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クロスマーケ Research Memo(4):13期連続増収、経常利益は2期連続最高益を更新


■業績動向

1. 2016年12月期連結決算
クロス・マーケティンググループ<3675>の2016年12月期の連結業績は、売上高が前期比7.5%増の15,969百万円、営業利益が同8.9%増の1,342百万円、経常利益が同6.9%増の1,267百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同49.8%増の837百万円。期初予想に対して売上高は下回ったものの、営業利益は7.3%超過達成、過去最高の売上高と利益で2期連続の最高益を更新した。営業利益を見ると、海外リサーチ事業で売上減による粗利減及びITソリューション事業の事業構成の変化による粗利減があったものの、国内リサーチ事業で売上増による粗利増、その他の事業の売上増による粗利増・差異、全社及び販管費差異で増益となった。2016年9月にUNCOVER TRUTHにおける第三者割当増資を実施、これに伴い特別利益に持分変動利益159百万円、特別損失にはKadence Vietnamに係る減損損失38百万円を計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益の前期比増加幅が大きくなっている。

業績予想との比較では、連結営業利益は90百万円上振れした。ITソリューション事業の売上未達成による粗利減、その他の事業における体制変更による粗利減がマイナスに影響したものの、国内リサーチ事業の売上増による粗利増、海外リサーチ事業の体制見直しによる粗利増、連結調整・販管費削減による寄与で予想を上回っての着地となった。

(1) セグメントの状況
a) リサーチ事業
リサーチ事業は、売上高が前期比3.6%増の13,372百万円、セグメント利益が同5.0%減の2,256百万円の増収減益となった。国内売上高は、9,213百万円、海外売上高は4,160百万円。国内の売上高は堅調に伸びたほか、ショッパーズアイなどの新規連結子会社による寄与もあり増収に貢献した。ショッパーズアイは2016年4月より営業を開始、同社は覆面調査サービスの提供開始と10万人の自社パネルを獲得しリサーチ事業の拡大は続いている。海外リサーチ事業については、2016年から営業を開始した米国とタイの拠点の立ち上がりは順調だったが、為替の影響や、前期と比べて一部の国と地域で経済環境があまり良くなかったことなどから、減収での着地となった。なお、同社は連結業績に対する為替感応度を1米ドル当たり1円の変動で売上高4200万円、利益300万円の変動と見ている。同社の海外事業はまだ発展途上であること、また多くの国に及ぶため、単一の通貨による収支影響は大きく受けにくい構造となっているようだ。セグメント利益は、先行投資等の影響もあり減益となった。

b) ITソリューション事業
ITソリューション事業の売上高は前期比11.9%増の1,907百万円、セグメント利益は同8.8%減の175百万円となった。システム開発・保守を行うクロス・コミュニケーションは順調に成長、また2015年12月期に株式取得したエンジニア派遣を行うクロス・ジェイ・テックの通年寄与があり、大きく増収となった。利益面では、中期的な成長のための人材採用を先行したのに伴い費用が膨らんだため減益での着地となった。

c) その他の事業
その他の事業では、売上高が前期比172.7%増の690百万円、セグメント利益は74百万円(前期は55百万円のセグメント損失)となった。UNCOVER TRUTHの増資により第4四半期から持分法適用会社となったが、プロモーション事業を行うディーアンドエムの立ち上がりが順調でディーアンドエムの売上高は同約700%増となるなど大幅増収となった。ディーアンドエムは、リサーチ事業におけるノウハウを生かし、プロモーションサービスを本格展開。2015年7月より営業を開始しており、現在は順調に顧客を開拓し売上げを拡大している。

(2) 財務状態及びキャッシュ・フローの状況
2016年12月期末における総資産は前期末比で38百万円減少し9,932百万円となった。内訳を見ると、流動資産は前期末比135百万円増加した一方で、固定資産が同173百万円減少した。この固定資産の減少は、のれんが253百万円減少したことに起因しており、Kadence Vietnamの減損損失により切り下げられたものと推測する。負債は同566百万円減の5,459百万円となった。有利子負債が同432百万円減少し期末の有利子負債残高は2,405百万円となったものの、未払法人税等や賞与引当金の減少により前期末より減少した。純資産は親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより同529百万円増加し4,474百万円となった。自己資本比率は43.6%で、流動比率も177.4%と財務の健全性は高い。ROEは、2015年12月期の17.2%からさらに上昇し、2016年12月期には20.7%を達成した。

2016年12月期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比224百万円減少の2,159百万円となった。各キャッシュ・フローの状況について見ると、営業キャッシュ・フローは437百万円の収入となった。法人税等の支払額676百万円の支出、売上債権の増加額486百万円、持分変動利益159百万円などが減少要因となったものの、税金等調整前当期純利益の1,391百万円、減価償却費187百万円、仕入債務の増加額174百万円、のれん償却額152百万円などが増加要因として寄与したため。一方、投資キャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出84百万円、無形固定資産の取得による支出80百万円、敷金の差入による支出58百万円などにより220百万円の支出となった。財務キャッシュ・フローは、非支配株主からの払込みによる収入434百万円があったが、長期借入金の返済による支出620百万円、短期借入金の純減少額273百万円などで127百万円の支出となった。

2. 2017年12月期会社予想
2017年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比8.6%増の17,350百万円、営業利益が同4.3%増の1,400百万円、経常利益が同9.1%増の1,382百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1.4%減の825百万円。主な営業利益増減要因は、人件費やその他経費の増加で販管費の増加による減益要因を見込んでいるが、国内リサーチ事業売上増による粗利増や、海外リサーチ事業売上増による粗利増、ITソリューション事業売上増による粗利増が増益に寄与する見通し。

2017年の全社施策としては、メディカルリサーチやショッパーリサーチ等の新しいリサーチビジネス領域の拡大、デジタルマーケティング領域への投資、グローバル連携強化、人材開発の強化を挙げている。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



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