込み案件は年間60件にのぼるが、100件ペースに引き上げ、積極的に取り組んでいく方針である。

(3) 更なる海外展開
海外事業については、ローカライズ化による現地マネージメント力の向上等により、2期連続の黒字化を実現するなど軌道に乗ってきた。シンガポール及び香港でのノウハウを活用して、北米や新たなASEAN地域などへ出店を加速していく方針である。また、投資リスクが小さく、展開スピードが速いJVやFC方式による展開も視野に入れている。なお、北米については2016年2月に現地法人を設立したが、第1号となるニューヨーク店が2017年5月にオープンする予定である。これを皮切りとして、日本食業態を中心に積極的な事業展開を計画しているようだ。また、老舗そば店「更科堀井」を運営する(株)更科堀井との提携により、「(仮)HORII NY」を米国に出店するプロジェクトも進行中である。

2. 中長期的な成長イメージ
同社は、「グループ連邦経営」をさらに発展させることにより、強いポートフォリオの構築による継続的成長を描いている。すなわち、これまでのM&Aを通じて、従来の商業施設立地に加えて、繁華街及び駅前(SFP)やロードサイド(KR)のほか、海外(中華圏、ASEAN、北米など)を含めて、立地の多様性が図られてきたことに加えて、業態(専門ブランド)の種類も拡充してきたことから、立地の多様性と様々なブランドの専門性の掛け合わせをさらに追求することにより、新たな成長機会を生み出す戦略である。当面の目標として、M&Aを含む売上高2,000億円の早期実現を目指す。なお、2018年2月期から「グループ連邦経営」をさらに進化させるため、テーマ毎に「クロスファンクショナルチーム」を立ち上げ、グループ横断的な課題解決に取り組む方針を打ち出している。まずは、「購買」、「店舗設計」、「採用」にて大幅なコストダウンを目指しており、いよいよシナジー創出に向けて本格的に動き出したと言える。

弊社では、成長の軸を担う居酒屋業態の出店余地が十分にあることや、M&Aの環境が同社にとって追い風であること、海外事業もノウハウの蓄積や和食人気の後押しが期待できることなどから中期経営計画の達成は可能とみている。2018年2月期の業績の伸びは一旦緩やかになるものの、環境変化への対応や今後の成長加速を見据え、既存店の強化や新業態の開発などに早目に取り組む方針としたのは、合理性のある決断と評価できよう。また、これまで積極的なM&Aにより規模拡大を図ってきた「グループ連邦経営」についても、具体的なシナジー創出に向けた動きにより次のフェーズに入ってきたものとみている。今後の注目点として、既存店強化の成果、新業態による業績寄与、海外展開のスピード、M&Aの実現に向けた動き、グループシナジーの創出などがあげられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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