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ビューティ花壇 Research Memo(1):大量物流の実現に向けた事業再編により業績は一旦踊り場


■要約

ビューティ花壇<3041>は、葬儀の際に利用される生花祭壇等の企画・制作・設営を主力として、生花卸売やブライダル装花を含めた生花事業をコア事業としている。また、M&Aを軸とした周辺事業の取り込みによる規模拡大と提案力向上にも積極的に取り組んできた。同社の特長は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートや大量仕入れを生かした価格競争力にある。ただ、生花祭壇のパイオニアとして新たな技術を生み出し、広く一般に生花祭壇を普及させることで「業界のリーディングカンパニー」として成長してきた同社であるが、関東エリアを中心に急速なペースで単価下落が進んでおり、事業環境は厳しい状況が続いている。

同社は、環境変化に対応するため、2016年6月期より3ヶ年の中期経営計画をスタート。同社グループのコア事業である生花事業(生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業) に最大限注力する事業方針の下、生産規模や販売規模、原料調達など物量を拡大させるとともに、長年培ってきたノウハウを生かした製造プロセスの効率化等による低コスト化を実現し、「業界のコストリーダー」として市場シェアを拡大する戦略である。特に、生産から加工、販売の統合によるサプライチェーンの構築や大量物流の実現などにより、「生花卸売事業」が中長期的な業績の伸びをけん引する計画となっている。2016年10月には、東証マザーズから東証2部へ市場変更となった。

ただ、今後の成長に向けた土台づくりの期間と位置付けている2017年6月期の上期業績は、売上高が前年同期比2.6%増の2,938百万円、営業損失が43百万円(前年同期は41百万円の営業利益)と増収ながら営業損失を計上した。「生花祭壇事業」が受注件数の拡大や成田営業所の開設により伸長したものの、事業再編中の「生花卸売事業」を始め、その他事業が低調に推移した。特に、利益面では、単価下落の影響や受注件数の拡大に対応するための労務費増のほか、生花卸売事業の事業再編に係る費用等により営業損失となった。

2017年6月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比0.6%増の5,800百万円、営業利益を同25.0%減の95百万円と微増収ながら減益を見込んでいる。売上高は、抜本的な物流改革に向けた事業再編(産地との旧来型の取引慣行の見直し等)により「生花卸売事業」が大きく落ち込むものの、「生花祭壇事業」における受注件数の拡大などにより増収を確保する想定である。利益面は、単価下落の影響や「生花卸売事業」の売上減などにより減益となる見通しとなっている。

よって、外部要因(受注単価の下落等)及び内部要因(物流改革に向けた事業再編等)の両方が重なることにより業績は2期連続で踊り場となる見通しであるが、弊社では低価格戦略による受注件数の伸びや展開エリアの拡充によるシェア拡大に加えて、六次産業化を含めたサプライチェーンの構築に向けた施策が着々と進展しているところに注目している。また、「生花卸売事業」における事業再編が一時的な業績の後退を招いているものの、スケールメリットを追求した生花物流の構築により、リーディングカンパニーとして業界を束ねる構想を実現するためには必要なプロセスと考えられ、むしろ生花業界全体の発展や業界再編に向けたスピードを加速するチャンスとして捉えることもできるだろう。事業環境が厳しさを増すなかでM&Aによる事業拡大や他社との提携等も含め、来期以降の成長加速に向けた進捗をフォローしていきたい。

■Key Points
・2017年6月期の上期業績は、物流改革に向けた事業再編の影響等により営業損失を計上
・今後の成長に向けた土台づくりの期間として、2017年6月期の業績は2年連続で踊り場となる見通し
・大量物流の早期実現を図り、低価格戦略や展開エリアの拡充によるシェア拡大を目指す
・2016年10月に東証マザーズから東証2部に市場変更

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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