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ベネ・ワン Research Memo(2):企業ビジョンは、「サービスの流通創造」への挑戦


■ベネフィット・ワン<2412>の会社概要

(1)事業概要

1996年3月に、「サービスの流通創造」を目的として、パソナグループ<2168>の社内ベンチャー制度の第1号として設立された。人々が「良いものをより安くより便利に」利用できるためのインフラを創ることを目指している。現在、東証1部上場の福利厚生アウトソーシングサービス導入企業で4割強のマーケットシェアを獲得している。

a) 3つの成長ステージ
20年間の社歴は、3つのステージに分かれる。1996年の設立から2005年までの第1ステージでは、コスト削減とサービスレベルの向上を目的とする外注化を追い風に、企業、官公庁に対して福利厚生のアウトソーシングサービスを中核に会員規模を拡大するスケールメリットを追求した。同ステージでは、有料会員を獲得する手段として福利厚生アウトソーシング事業に専念した。2004年のJASDAQ上場により、社会的信用も高め、東証1部上場企業や公務団体に対する営業力を強化した。

b)多角化の推進
2006年に、東証2部に上場し、事業の多角化を推進する第2ステージに入った。福利厚生アウトソーシングサービスで築いたサービスインフラを活用し、多角化や海外展開を推進した。同社の事業は、BtoBが福利厚生事業、インセンティブ事業、ヘルスケア事業、BTM事業、コストダウン事業、ペイロール事業により構成されている。BtoCでは、パーソナル事業、CRM事業、インバウンド事業がある。

パーソナル事業では、取引先と協業で個人向けにサービスのリアルマッチングを展開している。インセンティブ事業では報奨金などをポイント化して管理・運営する。ヘルスケア事業では健診サービス、特定保健指導、データヘルス計画支援、メンタルチェックなどのヘルスケアに関するサービスを提供する。BTM(Business Travel Management)事業は、経費削減に加え、コンプライアンス強化の経営課題を解決する出張支援サービスである。その他事業として、CRM事業、インバウンド事業、コストダウン事業などを展開している。新規事業を開始するに当たって、同社は各分野で事業の業務知見を有する企業からの事業譲受やM&Aも活用することでスピーディーな事業展開を推進してきた

2016年3月期の売上高26,053百万円の事業別構成比は、BtoBの福利厚生事業が53.4%、インセンティブ事業が9.4%、ヘルスケア事業が16.3%、BTM事業が0.5%、コストダウン事業が1.9%であった。BtoCでは、パーソナル事業が13.6%、CRM事業が2.0%、インバウンド事業が0.1%となった。海外事業は0.6%であった。営業利益4,355百万円における構成比は、BtoBの福利厚生事業が74.8%、BtoCのパーソナル事業が22.4%と稼ぎ頭になっている。3番目にインセンティブ事業の7.6%が来る。売上高利益率では、福利厚生事業が23.4%、パーソナル事業が27.6%、インセンティブ事業が13.6%であった。ヘルスケア事業は2017年3月期に通期黒字転換する計画だ。先行投資期にあるインバウンド事業や海外事業は順次収益化を見込んでいる。

c)グループ会社
国内の連結子会社・関連会社は3社。100%子会社の(株)ベネフィットワンソリューションズは、Webシステム構築、携帯・固定電話・専用線等の通信回線管理サービス、請求管理及び請求集計処理代行サービス業務、インターネットインフラ支援サービスを行う。(株)ベネフィットワン・ヘルスケアは、健診サービス事業、特定保健指導事業、前期高齢者訪問指導事業、メンタルヘルスケア事業、富裕層向け健康管理事業、ポイントサービス事業、健康ポータルサイト運営事業、アプリケーション開発事業を行っている。前身は、1990年に設立された(株)保健教育センターで、同社が2012年に株式を取得して完全子会社化した。(株)ベネフィットワン・ペイロールは、パソナグループが60%、同社が40%出資して、2015年8月に設立された。給与計算、勤怠管理、人事データ管理に関わる導入コンサルティング、システム管理を行う。

海外での事業展開は、2012年に中国と米国に独資の子会社を設立したことから始まった。同社は、日本発のビジネスモデルのグローバル展開を進めている。主に、インセンティブ事業を行っている。2013年には、伊藤忠商事<8001>とアジア地域の事業を統括する合弁会社をシンガポールに設けた。同子会社を介して、2014年にタイ、台湾、インドネシアにも進出した。また、2015年1月には、欧州初となる100%子会社をドイツに設立した。海外事業は、2015年3月期から連結決算に組み入れられはじめた。現在は先行投資期にあるが、ストック型のビジネスであるため、一度損益分岐を越えれば安定した収益貢献が見込まれ、今期はローカル企業を含め受注が積み上がってきている模様だ。

d)会員数の推移
同社は、ユーザー課金型ストックビジネスモデルであることから、会員数が積み上がるにつれて業績も拡大する。累計会員数は、2004年に100万人を突破。その後、多角化の効果もあり順調に会員数を拡大してきた。2007年には、200万人、2009年に400万人に達し、2016年9月には780万人に増えた。総会員数780万人の内訳は、福利厚生会員が420万人、CRM会員が137万人、パーソナル会員が223万人となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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