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為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、雇用関連指標は改善の可能性


■ドル・円は一時111円12銭、リスク回避の円買い縮小

今週のドル・円は強含み。日経平均が900円超の大幅安となったことを嫌気して6月21日の東京市場でドル・円は一時109円72銭まで下落した。しかしながら、同日のニューヨーク市場でカプラン米ダラス連銀総裁が「金利予測の修正は経済の劇的な改善を反映」と発言したことから、米長期金利は上昇し、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小した。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は22日、新型コロナウイルス危機に関する下院特別小委員会の公聴会における質疑応答で、「インフレが実際に加速するまで利上げを行わない」と述べたことから、一時ドル売りが優勢となったが、米国株式の上昇を好感したドル買いも観測されており、ドルは底堅い動きを保った。ドル・円は24日に111円12銭まで買われた。

25日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時110円88銭まで買われた。この日発表された5月コアPCE価格指数は市場予想と一致したことから、ドル売りが一時優勢となったが、バイデン政権が提示している追加インフラ計画の法制化が期待されたことから、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。ドル・円は110円77銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円72銭−111円12銭。

【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、雇用関連指標は改善の可能性

来週のドル・円は底堅い値動きか。米国の利上げ開始時期に関して米連邦準備制度理事会(FRB)のコンセンサスは形成されていないようだ。セントルイス連銀のブラード総裁は早期利上げの必要性に言及し、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁とダラス連銀のカプラン総裁は資産買取りの段階的縮小(テーパリング)論議の前倒しを主張している。一方、ウイリアムズNY連銀総裁は急激な物価上昇は一時的と指摘し、パウエルFRB議長は予防的な利上げには否定的とみられる。

米金融当局者の発言が引き続き注目され、金利引き上げに慎重な発言はドル買いを抑制しよう。ただ、市場関係者の間では、FRBの金融政策が引き締めに向かっていることは間違いないとの見方が広がっている。インフレ進行や雇用拡大によって早期利上げの可能性が再び高まる可能性は残されており、リスク回避的なドル売りは抑制されそうだ。6月ISM製造業景況感指数の雇用指数や6月ADP雇用統計、6月雇用統計が市場予想を上回った場合、ドル売りは一段と縮小する可能性がある。

【米・6月ISM製造業景況指数】(7月1日発表予定)
7月1日発表予定の米6月ISM製造業景況指数は61.0と、前回の61.2をやや下回る可能性があるが、雇用指数が改善すれば、6月雇用統計の改善が期待されることから、ドル買い材料になるとみられる。

【米・6月雇用統計】(7月2日発表予定)
7月2日発表予定の米6月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+69.0万人、平均時給は前年比+3.6%、失業率は5.7%の見通し。非農業部門雇用者数の増加幅は5月実績を上回る可能性が高い。失業率はやや低下すると予想されており、市場予想と一致すればドル買い材料になり得る。

予想レンジ:109円80銭−112円00銭


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