プラザクリエイト Research Memo(6):モバイル事業はストック収入とフロー収入で成り立ち、安定した黒字体質へ
(1)モバイル事業の業績動向
プラザクリエイト<7502>のモバイル事業の収益構造は、ストック収入とフロー収入の2つから成り立っている。フロー収入はモバイル端末の販売によるものだ。一方、ストック収入は継続契約手数料収入だ。同社は2007年の事業参入以来、着実に契約者数を積み上げた結果、2014年3月期以降は、ストック収入をベースとして安定的に黒字を計上できる体質が出来上がった。フロー収入には季節性があるため、半期ベースの利益水準には山谷があるが、基本的には安定して黒字を出せる体質となっている。
2016年3月期第2四半期において経常損失となったのは、店舗投資で一時的に費用が増大したためだ。同期において同社は一気に12店舗増やした(うち5店舗はスリーエヌ(株)を子会社化したことによる)。今第2四半期はキャリアショップで新規出店5店舗を行った(キャリアショップで1店舗、併売店で1店舗閉店したため全体の純増数は3店舗)が、その費用を吸収して黒字転換を果たした。
(2)成長戦略と進捗状況と今後の展開
同社は2007年にモバイル事業に参入し、「携帯の王様」の店舗ブランドで併売店を展開していた。その後ソフトバンク、auのキャリアショップへと切り替えを進めつつ、店舗網を拡大してきた。2016年3月期にはモバイル事業を積極的に拡大する方針を改めて明確にしている。その背景には、1)モバイル事業の収益構造がプリント事業とは大きく異なり補完関係に適していること、2)大手キャリアによる販売代理店再編の動きの中で、既存のキャリアショップに取って代わる形で、同社が新規出店をするチャンスが生まれてきていること、3)メイン商材のスマホをカメラととらえ、同社のプリント事業との連携を目指す戦略を打ち出したこと、などがある。
2017年3月期に入ってもその姿勢には変化はない。モバイル事業の成長戦略は、商材が限られているため、店舗網の拡大とほぼ同義と言える。そうしたなか、同社はプリント事業において店舗網に大きくメスを入れることを決断した。これは、モバイル事業の成長戦略にとってプラス効果をもたらすと期待される。プリントショップの閉鎖対象店舗の中には、フォト&モア店舗には適さないがモバイルショップとしては十分有効な立地や面積を有する店舗も数多くあるとみられる。人材面でも、同社は写真サービスと通信の融合を掲げて参入したという経緯もあって、両方の事業に通じた人材を多く抱えている。
2017年3月期下期については、2016年11月末現在で、6店舗の新規出店が確定している。ここに、プリント事業からの業態転換の店舗が上乗せされることになる。この点について同社側からは、決算説明会の席上で“10~20店舗”というレンジが示唆された。
弊社では、モバイル事業の成長戦略はシンプルでありながらも説得力は十分あると考えている。ただし留意すべきは、店舗投資の加速は一時的にせよ、収益に大きな影響を与える可能性があるということだ。前述のように、2016年3月期第2四半期の経常損失の計上がその実例となった。今下期の店舗拡大策において、同社がどのようなそろばんを弾いて、どのような意思決定をするのか不透明な部分が多いのは事実だ。弊社では今期の収益を多少犠牲にしてでも店舗投資を断行し、来期以降の投資回収の極大化を目指すのが最良の策と考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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