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【金ミニ先物と白金ミニ先物の魅力~価格動向と投資戦略~vol.2】金ミニ先物の近況、先行きについて


以下は、2023年1月19日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された「金ミニ先物と白金ミニ先物の魅力~価格動向と投資戦略~」です。皆さんにとっても馴染みの深い金・プラチナ(白金)に関して投資の観点から、フィスコマーケットレポーター高井ひろえが紹介、3回に分けて配信します。


次にインフレ動向です。世界的に資源価格やモノのインフレは沈静化しつつあります。ただ、中国では、全国人民代表大会が開催される3月以降にゼロコロナ政策が解除に向けて一段と緩和される可能性が指摘されています。また、このタイミングで追加の景気対策が打たれる可能性も高いとされており、これらの要因から、年半ばからは中国経済が回復していくと予想されています。世界経済の中心を担う中国経済が回復していくことは景気の面では喜ばしいことですが、一方で需要の拡大を背景に資源価格が再び高騰する恐れがあり、インフレの問題を再び引き起こす可能性もあります。ただ、インフレの再燃は経済にとってはネガティブですが、安全資産としてインフレに対する耐性を持つ金にとっては、価格面でプラスに作用すると考えられます。

国内では、インフレが続けば、日本銀行が金融引き締めに転じ、それが金利の付かない金にとってはネガティブなのではないかといった見方もありますが、資源価格や為替の円安といった外部要因主導のインフレにとどまり、賃上げを通じた持続的なインフレでない場合は、現行の緩和的な政策が続けられる見込みです。そのため、利上げを通じた金価格へのマイナス作用の可能性は低いと予想されます。

次に為替の動向です。2023年は2022年とは変わり、円高が進行しやすいと考えられます。理由としては、アメリカ経済が景気後退に入ることやFRBが年前半で利上げを打ち止め、年後半には利下げに転じる可能性が想定されるためです。これらの要因はすべてドル安につながる要因のため、対円でもドルは下落しやすく、円は買われやすいと予想されます。この点は円建て取引である金先物にとってはややマイナスになるといえますが、為替の円高は起きても緩やかなものになると思われ、過度な懸念は不要かと思います。理由は二つありまして、一つは日本とアメリカの実質金利差、二つ目は日本の国際収支の動向です。

一つずつ見ていきましょう。まず、日本とアメリカの実質金利ですが、アメリカは2023年の前半に利上げを停止する想定とはいえ、その後も高水準の金利が据え置かれる方針です。一方、日本では、2022年12月に緩和政策の一部が修正されましたが、基本的には賃上げを通じた持続的なインフレ環境が整わない限り、現行の緩和政策が今後も続けられる方針とされています。そのため、政策金利の引き上げの可能性は高くなく、引き上げられたとしても小幅なものにとどまるでしょう。このため、日米の実質金利差の絶対的な水準は高止まりするでしょう。実質金利の差が維持される限り、急速な円高は避けられると考えられます。

次に日本の国際収支の動向です。日本はエネルギーや食料品を海外からの輸入に頼っており、これら商品市況の高止まりを背景に貿易赤字が続いています。商品市況はすでにピーク時に比べれば大きく減速していますが、世界経済の要である中国経済が、先ほど申し上げたように、年半ばから景気回復へと向かうならば、再び資源価格が高騰する可能性はあるでしょう。また、原油市場では、世界的に加速する「脱炭素」化の流れを背景に、新規の設備投資が抑制されていて、需給が逼迫しやすい構造的な状況が続いています。そのほか、米国経済の景気後退に伴い、輸出が減少することも想定されます。こうした背景から、日本の貿易赤字が長期化する可能性は小さくないと予想されます。日本の貿易赤字が続く限り、輸入企業によるドル買い・円売りも続くと考えられ、その分、為替には一定の円安圧力が働き続けるといえるでしょう。

最後に金の実需に関する点からご説明したいと思います。改めて金の需要動向をおさらいすると、半分以上と最も大きい割合を占めるのが宝飾品に関する需要です。繰り返しになりますが、中国経済は2023年、年前半は厳しいでしょうが、全人代が開催される3月以降は、コロナの感染状況次第ではゼロコロナ政策が一段と緩和され、景気対策も打たれることで、景気回復へと向かう可能性が高いと予想されます。国際通貨基金(IMF)が公表する経済成長率見通しでも、2023年の中国経済の成長率は他の主要国と比べて高い水準が見込まれています。こうした予想の通り、中国経済が本格的に回復するとすれば、その際には宝飾品需要が拡大し、金価格が高まるシナリオが想定されます。

このように、金価格についてはこの先も安定した推移が期待できそうです。ぜひ、皆さんにも資産運用の際に、投資対象の一つとして大阪取引所が扱う金先物を組み入れることを検討していただければと思います。

実際、直近3年間における金先物と東証株価指数(TOPIX)の価格推移をみると、価格の連動性が低く、相関係数は0.67にとどまっています。つまり、分散投資の一役として金先物をポートフォリオに組み入れることは理にかなっているといえます。

また、金投資というと、実物を思い浮かべる方が多いかもしれません。金の実物投資には実物ならではの魅力がある一方、保管リスクなどが伴います。盗難される恐れだけでなく、保管中に誤って傷をつけてしまえば、価値が大きく目減りしてしまうことになります。先物取引であれば、こうしたリスクを負うことなく、純粋に金価格の上昇・下落を予想して、手軽に金への投資が行えます。また、金の実物投資の場合は買う、もしくは持っているものを売ることしかできませんが、先物であれば買いからだけでなく、売りからも入ることができます。さらに先物取引であれば、レバレッジを効かせた投資ができるため、資金効率も高いです。投資戦略の柔軟性の観点からは先物取引の方が、メリットが多いといえます。金先物は、2022年12月26日時点の終値をベースに考えると、レバレッジは最大で33倍にもなります。また、金標準先物では敷居が高いと感じる方も、取引単位と証拠金が標準先物の10分の1にとどまる金ミニ先物であれば、より手軽に投資をスタートできるかと思います。

こうした金先物のメリットが徐々に投資家の方々にも知れ渡り、金先物の取引高は2020年頃から徐々に増加してきました。大阪取引所が扱う金ミニ先物あれば、少ない証拠金から手軽に始めることができますので、ぜひ分散投資の一役として検討してみてください。
※原稿作成:フィスコアナリスト仲村幸浩



—金ミニ先物と白金ミニ先物の魅力vol.2金ミニ先物の近況、先行きについて〜vol.3〜に続く—


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