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三井化学 Research Memo(8):17/3期業績予想を引き上げ、大幅増益を見込む


■業績動向

(2) 2017年3月期通期業績見通し

2017年3月期通期について三井化学<4183>は、第1四半期決算に続き第2四半期決算において再度通期業績予想を引き上げた。新予想は、売上高1,174,000百万円(前期比12.6%減)、営業利益88,000百万円(同24.1%増)、経常利益80,000百万円(同26.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益50,000百万円(同117.7%増)となっている。

2017年3月期下期については、基本的には第2四半期までの事業環境が継続すると同社ではみている。為替レートについては、今下期については100円/ドルと、第2四半期累計期間の実績から5円ほど円高ドル安方向に前提を変更した。全社ベースの今下期の営業利益は、前年同期比では44.4%増と大幅増益ながら上期実績と比較して2,736百万円減益の42,632百万円と予想されている。各事業セグメントについての上下比較は以下のとおりだ。

モビリティ事業は、北米の自動車生産台数が1,700万台(SAARベース)のペースで推移するなど、世界的に自動車生産は堅調が見込まれている。それを反映してPPコンパウンドを始めとして販売数量は上期比横ばいで堅調に推移するとみている。しかし海外売上分に対する円高影響や、一部原材料上昇の影響による交易条件の悪化を見込んで、今下期のセグメント営業利益は上期比22億円の減益を予想している。

ヘルスケア事業では不織布の販売数量回復を主因として、今下期は上期比42億円の増益を見込んでいる。歯科材料のHeraeus Kulzerについても、これまで苦戦していた北米で立て直しの効果が見えてきている。また国内の歯科材料市場では、下期が需要期となることから、この点も上下比較では増益要因となる。

フード&パッケージング事業では今下期は上期比30億円の減益を予想している。販売数量は堅調に推移するとみているが、為替レートの前提を円高に変更したことにより、農薬の輸出分について円高影響で減益が見込まれる。また、研究開発費が下期に集中する傾向があり、これも上下比較における減益要因となる。

基盤素材事業の今下期は上期比16億円の減益を予想している。今下期は、上期にあった定修による費用増加がなくなるためその点は増益要因だ。しかしながら、上期に他社のトラブルで需給がタイト化し市況が押し上げられていた分が、下期にはトラブル解消によってはく落し、交易条件が悪化することが上期比減益をもたらすと想定している。

以上のような同社の前提に対して、足元の動向は為替レートが前提と大きく異なる動きとなっている。同社の為替感応度は1円の変動で年間6億円の変動(円安メリット)とされる。セグメント別ではモビリティ事業がそのうち3~4億円を占め、フード&パッケージング事業が1~2億円でそれに続く。ヘルスケアと基盤素材の各事業は前述のように為替影響はほとんどない(数千万円レベル)という状況だ。2017年3月期下期は11月の米大統領選をきっかけに急速かつ大幅な円安が進行しているため、これによる利益押し上げ効果が期待される状況にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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